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『異世界の記録:3人のパーティー』  作者: Hikaru Taka
第6章: 暗い不確実性

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第70話:爆発


タカは膝をつき、息を切らしながら、喉に詰まった塵を吐き出した。彼らの背後では、渦が加速するにつれてオーガのバランスが崩れていた。オーガは前につまずき、顔から石の床に倒れ込んだ。その瞬間、恐ろしく低い悲鳴が洞窟中に響き渡った。さらに数匹のゴブリンが倒れて死ぬと、甲高い悲鳴がいくつか響き渡ったが、 彼らはすでに十分に離れていたため、死の際に出る不快な砕ける音はもはや聞こえなくなっていた。

エイライア――まさかエイライアが――タカが肺から塵を吐き出している間、慰めるように彼の背中に手を置いた。

アーサーはベリルの方を向いた。

「ベリル、その呪文はあとどれくらい持つ?」

「わ、わからない。あと5分くらいかな」

「五分……それは長い時間だな……」エイライアは独り言のように呟いた。

アーサーは短くうなずくと、部屋を横切って歩き出した。そこで彼は遺体をそっと横たえ、クルルに手招きした。

タカは遺体の方へ訝しげな視線を向けたが、アーサーはそれを十分に離れた場所に横たえていたため、ただそこにあること以外、はっきりとは判別できなかった。クルルは慌てて駆け寄り、布をかぶせた。おそらくそれが最善だったのだろう。今日、これ以上どれだけの死を目撃できるか、彼には分からなかった……

「アーサー、あなたの手は!」少し間が空いたのを見て、クルルは叫んだ。「大丈夫か? どうやって……」

アーサーは両手を差し出した。怪我の程度は、指関節が裂けた程度だった。

クルルは驚き、まばたきをした。「神々よ。お前は一体どれほど強いんだ?」彼は感嘆の息を漏らし、アーサーを称賛の眼差しで見つめた。間髪入れずに、彼は自分の手をアーサーの手の上に重ね、集中した。ピンク色の光が両手を包み込み――クルルが手を離したとき、アーサーの指関節は治っていた。 「ほらね」クルルは微笑んだ。「驚いたよ!普通の人なら死んでたはずだ。エシルでさえ、あんな一撃を生き延びられたとは思えない――」

エシルはうめき声を上げた。「いや、クルル。俺がオーガに押しつぶされて生き残れるわけがないのは、明らかだろ。」

「まあ、正直言って、爆発だなんて? 君のような人間にしては、実に賢明な手口だね」と、ベリルはアーサーに向かって言った。「まさか、奴らを全員焼き殺すつもりだとか、そんなことを考えているのかと思っていたのに。」

「いや。それなら別の方法でやらなきゃならなかっただろう。」

「ベリル、それはちょっと……」クルルは彼を諭そうとしたが、エシルが肩に手を置いたことで言葉を遮られた。「放っておけ」――その仕草はそう言っているようだった。

アーサーはエイライアの方を向いた。エルフの長い耳は垂れ下がり、先端がわずかに震えていた。

「エイライア。俺の袋に油の入った水差しがある。それをあの部屋に投げ込むから、君はそれを撃ってくれ。 中に火の結晶を仕込んでおく。タイミングさえ合えば、油が塵を覆い、結晶が地面に当たって発動するはずだ。それから、ベリル、君は『シールド』の呪文を唱えて、俺たちをこの通路に閉じ込め、……すべてがうまくいけば、中の奴らを全滅させられるはずだ。」

「わかった、アーサー」

「それを実行するのに、マナがぎりぎり足りるだけだ」とベリルは呟いた。「でも、これで最後になる。あんな広範囲に『ダスト』の呪文を唱えたせいで、本当に体力が消耗してしまった。」

「これで終わりだ、ベリル。約束する。」

ベリルは返事をしなかった。代わりに、地面に腰を下ろし、あぐらをかいて、気持ちを落ち着かせようとした。

アーサーはバッグから油の瓶を取り出すと、再び仲間たちの方へ注意を向けた。クルルはすでにベルトのポーチからファイアクリスタルを取り出し、それを待ち構えるアーサーの掌にそっと押し当てていた。

「ほら」

アーサーはそれを握りしめた。

「よし。」

彼は容器の蓋を開け、うなずきながらその結晶を中に落とした。ドボン、と音がして、中へ飛び込んだ。蓋を閉めると、ゴブリンで溢れかえる部屋へと続くトンネルを再び歩き始めた。

「ダストストーム」の呪文が猛威を振るう中、周囲をほとんど見通すことなどほぼ不可能だった。実際にその部屋の中へ足を踏み入れるということは、激しい風によって吹き飛ばされる危険を冒すことを意味していた。

「ベリル。エイライア。みんな。準備はいいか?」

「いつも通りだ」と、ベリルは深呼吸をして両手を上げた。

「準備はいい」脇に立っていたエイライアは弓を引き、矢を番えた。

アーサーは轟くような叫び声を上げると、全力を込めてその調味料入れを部屋の中に投げつけた。

「エイライア!」

その言葉と同時に、矢が空を駆け抜け、陶器を真っ二つに貫いた。計画通り、油が 四方八方に飛び散り、火の結晶の赤い閃光が、目をくらませる闇を切り裂いた。

エシルとクルルは両手を合わせ、ベリルは入り口の前に立ち、両手を広げた。タカは決定的な瞬間が訪れるのを見守っていた。不安が喉を締め付け、息をするのもやっとだった。

「死にたくない」と彼は心の中で叫んだ。もしこの計画が失敗すれば、間違いなく全員が死ぬだろう。オーガを倒すことなど到底無理だ――だが、だがアーサー、さっき……それでも――彼は恐怖に震え、死にたくはなかった――ただ、計画が成功することを願うばかりだった!

「どうか成功して、どうか死んでくれ、どうか死んでくれ……」

「ベリル、今だ! みんな、耳を塞いで!」

タカはそうしてしゃがみ込んだ。

ベリルは大きな叫び声を上げながら片腕を天へと突き上げた――「シールド!」

その瞬間、時間が凍りついたかのようだった。

空中のほぼ中央から、巨大で半透明の盾が飛び出し、瞬く間に入り口を封鎖した。塵の渦を険しい表情で見つめながら、一行は身構えた。

……しかし、何も起こらなかった。タカは両手をほんの少しだけ耳から離し、顔を上げて廊下の先を不思議そうに覗き込んだ。

……

部屋の中心の奥深くで、荒れ狂う風に翻弄されながら、水晶にひびが入った。眩いばかりのルビー色の閃光がそこから漏れ出し、そして……それは粉々に砕け散った。

空気を歪ませ、塵の一粒一粒さえも巻き込むような灼熱の熱気が外へと噴き出した。炎が生まれ、渦巻くように舞い上がり、やがてその渦の中心へと吸い込まれると、炎の竜巻となって外へと広がっていった。耳をつんざくような轟音――手遅れだった。タカは慌てて両手を耳に当てた。音が爆発し、洞窟全体が揺れ動き、彼らは皆、頭の両側を押さえながら床に叩きつけられた。

一瞬……そして世界は静まり返った。「シールド」の呪文はひび割れ、粉々に砕け散り、ついに消え去って無へと溶けていった。彼らの目の前に広がる、かつては墓場のように感じられたその部屋は、今や血みどろの惨状と化していた。爆発を生き延びたものは何一つなかった。引き裂かれたゴブリン族の死体と骨の破片が、その事実を痛ましいほどに物語っていた。

少なくとも、一見した限りではそう見えた。

哀れな呻き声と叫び声が、その直前の爆発よりも耳をつんざくような静寂を破っていた。部屋の奥には、今や死にかけているオーガがいた。それは、残された顔や、かつて脚があったはずの出血した切断面を弱々しく掴み、盲目的に空を叩きながら、奇妙な言語で激しく罵声を浴びせていた。

作戦は成功した。彼らは無事だった。

その事実に気づいたタカは立ち上がろうとしたが、結局その場に崩れ落ちてしまった。何か言おうとしたが、まるで壁越しに自分の声を聞いているかのようだった。声はすべてこもっていた。耳には鈍い痛みがズキズキと走り、触れてみると、手は血で濡れていた。彼の頭は瞬く間に一つの結論に達した。何かがひどくおかしい。

タカは胃の中身を洞窟の床に吐き出した。

「くそっ。ああ、くそっ。耳から……血が出てる、俺の……なんてこった。一体全体どうなってるんだ。」

耳鳴りはますます激しくなり、耳全体を包み込むように不快で、自分の思考さえも聞こえなくなっていた。頭が痛かった。耳鳴りは、とてつもなく、とてつもなく大きかった。胃も痛かった。恐ろしい吐き気が彼を襲い、彼は再び吐いた。

耳には何も聞こえなかった。だが、心臓の鼓動だけは感じられた。

『マジでパニック発作を起こしそうだ、俺に一体何が起きてるんだ? 神様、ああ、もう、無理だ、できない……』

彼は、押し寄せる圧倒的な感情の波から逃れようと、体を丸めて身を引きこもった。

すべてが。

すべてが彼を追い詰めていた。息をするのもやっとだった。耳には何も聞こえなかった。

ゴブリンたちは死んでいた。オーガは瀕死だった。自分も死にかけているのだろうか?

「耳が……私の……私の……私の……ク、クルル」と彼はすすり泣いた。「お、お願いだ。助けてくれ……!」

彼は文字通り、今にも泣き出しそうだった。心の奥底にある、原始的な何かが彼の心を掴んで、決して離そうとしなかった。何も聞こえない――そのことが彼を恐怖に陥れた。

タカは、二つの温かい手が自分の肩を掴んだのを感じて身をすくめた。髪は乱れ、顔は鼻水と涙でぐちゃぐちゃになったまま顔を上げると、そこには見覚えのある青い瞳と、見慣れた優しい笑顔が映っていた。

クルル。

クルルのくちばしが動いたが、タカにはその言葉が理解できなかった。

タカの体には、徐々に温もりの波が走り、全身を包み込んでいった。耳鳴りは徐々に収まり、続いて吐き気も引いていった。周囲の声が徐々に聞こえ始め、再び音が聞き取れるようになった。もはや死の淵のような気分でもなく、あのパニック状態も消え去っていた。鼓動が落ち着き始めると、彼はクルルの腕の中に身を投げ出した。

「あ、ありがとう、クルル……神々よ、ありがとう」

「もちろんさ、タカ」

ベリルはようやく、疲れ果てた震えるようなため息をつくと、床にゆったりと腰を下ろした。「神々よ」と彼は呟き、両手で顔を覆った。「神々よ。」

一方、アーサーはそこにいる誰のことも気にかけていなかった。彼はただ長剣を抜き、目的を定めたようにトンネルを歩き、広くて黒ずんだ部屋へと足を踏み入れた。

残りの仲間たちの様子を確認した後、クルルはタカのそばに座り、しばらく彼の手を握っていた。一方、エキルとエイライアはアーサーと共に、最後の部屋を確認しに下へ降りていった。

他の者たちが戻ってくる前に、クルルは遺体のところへ行き、背中で遺体を隠しながら、それをじっくりと観察し始めた。

ベリルは一人座り、独り言をつぶやきながら手のひらをじっと見つめ、時折拳を握りしめていた。

そしてタカは、虚ろな眼差しで床を見つめ、親指の爪で指先を無感覚に突いていた。

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