第51話:謝罪
朝、タカが共有スペースへ向かうと、そこには驚くべき光景が広がっていた。アーサーがすでにテーブルについていた――それはいつものことだった。いや、彼を驚かせたのは、ベリルがここにいたことだった。
ベリル。
えっ、ベリル?!
「ベリル!」タカは息を呑み、駆け寄って席にどさりと座り込んだ。「ベリル、どこに行ってたんだ?? もう3日も経ってるぞ!」
最初は、ベリルは茶碗から顔を上げようとしなかった。タカの顔に不安が浮かんだが、ベリルがようやく彼の目を見て答えると、その表情は消えた。ちょうどタカがもう一度名前を呼ぼうとしていたまさにその瞬間だった。
「……ごめん、タカ」
タカはまばたきをした。「え? どういうこと? 何に対してごめんって?」
その言葉は、本意よりも少しきつい口調になってしまったが、彼は心から戸惑っていたのだ。
ベリルは眉をひそめた。
「……」
『何に対して…?』
沈黙が長引いた。アーサーはコーヒーをすすりながらその様子を見守っていた。少し時間がかかったが、タカはほどなくしてベリルの言わんとしていることを理解した。あのマナミサイルの件のことか……
「あ、えっと……」彼は微笑んだ。「うん、大丈夫だよ、ベリル」
『つまり……確かに怖かったけど、彼は謝ったし、わざとやったわけじゃないよね? またあんなことするなんて、まずないと思うし……』
ベリルはまだ納得していない様子だった。彼は紅茶からタカへと、少し躊躇いがちに視線を移した。
「それと……ありがとう」と彼は、ほとんど囁き声に近い声で付け加えた。「その……プレゼントを」
それを聞いて、タカはなんだか嬉しくなった。ベリルから「ありがとう」と「ごめん」がこんなに立て続けに? 世の中、どうなってしまったんだ?……ところで、なんで頬がこんなに熱く感じるんだ? それに、なんで髪をいじり回しているんだ?
『やめろ!』
「その、えっと、どういたしまして。ベリル、お誕生日おめでとう!」彼は少し間を置いた。「いや、もう遅れちゃったけど……まあ、とにかく。お誕生日おめでとう。」
ベリルは無言でうなずいた。
『まあ、気に入ってくれたらいいな。ありがとうって言ったから、きっと気に入ってるんだろう。彼が戻ってきてよかった。それに、謝ってくれたし。そんなこと滅多にないのに……』
そう思うと、プレゼントを買った日のことが思い出された。かなり高価だったので、アーサーの支払いを手伝おうとしたのだが、彼は自分で買うと頑なに主張したのだ。
マジで、アーサーは一体どこからそんな大金を出しているんだろう? 冒険者になる前は、一体何をしていたんだ? 何かのボディーガードとか? それとも、画家? うーん。画家としてのアーサー、あるいはボディーガード兼……まあ、アーサーは絵を描くようなタイプには見えないけど、それでもなんだか面白いイメージだ。
残念ながら、タカにそれを尋ねる機会は訪れなかった。朝食が終わるやいなや、アーサーはその日の計画の詳細を語り始めたからだ。まずはスパーリング。そしてその後は? ついにDランクの依頼に挑むことになっていた。




