第63話:リレー
およそ20分後、エシルとクルルが彼らの元に戻ってきた。二人は何も見逃していなかった――ただ、少し前にアーサーが瞬く間に一匹のゴブリンの首を刎ねたことだけは別だが。二人が着地したとき、彼はちょうど剣を拭いている最中だった。
「ああ、神々に感謝だ」
タカは二人の帰還にただただ感謝した。あまりの安堵に、自分が息を止めていたことさえ気づかなかった息が、思わず漏れた。
「遅れて申し訳ない」
アーサーは、剣を腰に下げたエシルを期待を込めて一瞥した。その声には、顔に浮かぶ動揺が微塵も表れていなかった。「どうだ?」
エシルはうなずいた。「状況はほぼ把握できたと思う。町中にゴブリンが四十三体おり、その半数以上はすでに倒されている。我々の側の犠牲者は、数えて三名だ。町の広場は騒然としている――二棟の建物が炎上しているが、我々が上空を通過した時には消火作業が行われていた。 レルンの他の地域については、燃え方が様々な建物が12棟あるのを確認した。そのほとんどは消火作業が進められているが、君もすでに煙の柱を見ているだろう」彼はくちばしのような頭を、最も近い建物の方へと傾けた。「北側の富裕地区では、数カ所で火災が発生しており、うろついているゴブリンを1体発見した。 残りの家々は、その方向のさらに奥にありました…… 、それらの火災が最も近く――付け加えるなら、明らかに最も深刻な状況ですが――私が次に何を提案するかは、お分かりでしょう。あなたのような方なら理解していただけると思いますよ、アーサー?」
アーサーの表情は――もしそれが可能だとしたら――さらに険しくなった。彼の口元はとっくに深くしかめ面になっていたが、それがさらに深まった。
「それなら行こう。奴を倒すんだ。奴を倒して、火事を食い止めるんだ。」
エシルは微笑んだ。「その通りだ」と、彼は羽の生えた手を掲げた。「だが、まずは話を最後まで聞いてもらいたい。クルルは、冒険者の一団が真北の森へと向かうのを目撃した。さて、私は、そこに我々の巣があるのではないかと考えている。さらに、この町にこの状況を知らない冒険者がいるとは、極めて考えにくい。 したがって、幸いなことに、実際に彼らを殲滅する任務を我々が任される可能性は低そうだ。私たちが目撃したあのパーティーが、おそらく今この瞬間にも、その件を片付けてくれているはずだ。」
それを聞いて、アーサーはまるで恐ろしいことを提案されたかのように、彼を睨みつけた。しかし、エシルはその睨みにも動じなかった。
「結論として……私とクルルが見たすべてを踏まえると――あくまで仮説だが――これははるかに恐ろしい事態の始まりだと推測する。早ければ早いほど、その影響を軽減できる可能性は高まる……つまり、ゴブリンたちは、いわば様子見をしているだけだと私は考えている。 この巣に魔物が巣食っているという考えは一旦脇に置いておこう――地下から魔法の気配は感じられなかったから、その可能性は低いようだ。ゴブリン系の魔法、と明確にしておくべきだろう。それを踏まえて、その洞窟には少なくとも百体のゴブリンがいると仮定しよう。このシナリオにおいて、なぜ彼らは一斉に町を攻撃しなかったのか? 彼らは、自分たちの行動によって冒険者たちが巣を発見し、侵入してくることを承知の上で、波状攻撃を仕掛けるつもりだったと推測する。 さて、仮に彼らがこれらの冒険者を倒したとすれば……それは間違いなくレルンの防衛力を弱めることになるだろう。つまり、この……『サイクル』が数回繰り返された後、彼らは総力を挙げて町を包囲することになる。しかし、ゴブリンには、そのような戦略的計画を立てるのに必要な先見の明など、そもそも持ち合わせていない。もしかすると、誰か、あるいは何かによって率いられているのではないか。私の言わんとしていることが分かるか?」
「……そんな話に構っている暇はない。」
「ああ、確かに」とエシルは同意した。「だが、もしゴブリンたちに指揮官がいるとしたら、それは極めて不穏な話だ。とはいえ、誰が、あるいは何が彼らを率いているのか、私には想像もつかないが。」
一呼吸を置いた。
「よし」と彼はついに宣言した。「これが我々の報告だ。アーサー、我々をどこへ連れて行きたいんだ?」
アーサーは、怒りを必死に抑え込もうとしているかのように、鼻を鳴らした。タカの目には、彼が激しい内なる葛藤と戦っているように映った……
「先頭で偵察を続けろ。何か見つけたら知らせてくれ」と、彼はようやく口にした。
二人の鳥族はうなずいて応じた。まずエシルが飛び立ち、続いてクルルが飛び立った。クルルは最後にこう一言残した。「彼も、たまには指導者の座にいないことを喜んでいるんじゃないかと思うよ……」
アーサーがタカとベリルの目を見つめると、タカは喉を鳴らした。
「北にある燃え盛る家々へ向かう。急ごう」




