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『異世界の記録:3人のパーティー』  作者: Hikaru Taka
第4章:シックスティーン

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第44話:オーラム・フォー

「剣の核心となる羅針盤」は、3つの異なる方向性を特徴とする流派で構成されていた。北は攻撃を、中央は均衡を、そして南は防御を象徴していた。

これら3つの剣術流派は、他のあらゆる剣術スタイルの基礎を成していた――北流や南流でさえ、中央流から派生したものであった。

形式的には、これらの流派は「中央」という接頭辞を付けて呼ばれていた。しかし、現代では多くの人がこの接尾辞を省略することを選んでいた。タカはそんなことは気にしなかった。「南中央」の方がカッコいいから、そう呼ぶことにしたのだ。どうせそれが本来の名称だったし。

そうした重要な事実を除けば、本に書かれていたことは、アーサーが彼に教えてくれたことを、ただもっと凝った表現で繰り返しているに過ぎなかった。

…

数時間が完全な静寂の中で過ぎ去った。あるいは、タカがそれほどまでに読書に没頭していただけなのかもしれない。いずれにせよ、彼が再び顔を上げた頃には、空は鮮やかなオレンジ色に染まり始めていた。

「あっ、やばい!」彼は叫びながら飛び起きた。もう日が沈みかけているのか?! アーサーとベリルと夕食を共にするために、ドラゴンスモーに戻らなきゃ!

タカは慌てて受付に戻り、読んでいた本を返却して司書に礼を述べると、ドアから飛び出した。彼は道路の脇を歩きながら、早足で歩き出した。

彼は短期間で圧倒的な量の情報を貪るように吸収したが、それでもまだその本を読み終えるには程遠かった。(公平を期すなら、その本は千ページをはるかに超える分量だったのだが。)

彼には考えなければならないことが山ほどあった。まず第一に、アーサーはセントラル流を修めていると主張していたが、その動きはどちらかといえば……北セントラル流に近いものだった。その動きは攻撃的で荒々しく、追いかけるのが難しいものだった。しかし、その動きの裏には、まるで千回も繰り返してきたかのような、熟練した重みがあった。一体、彼の経歴はどうなっているのか? アーサーはベリルよりも謎めいた存在だった――もっとも、あのハーフエルフにとって唯一の謎といえば、なぜ彼があんなに嫌な奴なのかということだけだったが。

タカは足を止めた。ベリルといえば、彼を見かけなかった。まだ図書館にいるのだろうか? それとも、もう出てしまったのだろうか?

「戻って彼を探すべきだろうか?」

彼は辺りを見回したが、彼に似た人物は見当たらなかった。通りが完全に空っぽというわけではないが、暗くなりつつあるため、外を歩いている人はほとんどいなかった。どこか不気味な雰囲気だった。タカはある格言を思い出した。「夜になって街を歩いているのは、冒険者か、悪意のある者だけだ」といった趣旨のものだった。街灯がまばらとはいえ、それがあることに彼は安堵した。

そう考えながら、一方で、ベリルが暗闇の中で一人きりにされていると思うと気が気ではなかったので、戻って確認したい気持ちもあった。しかし他方で、自分が無防備というわけでもない。魔法があるのだから、必要なら身を守れるはずだ。それに……

タカはため息をつき、暗くなりつつある空へと視線を向けた。たぶん、どうでもいいことかもしれない。何しろ、ベリルは「私たちは友達じゃない」と言っていたし。それに、レルンがそれほど危険な場所というわけでもない。夜間のパトロールをしている警備員もいるし。だから、大丈夫だろう。

彼は歩調を速めた。


ドラゴンスマウの馴染み深い看板が視界に入ると、タカの胸に安堵感が広がった。扉をくぐり抜け、酒と肉の匂いが漂う店内に足を踏み入れると、彼はいつもの席に目をやった。そこには今、二人が座っていた……

「アーサー!」

「おい、アーサー!」と声をかけながら、彼はその方向へ向かった。男はいつものようにうなずいて応えた。タカは足を止めた。胃の底に不安が込み上げてきた――ベリルもここにいたのだ。しぶしぶ、タカは席に腰を下ろすと、気まずい空気を和らげようと試みた。

「えっと……やあ、ベリル」

「やあ」と彼は、湯気の立つオレンジがかったお茶をすすりながら、さりげなく答えた。

「お茶にハマるなんてこと、あるのかな」とタカは思った。もしそうなら、ベリルがいつもカップ一杯のお茶を持ち歩いている理由も説明がつく。

「それ、どんなお茶?」と彼は無邪気に尋ねた。

「緑茶だ」 簡潔で、まばたき一つしない口調だった。

「……でも、オレンジ色だよ」

ベリルは鼻を鳴らし、白目をむいた。

「お茶って、名前と色が必ずしも一致するとは限らないんだ。」

『わかったよ!』

口論になりたくなかったタカは、代わりにアーサーに話しかけることにした。

「じゃあ、君たちは今座ったばかり? それとももう食べた? それとも……?」

「今座ったばかりだよ」

偶然にも、その言葉が口をついたまさにその瞬間、注文を聞きに来る店員が近づいてきた。

「こんにちは!お二人、ご注文は……あ、もう一人お越しになったんですね!飲み物はいかがですか?それとも、もうご注文いただけますか……?もしもう少しお時間が必要なら、それは……」

「注文するよ」とアーサーが口を挟んだ。

「では、何にしましょうか?」

「日替わりシチューとコーヒー。ブラックで。」

『夜にコーヒー?!』確かに、タカが彼がそうするのを見るのはこれが初めてではなかったが、それでもいつも驚かされるのだった。

「日替わりシチューとコーヒー……承知しました。あなたは?」

そう言って、彼女はベリルの方へ視線を向けた。

「僕は……これをお願いします」彼はメニューの上のそれを指さした。

「わかりました……では、あなたは?」

「あ、えっと。あの、私も日替わりシチューで、それから、お水もいただけますか?」

「もちろんです。すぐにお持ちしますね。」

タカは両手を組み、うめき声を上げながらテーブル越しに体を伸ばした。ベリルは、まるで潰すべき厄介な虫でも見るかのように、嫌悪感たっぷりの眼差しで彼を睨みつけた。

彼を無視して、タカは椅子に背筋を伸ばした。

「アーサー」と彼は切り出した。「一つ聞きたいことがある。この仕組みを俺が正しく理解しているかどうか、教えてほしいんだ」

「わかったよ」

するとすぐに、タカはベリルの支離滅裂な演説にも引けを取らないほど長々とした説教を繰り広げ、自分が読んだ内容をすべて網羅していった。アーサーはこの分野の専門家だったはずだ。だからタカは、あらゆる戦闘スタイルの長所と短所を正しく理解しているか、そして大まかに言えば、自分が読んだ内容を「把握」できているかを確認したかったのだ。

もちろん、彼には少しばかり別の意図もあったのかもしれない。何しろ、これはアーサーに、英雄レルナスが用いたことで有名な「南中央流」の修行を受けたいと伝える絶好のチャンスだったのだ。神よ、あの話を初めて聞いた時、彼は何歳だっただろう? 10歳くらいだったか? 光の刃でサルガンタスという恐ろしい悪を打ち倒した、南中央流の使い手、レルナス。

それはすべて、本当にカッコよかった。正直なところ、自分にとってより大きな影響を与えたのは、デインの話なのか、それとも有名な英雄レルナスの話なのか、はっきりとは言い分けられなかった。それらはすべて、インスピレーションと壮大さが混ざり合った大鍋の中で溶け合い、彼の憧れの対象となり、そもそも彼が冒険者になりたいと思った理由の一端を支える柱となっていたのだ。

「それで?」タカは、彼の熱のこもった独白が終わるのを待って尋ねた。

「どういう意味?」

「俺の理解は合ってるか?」

アーサーは最初、返事をしなかった。タカは彼の表情を読み取れたらと切に願ったが、石の壁のような顔からは何も読み取れなかった。

それから、彼はうなずいた。

「私の知る限りではね。」その口調はいつものように感情をほとんど表していなかったが、口元は別の物語を語っていた。誇らしげな、ほのかな笑みが彼の顔に浮かんでいたのだ。

そのことで、タカは自分を誇らしく思った。とはいえ、あと一歩踏み出す必要があった――今が正念場だ。

「それで」と彼は続けた。自信の裏に、緊張がチクチクと走っていた。「サウス・セントラル・スタイルの使い方を学びたいんだ。えっと、僕にはそっちの方が合ってると思うし、その……」

「わかった」とアーサーは承諾した。

「本当か?!」

まだ言いたいことは全部言ってはいなかった。適切な言葉を探している最中にアーサーに話を遮られてしまったが……でも、もしアーサーがこれほど快く受け入れてくれるのなら、もしトレーニングのスタイルをそう簡単に切り替えるためにタカが言うべきことが本当にそれだけだったのなら? それなら、うん、いいよ! タカはそれで構わなかった。構わないどころか――有頂天だった。

「そう。でも、セントラルは練習しなきゃいけないよ」

「はい!アーサー、最高だよ!」

男は視線をそらした。タカはそれに気づかなかった。突然湧き上がった高揚感に飲み込まれ、彼は無意味な言葉を次から次へと口走っていた。

「知ってる? すごい話なんだけど、サウス・セントラルは、千年前くらいにサルガンタスって奴を倒した英雄、レルナスが使ってたんだ! その話、読んだことある?」

ベリルはうめき声を上げた。「まったく、タカ。これ以上うざくなることなんてあるか? ああ、レルナスと彼が『サウス・スタイル』を使ったことなんて、死んだ祖母に至るまで誰もが知ってるよ。彼は――」

「なんでそんな呼び方してるんだ? 『サウス・セントラル』って言うんだよ!」

「古臭い名前の、古臭い――」

口論が始まった途端、突然の声がそれを遮った。

「……僕が子供の頃、父があの物語を読んでくれたんだ」アーサーの声は低く、物憂げだった。「僕は彼みたいに英雄になりたかったんだ。」

「なりたかった?」

タカは彼に向かって満面の笑みを浮かべた。「アーサー、君は十分に英雄的だと思うよ!」

アーサーの表情は曇り、葛藤が浮かんだ。彼は答えなかった。

「おい!」場の空気を全く読み取れていない様子で、ベリルはテーブルに両手を叩きつけた。「痛っ!」と彼は叫び、手を後ろに引くと、まるで感電したかのように手を振った。

一体何が起こると思っていたんだろう、とタカは思わず考えてしまった。

「……僕も自分で調べて、練習できるものを見つけたんだ。」

「それは何だ?」

ベリルはまた脱線しそうな様子で鼻を高く持ち上げたので、タカは身構えた。貴族の表情は嫌味な嘲笑へと変わり、そして……

「野蛮な武器への魔法の付与だ!」彼は両腕を大きく広げながら、大げさに宣言した。「昨日、四冊の本を読んだ。そう、四冊だ。そのうちの1冊に、私がすっかり忘れていた話題が触れられていた――『野蛮な鋼への元素強化』だ!」ベリルは言葉を切り、期待に満ちた眼差しでタカとアーサーを見回した。二人とも何も言わなかったため、彼は話を続ける合図だと受け取った。

「この『魔法の付与』が最初に記録されたのは、はるか昔の戦争の際であり、その実行者が他ならぬ『オーラム・フォー』と呼ばれる集団だったことをご存知か? そうだ! 記録によれば、彼らは圧倒的――物語によっては『無限』とも言われる――魔法の能力を操り、山さえも平らにしたり、あるいは(これは誇張だろうが)剣を一振りするだけで地形全体を再構築することさえできたという。 しかも、たった一人の命も奪わずに。もちろん、物語は時が経つにつれて改変されたり歪められたりするものだから、それらが厳密な事実とは限らないだろうが、それはさておき!この四人のバトルメイジは勇敢で不屈だった!そのあまりの偉業ゆえに、彼らが救った者たちによって、彼らの英雄的な活躍や振るった力について数え切れないほどの物語が綴られているのだ!」

タカには、戦術魔術師の行動がどうして「英雄的」と見なされるのか理解できなかったが……まあ、勝者側にとってはそうだったのかもしれないな? とはいえ、部隊の支援を中断して近隣の村々を避難させた魔術師たちの話もいくつかあった。彼らが助けた人々が、魔法の才能を持つ救い主たちについて、できる限りのことを記録に残そうとしたのは、当然のことだったのだろう。

「オーラム・フォーの各メンバーは、それぞれ一つの元素を体現していた。だからこそ、四つの元素が武器への魔力付与の基本原理の礎となっているのだ。研究者たちが、このグループの力がどのように機能していたのかを理解できたのは、まさにそれらの文書や記録、物語のおかげに他ならない。そして、彼らがその研究成果を公表すると、この技法は、とりわけ冒険者の間ではかなり一般的になった……我々もその一人だ! 残念ながら、現代の魔力付与はかつての影も形もない代物に過ぎないが……もしそれを習得できれば、理論上は、それらの元素に属する魔法をより容易に扱えるようになるはずだ。」そう言うと、彼は手を叩き、その長々として支離滅裂な講義を締めくくった。「もちろん、魔力付与そのものも例外ではない!」

うっ。彼の声には傲慢さが滲み出ていた……ふむ。タカが考えてみると、その話にはどこか聞き覚えがあった。きっと、以前デインが話してくれた物語の一つに違いない。あの『 』は、塔の魔術師の話だったか、それとも……? いや、それは別の話だ。うーん。『Aurum Four』……名前が変な連中が出てくる話だったか?

「すみません、それって具体的にどの話ですか? なんだか……」

ベリルはたちまち顔を真っ赤にして、声は熱狂的な高まりを見せた。「聞いてくれて本当に嬉しい!うーん!私、ベリル・エドマンド・シフレ・フォン・アシュワズが、魔法と英雄譚に満ちたこの物語を、あなたに語らせてください!」

タカはうめき声を漏らさないよう必死にこらえた。一体何をしてしまったんだ? 最悪なのは、まだ料理が運ばれてきていないため、彼を無視することもできないということだった……

「『炎のアウレウス』、『風のアルバス』、『霜のカエルレウス』、『嵐のカヌス』のことはご存知ですよね?」

「……いいえ、知りません。えっと、あの、もしかして僕は――」彼は今や後退し、ベリルの長広舌を止められることを一縷の望みをかけて願っていた。だが、それは叶わなかった。

「まあ! その4人が『オーラム・フォー』だったんだ! 彼らは正体を隠すために常に仮面とフードを被っていたと言われているが、その理由は、彼らが姿を消す前に――」

食事が運ばれてくると、タカは彼の話を聞き流した。案の定、ベリルは延々と話し続けたが、ついにアーサーが口を挟んだ。

「わかった」と彼は答えた。「だが、剣を使うにはまだ訓練が必要だ。だから、授業をサボることは許さない」それは、彼にとって必要不可欠な、きっぱりとした忠告だった。

ベリルは手を振り、まだ顔には得意げな笑みを浮かべていた。まるで「俺の勝ちだ」とか思っているかのようだった。

「いやいや、お前のようなどぶずのような奴とは理屈が通じないってことはもう分かってる……だが、お前がタカにあの馬鹿げた回避術の何やらを教えている間、俺も本物の剣に魔法を宿させて一人で練習してもいいか? 木はマナをあまり通さないから、俺は――」

アーサーは残りの言葉を聞く必要はなかった。

「それでいいだろう」

それで話は終わった。

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