第75話:朝日の下で、釘を打つハンマーの音が響く
翌日の夜明けが地平線から顔をのぞかせるとすぐに、修復作業が始まった。ハンマーがカランカランと音を立てて釘を打ち込み、物資を満載した荷車が賑やかな通りを走り抜け、変化の混沌の中でも、生命の息吹は絶えることなく続いていた。
商人たちは、まるで何も起きていないかのように脇で商品を売りさばいていた――中にはこの状況を利用し、特別割引を打ち出す者さえいた。冒険者たちは、求められている場所では手助けをし、求められていない場所には近づかなかった。
つまり……奇妙なことに、いつもと変わらない日常が流れていたのだ。前夜、仕事の掲載と受諾を一時停止していたにもかかわらず、ギルドでさえ活気に満ち溢れていた。
その後2週間、タカたちは町中でボランティア活動に励んだ。やるべきことは山ほどあった――灰や煤の掃除、瓦礫や破片の撤去などだ。時折、誰かの荷物を運んだり、釘を打ったり、薪を割ったりといったこともあった。ボランティアに参加したのはアーサーの要請によるものだった――タカは反対しなかったが、ちなみにベリルは反対しようとした。
正直なところ、タカにとっては楽しかった。むしろ、穏やかな気分さえした。気を紛らわせるには良い方法だと感じていたし、エイライアがいてくれたおかげで、混沌としてはいたものの活気があった。また、エシルに聞きたかったことを尋ねる機会も得られた。答えは? エイライアだった。気づくべきだった……まあ、驚いたとは言えない。
その期間も終盤に差し掛かった頃、彼らは裕福な地区に配属された。ここで彼らに求められていたのは、たった一軒の建物(たまたまエクレールさんの家だった)を洗い流し、その後、焼け焦げた木材をできる限り修復することだけだった。文字通り焼け焦げた木材をどうやって直すつもりなのか、彼にはさっぱり分からなかったが、クルルがさりげなく「クリーン」と「メンド」を唱え、難なく修復してしまった。へえ。
損傷箇所がごく小さかったからできただけかもしれないが、いずれにせよ、それはすごいことだった。しかし、ベリルは明らかにそうは思っていないようだった。
「ふん! 私だって同じくらい簡単にその呪文を唱えられたのに、いや、どうしてもお前がやる必要があったんだろ?」
クルルは眉をひそめた。「やりたかったなら、そう言えばよかったのに」
タカは、ベリルが「いつもの」自分に戻ったように見えることを、喜ぶべきか嫌うべきか分からなかった。この時点で彼にできることは、呆れて首を振るくらいしかなかった。とにかく、そんなに手伝いたかったのなら、なぜクルルが屋根まで飛んでいく間、彼は後ろで威張ってばかりいて、あれほど時間を無駄にしたのか?
周囲の様々な被害の様子を見渡すと、この一帯が最も甚大な被害を受けたようだった。ここの建物の多くは、外壁に何らかの程度の煙や火による損傷を受けていた。エクレールさんの家自体も実際に炎上しており、市長の旧事務所は廃墟と化していた。もっとも、あれは厳密には家ではないから、数に入らないかもしれないが。
先ほど耳にした話では、完全に焼失した建物は他に一軒だけだった。どうやらその家の所有者は、今朝すでに新しい家へ移り住んでいたらしい。それは良かった。
まあ、広範囲にわたる壊滅的な被害がまったくなかったということは、当時政府が動員した消防部隊が、どれほど小規模だったにせよ、極めて効果的に機能していたということだ。それはほっとした。
……タカは自分の考えに深く没頭していたため、お礼を言いに来たエクレールさんの存在に気づいていなかった。彼女の様子はひどかった――まるで、タカがアーサーと初めて会った時の姿を思い出させるようだった。くぼんだ目には濃いクマができ、全体的に疲れ切った表情……まるで何日も泣き続けていたかのようだった。(とはいえ、アーサーがそこまで酷い様子だったわけではないが。)
「あ、皆さん、ありがとう……」彼女は自分の屋根を見上げながら、布で目を拭った。「まるで火事があったことなんてなかったみたい。」
「どういたしまして」とクルルは、無理に笑顔を浮かべて答えた。口調は十分に親しみやすかったが、そこにはいつもの活気が感じられなかった。
「マティアスならきっと喜んでいるはずなのに、ただ……」彼女は集まった人々をちらりと見回すと、表情が曇った。そして、最後に自分の家を一瞥すると、完全に崩れ落ちてしまった。彼女は膝をつき、両手で顔を覆って泣き崩れた。「ああ、エドワード……どうして私を一人残して、行ってしまったの……?」
クルルは彼女を片手で支え、涙が乾いて彼女が再び自分の方を見るまで、静かに彼女のそばに座り続けた。
「私……あなたたちが助けに来てくれて、本当に嬉しいわ。あの時――私の家を救ってくれた時、そして今、 の被害を直すために戻ってきてくれたことまで……あなたたちはみんな、本当に良い人たちよ――私、あなたの目を見ると、それが感じられるの。お、お嬢さん」彼女はタカの目を見つめた。「あ、あなた、心根が優しいわ。それが感じられるの」
「えっと……ありがとうございます」彼は表面上は微笑んだが、内心はかなり居心地が悪かった。一体どうやって彼女の勘違いを正せばいいのだろう?今がそれを言うのにふさわしいタイミングではないことは、確かだった……
彼らはしばらくエクレールさんと話を続けた――やがて、お茶を飲みながら話すよう家の中に招かれた。 与えられた任務を完了したことを考え、彼らはその誘いを受け入れ、一人ずつ彼女の広々とした家の中へと入っていった。そこは美しい場所だった――絵画や小物、そして充実した長い人生を物語る肖像画で飾られていた。使い込まれた家具とビロードのようなカーペットが、その場所に気品を醸し出していた。ここがまるで自分の家のように感じるとは言えないが、居心地は良かった。
タカは、美しい花壇の庭を見渡せる大きな円形の窓に隣接した、大きな丸い木製のテーブルに着席した。アーサーを除く全員が紅茶を飲んだ――彼はコーヒーさえも断った。彼は立ったまま、このダイニングスペースへと続くドア枠に背を預けていた。
その後の会話では、クルルが主導権を握った――ベリルは紅茶のおかわりを頼む時だけ口を開き、エイライアは……まあ、意外にも黙り込んでいた。
彼女は彼らに、多くの非常に憂慮すべきことを語った。 例えば、市長が数ヶ月もの間、彼女に家の移転を迫り続けていたこと。インフラの問題や住宅火災への対応が、概して全体的に非常に遅かったこと――しかし彼女に関しては、まるで自分の存在そのものを忘れ去ろうとしているかのようだった。そのため、彼女は自分の家の火災被害を修理しに来てくれる人が誰もいないのではないかと恐怖に駆られていた――そして、これまでに起きたすべての出来事が重なり、彼女にはもはや耐えきれないほどだった。
クフルは毅然とした表情で、すぐに市長と話しに行くことを彼女に約束した。彼女は「いえ、いいのよ」と抗議しようとしたが、彼はそれを聞き入れようとしなかった。
「これは許せない。悲しみに暮れる老婦人をこんな風に扱うなんて、信じられない。誰だってこんな扱いを受けるべきじゃない。そうだろう、エシル?」
「その通りだ」と彼は同意し、カップに残っていた最後の一滴を飲み干した。
二人は良い知らせを持って戻ると約束し、すぐに町の広場へと向かった。広場に着くと、クルルは の市長室へ一直線に歩み寄り、正面のドアを三回ノックした。タカたちは少し後ろに控えていた――彼はレルナスの噴水にコインを投げ入れようかと考えたが、やめておいた。少なくとも最初は。
彼の性格通り、その考えがどうしても頭から離れなかった――そこで彼は近づき、銅貨を一枚投げ入れて、その思いを断ち切った。
「ありがとう、レルナス」と彼は、コインが底に沈んでいくのを見ながら呟いた。頬が赤くなり、目を閉じた。像に感謝するなんて、なんだか馬鹿馬鹿しい気がした。でも……いや、もしかしたら、彼があそこにコインを投げ入れたおかげで、みんなが無事だったのかもしれない。
……まあ、たぶん違うだろうけど、だからといって、彼の頭の中で無茶苦茶な仮説が次々と浮かぶのを止めることなんてできないだろう?
ほどなくして、クルルが笑顔で現れた――彼の目には、かつての輝きが戻っていた。近づくと、彼は全員にうなずいた。事柄は順調に進んだのだ。
彼らは急いでエクレールさんの家へ戻った。良い知らせを伝えると、彼女は再び涙を流した――市長は彼女を放置するつもりはなかったし、彼女に関する事柄にはもっと注意を払うと約束してくれたのだ。クルルは市長の言葉の誠意を疑っていたが、これ以上の結果は望めなかった。 さて――彼の努力の真の成果は、市長が老婦人に家を明け渡すようしつこく迫るのをやめることに同意したことだった。
タカには、どうやってそれを成し遂げたのか分からなかったが……
「よくやった、クルル」彼はクルルを見上げてほほえんだ――すると、クルルからは本物の笑顔が返ってきた。
夕方になると、空は灰色がかった。朝になると、空は裂け、三日間も止むことのない豪雨が降り注いだ。




