第53話:ドワーフ、ツイストワイヤー
「ゴブリンのクエストを引き受けるぞ!」ベリルはまるでパーティのリーダーであるかのように宣言した。
アーサーは急に足を止めた。タカは彼の表情が曇っていくのを見ていたが……やがて、彼はゆっくりと頷いた。
「わかった」彼の口調は短く、それからはギルドに着くまで一言も発しなかった。ぎこちなく、居心地悪そうに動く様子や、一瞬見せたあの表情……タカは、この一連の出来事がアーサーを妙な気分にさせてしまったのだと感じた。まあ、タカは彼を責める気はなかった。自分だってゴブリンと戦いたくはなかったのだから。
マジで。この世のモンスターはゴブリンだけじゃないんだ。ゴブリンやクモ、巨大ネズミの代わりに、なぜスライムでも狩ったり、そういうのには行けなかったんだろう? もっと比較的簡単なものではダメだったのか? 生まれてこのかた2度目となるDランクで、なぜわざわざゴブリンなんだよ?!
そう考えながら、タカは曇り空をじっと見つめていた。
「……せめて、これがうまくいきますように」
依頼主のオーモンド・ツイストワイヤーは、きょろきょろと目を泳がせ、手入れの行き届いた髭の陰から、強い訛りで話すドワーフだった。彼は地元の鍛冶屋兼武器店の個人経営者で、店自体は簡単に見つけられたが、彼自身の言葉は決して理解しやすいものではなかった。 彼の振る舞いは奇妙だったかもしれないが、タカは、今回に限っては、アーサーがそれほどしつこく聞き出さなくても、依頼人自身が について詳しく説明してくれたことをただただ嬉しく思っていた。ただ、一つ不思議だった――なぜ彼はあんなに罪悪感に満ちた表情をしているのだろうか?
話を聞くと、数週間前、彼の知人がレルンから約8時間ほど離れたある道でゴブリンに待ち伏せ攻撃を受けたらしい。その襲撃で、知人は雇っていた護衛の大半と、商品の相当な部分を失ってしまった。二人は友人同士だったため、ツイストワイヤーは彼に借りがあると感じ、そこで冒険者たちの出番となったのだ。
彼らの任務は、ゴブリンを一掃し、その連絡役が盗まれた品物の残りを回収できるようにすることだった。任務完了の証拠としては……ツイストワイヤーが求めていたのは、ゴブリンのトーテムの一つだけだった。
アーサーが地図とツイストワイヤーからの情報を照らし合わせ、彼の助けを借りて確認を終えると、彼らはすぐに出発した。予想通り、ベリルはそれに対して声高に不満を漏らした。
時間が限られていたため、アーサーは馬車を雇って目的地へ向かった。
日没前に到着した。




