↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異世界の記録:3人のパーティー』  作者: Hikaru Taka
第3章:「アポテカリウム」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/74

第38話:本物の冒険者

タカは風に吹かれて身震いした。空を見上げ、太陽の位置から判断すると……おそらく今は正午を少し過ぎた頃だろう。そういえば、顔に当たる日差しが心地よかった。今日は最高の天気だ!

「よし」とアーサーが二人に向かって言った。「タカ、ベリル。今日はここまでだ。明日の朝から訓練を始める。夕食の時間には会えないかもしれない。食事代は払えるか?」

「もちろん払えるよ!」ベリルが得意げに叫んだ。

「私……たぶん……待って、なんで夕食を一緒に食べないの?」

「忙しいんだ」

タカはまばたきをした。えっと、それはちょっと……

「あ、えっと……わかったよ」

「了解。」

タカは言われた通りにした。カバンをまさぐり、小銭入れを取り出すと、口を閉じていた紐をほどいた。

「えっと……」

確認したところ、お金はまだ残っていた。

「うん、夕食代は払えると思うよ。まあ、いつものように酒場で食べるだけだし。」彼は隣に立っている男をちらりと見た。「あ、ベリル――お前の分は払わないから、変なこと考えないでね。なんか、お前が何かしようとしてくるような気がして――」

「まさか、そんなことするわけない――!」

「わかった。二人とも気をつけてな。」

「うん。君もね、アーサー」

アーサーは顔に微かな笑みを浮かべ、振り返って歩き出した――そして、二人がさっき出たばかりの店へと再び入っていった。タカは困惑した表情でベリルの方を見たが、ベリルもまた同じように困惑した表情でタカを見つめ返した。

「えっと、なんであの人……? あ、たぶん何か忘れ物でもしたんだろう。まあ、これで自由になったわけだし。でも、これからどうすればいいか全然わからない。正直なところ、今日から始まると思ってたから、急にこんなに時間ができてしまって……」

ベリルはニヤリと笑った。

「そりゃあ、君にはこの時間をどう過ごせばいいか分からないだろうね! 一方、俺は、このちっぽけな村に図書館があるかどうか確かめてくるよ!」

そんな得意げな答えを残すと、彼は一見ランダムな方向へと歩き去っていった。

『まあ、頑張ってね、ってところかな』

ため息をつきながら、タカは一人きりになったことに気づいた。

「ちっぽけな村……?」レルンは村ではなかったし、ましてや……「ちっぽけ」だなんて、それがどういう意味なのかもわからない。まあ、とにかく。

『マジかよ。俺、一体何をしたいんだ? 今日が自由な日なら……うーん。ぶらぶら歩いて、面白そうなものを探してみるのもいいかも。それなら悪くないな。』

そうだな。人目につかない場所を見つけて、座ってくつろいでみるのもいいかもしれない。


その夜、タカは冒険者の証をじっと見つめていた。鎖を拳に握りしめ、それをぶら下げていた。彼はベッドに仰向けに寝転がり、隣にある開いた窓から差し込む月明かりが、その金属に反射していた。

「そういえば、昔はこのタグをつけるのが大嫌いだったな。ほんの数週間前までは……変だな。本当に時が経つのは早いものだ。」

彼の笑顔は、次第にニヤリと笑みに変わった。

「もう、俺は本物の冒険者だ。俺は――」彼はあくびをした。「本当に冒険者なんだ。」

タカはタグをベッドサイドテーブルに置き、コップの水に指を二本浸して、デインに教わった通りにろうそくの火を消した。「チュッ」という音と共に、部屋は暗くなった。ついに彼は目を閉じ、横向きになった。

『寝る時間だ』と彼は自分に言い聞かせた。長い一日だった――いや、それすら控えめな表現だろう。

リラックスしようとした矢先、地下室の光景が脳裏をよぎり、心を苛み始めた。巨大なネズミたち、よだれを垂らし、顎をカチカチと鳴らし、逆立った毛並み……彼は目を見開いた。

その記憶を思い出すのが嫌だった――考えるだけで心拍数が急上昇するのが感じられた。彼は指を顔に押し当て、それから深呼吸をした。

「よし……」と彼は呟いた。「大丈夫だよ、タカ。心配するな、当分は地下室にも行かないし、怪物もいない。えっと……だから……とにかく、文字通り、それ以外のことを考えよう。」

彼は、さっき石を投げ込んでいた小川のことを思い浮かべようと必死になった。あれはリラックスできた。そうだ。石を水面に跳ねさせること――いつかベリルも一緒に来て、それをやってくれたらいいのに。でも、彼のあの性格を考えると……そうでもないかもしれない。

かつて、デインはマーヴェラッドや自宅に、ある魔法のアイテムをいくつか持っていた。それは、聞こえてくる音を録音して再生できるものだった。あれは本当に素晴らしかった。森の音や海の音、水の流れる音を聞きながら眠りにつく……彼はそれが本当に恋しかった。あれは「再生の石」とか、そんな名前だったっけ?

「ああ、でも、一体どうやって手に入れればいいんだ? めちゃくちゃ高いんだぞ。実家の自分の部屋に置いてあったやつを持ってきていいか、デインに聞いておけばよかった……」

まだ比較的新しい技術だったため、そう簡単には手に入らなかった。もし首都にあれば? それなら、デインがそれを買った店を探さなければならないだろう。

仕方がない。想像力を働かせるしかない。

水のせせらぎ……

数分が過ぎ、やがて眠気が意識の端を蝕み始めた。それでも、彼は心の中でこう願わずにはいられなかった……

もしも……

ベリルとアーサーに……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。