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『異世界の記録:3人のパーティー』  作者: Hikaru Taka
第3章:「アポテカリウム」

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第33話:クリア・タグ

「君は……」

エニャは、タカとベリルの表情を見て、お茶を落としそうになった。何とか平静を装おうと、彼女は咳払いをしてから、作り笑いを浮かべて一行を見つめた。「終わったの?」彼女の声には、いつもの らしい熱意は微塵もなく、むしろ漠然とした不安を帯びた、平板な口調だった。

「ネズミは死んだ」とアーサーはうめき声を上げ、一歩踏み出した。彼の目は、その声からは読み取れない感情を露わにしていた。彼は腹を立てていたのだ。

「あ、ああ、そう……」彼女が言葉を終える間もなく、アーサーは彼女の小さな木製のロッキングチェアの上にそびえ立ち、手を差し伸べていた。

「クリア・タグをよこせ」と彼は要求した。

「え、えっと、ちょっと待って! 誰が、何が、どうやって……って説明を聞くつもりだったんだけど――」

アーサーは腕を組んだ。「いいだろう」そう言うと、彼は彼女にすべてを話した。クエストがどのように展開したかから始まり、地下室の最も奥の部屋にある小さな隅の天井に、外へと通じる穴を見つけたことまで。それが、ネズミたちが侵入していた経路だと彼は確信していた。そして、なぜ彼らが巨大なネズミになってしまったのかについては……ベリルが言ったことを彼女に伝えた。

「あと数週間遅れていたら、君はもっと深刻な問題を抱えていただろう。Eランクどころか、Dランクの冒険者たちですら解決できなかっただろう問題だ。」

「私……」エニャの声は小さかった。「私は――」

「どうでもいい。次はちゃんとやれ。さもないと、誰かの血が君の手に付くことになるぞ。」アーサーは表情を和らげ、二人の仲間の方を振り返った。

「Eランクの冒険者がこんなことに手を出すべきじゃない――俺が尋ねていなければ、お前たちはあの巨大なネズミのことも教えてくれなかっただろう。もし俺たちが数週間後に現れていたら、奴らは制御不能なほど増殖していただろう。そして、もしそうなっていたら……」彼は言葉を最後まで言い終えなかった。

「……増殖?」とタカが尋ねた。

「繁殖するんだ。」

「あ、ああ……」

アーサーは再び老婆の方を向いた。

「クリアタグを。お願いします」と彼は繰り返した。その「お願いします」という言葉は、まるで声帯がその言葉を形作るのに必要な音を出すことに慣れていないかのように、荒く、無理やり絞り出したようだった。

一方、エニャは完全に呆気にとられているようだった。何と言っていいかわからなかった。口は開いたり閉じたりしていたが、言葉は出てこなかった。まさか冒険者から口答えされるとは、まったく予想していなかったのだ。彼女自身、 何も悪いことはしていないと思っていた。今日まで誰も派遣してこなかったのはギルドの責任であって、自分のせいではない。 そして、彼らの無能さのせいで、今になってクエストのランクを上げるための費用を彼女が負担しなければならないというのか?一瞬、彼女は反論したり抗議したりしようとしているように見えた――おそらく、「でもクエストを引き受けたのはあなたでしょ、私のせいじゃないわ、このクソガキ!」とか、「そんなこと、もっと早く考えておくべきだったわよ、小僧!」とか――しかし……彼女はそうしなかった。

その代わりに、彼女は椅子から立ち上がり、クリアタグを取り出すと、一言も発せずにそれを手渡した。彼女の顔に、一瞬、罪悪感がよぎった。

三人が背を向けて立ち去ろうとしたとき、彼女はタカにしか聞こえないほど小さな声で何かをつぶやいた。

「ごめんなさい……」

彼が最後に振り返ったとき、彼女が泣き出し始めたまさにその瞬間の顔をちらりと目にした。

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