第37話:15ゴールド
食事を終えると、アーサーはベリルとタカを連れて街を横切り、アールバークスの冒険者用品店へと向かった。
レルンには他にも買い物ができる店が山ほどあるのに、なぜ彼がこの特定の店をこれほどまでに好んでいるのか、二人は理解できなかった。
ギルドからここへ来るのに約30分かかるという事実はさておき、店は町の風変わりな一角にあり、レルンの4つの入口門の1つの真向かいに位置していた。見方によっては、店としては非常に奇妙な場所であるか、あるいは極めて賢明な場所であるかのどちらかだった。
タカは尋ねたくなったので、そのまま口を開いた。
「ねえ、アーサー」と彼は言った。「えっと、僕たちがここへ何度も戻ってくるのには、何か理由があるの?」
「ないよ」
『なるほど。まあ、それじゃ何も説明になってないな』
何か理由があるはずだよね?彼は頭をひねり、この答えの出ない謎を解き明かそうとした。アーサーは単に他の店がどこにあるか知らなかっただけなのか、それともこの店の何か特定のところが本当に気に入っていたのか?あるいは、結局のところ、理由なんてなかったのかもしれない。
「まあ、どうでもいいか。とにかく、ここまでの散歩は好きだし。なんだかいい感じだし。」
いずれにせよ、この買い物はタカが予想していた通り、まさにうんざりするほど面倒で恥ずかしいものになってしまった。残念なことに、店の片隅に身を隠したからといって、ベリルが絶叫したり、ぐずったり、アーサーと一歩ごとに揉めたりする声が聞こえないわけではなかった。まるで大きくなりすぎた幼児を相手にしているような状況にもかかわらず、アーサーは一度も声を荒げることはなかった。
そういえば、初めて会った時、ベリルは十六歳だと言っていなかったか? もしそれが本当なら、彼の振る舞いは到底その年齢には見えない。むしろ五歳児のようだ。えっと……どういうこと?
「全部、馬鹿げた演技か何かだったらいいんだけど、彼はかなり一貫してこんな調子だ。この時点で、これは演技じゃないと言ってもいいだろう……そして、ベリルはただただうっとうしい。 つまり、たまにまともな時もあるんだけど――私……貴族がみんなこうじゃないのは分かってるけど……私は絶対に 金持ちのことは理解できない。いや、正確に言えば、彼だけは絶対に理解できない、と言った方が正しいかもね。」
最悪だったのは、ドワーフの店主が奥の部屋から現れ、手を拭きながら「えっと、お三方、お帰りなさい。何かお探しですか? それとも、店の中で大声で言い争い続けるつもりですか?」と言った時だった。
「あれ全部聞こえてたのか?」とタカが尋ねた。
「君たちが関わっていないと分かるくらいには聞こえていたよ」と店主は答え、ベリルとアーサーを苛立った様子で睨みつけた。
「マジで。やめてくれ。二人が言い争うなら、せめて買い物の最中にしろ。いや、それより、そもそもやめてくれ。」
「騒がせてすみません」とアーサーは、相変わらず無表情な口調で言った。
ベリルを見つめながら、タカは自分の自信がほんの少しだけ高まったのを感じた。地下室での件では失敗してしまったかもしれないが、それを責めているのは自分以外には誰もいない。それに、ある人物とは違って、少なくとも自分はアーサーの教えを覚えていられたのだから。
「アーサーは時々厳しいけど、正直言って、この訓練がちょっと楽しみなんだ。ベリルがどんなに頑固で子供っぽく振る舞おうと、僕は本当にこれが楽しみなんだ。だって、そうすれば、僕はもっと強くなれるから!」
やがて貴族は剣を手に取ったが、それは彼自身と同じくらい派手な代物だった――誰も驚かなかった。
その剣は、装飾や彫刻があまりにも豪華で、武器というよりは派手な壁飾りにふさわしいようにさえ見えた。鋼で鍛えられ、細く、ほとんどレイピアのようなガードを備えたその剣の柄には、金で彩られた美しい模様が彫り込まれており、まるで芸術作品のようにうねりながら、刃そのものへと続いていた。
しかし、その精巧さにもかかわらず、紛れもなくそれは短剣であり――しかも実に美しい短剣だった。そして、まるで絵画のようにその武器を完成させるかのように、ガードのすぐ下に一粒の赤い四角い宝石が埋め込まれていた。正確にはベリルだ。しかし、そこにいた三人の中で、それがどんな種類の宝石かを知っていたのはただ一人だけだった。
その人物とは……皮肉なことに、ベリル本人だった。
その刃を形容するために何百万もの言葉を並べたとしても、圧力に耐えられなければ、そのどれもが意味をなさなかっただろう。アーサーはその事実を知っており、彼らに強く印象づけていた。しかし、しばらくの質疑応答と、 や彼自身がベリルに様々な動きをさせたりした後、彼は十分に満足したようだった。 一般的に、「優雅さ」を追求しすぎた剣は平均より早く壊れがちだが、この剣は例外のようだった。
「君にはぴったりなようだ」
ベリルは誇らしげな笑みを浮かべて、剣を空へと突き上げた。「ふむ! その通りだ! 運命がこの剣を私の手に導いてくれたのだ!」
ベリルがまた支離滅裂なことを言い始めた頃、アーサーはカウンターへと歩み寄った。そこではドワーフが彼を怪訝そうな目で見つめていた。
「いくらだ?」と彼は尋ねた。
「その剣か? 十五ゴールドだ。」
アーサーは財布から金貨を取り出し、カウンターの上に置いた。ドワーフはそれを数え、微笑んで言った。「どうぞ。いつもご利用いただきありがとうございます。」
アーサーはさっとうなずいて礼を返し、背を向けると、他の二人に後についてくるよう手招きして店を出ようとした。
「さあ、行こう。」




