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第七十一話『訪問のワケは』

「……生徒会を捨てた裏切り者に、お前たちが今更何の用だ?」


「あら、なんだか辛辣。もしかして私たちのこと嫌いになっちゃいました?」


 呆れ半分皮肉半分の言葉に、来客の片割れ――鹿野真央はわざとらしくのけぞって見せる。その姿に裕哉がため息を返すと、隣で緑茶を飲んでいた早希が裕哉を見つめた。


「けむに巻いたような物言いはお前らしいが、自虐的な物言いはお前らしくないな。……裕哉、何か悪いものでも食べたか?」


「食べてねえよ、いたって健康な食生活を送ってるわ。……それで、用件は?」


 すっかりこの家になじんでいるのが不思議なぐらいではあるが、この二人が裕哉の家に訪問してきたことなど生徒会長時代にすら一度もない。そんな二人が今ここにいるのには、何かしらの理由があると見当を付けざるを得なかった。


「言っておくけど、俺は生徒会には戻れねえからな。ポイントはどこか虚空の彼方、俺はただいま星火学園最下位の落ちこぼれだ」


「分かっている。私としてもそのようなものを生徒会に向かえるわけにはいかないし、その必要もないさ。……生徒会長としてのお前を必要としているなら、学園の中でコンタクトを取るのが筋というものだろう」


「本当はそうじゃない気もしますけど、霧島先輩の中ではそうらしいんですよね。そのうえで私たちがここに来ているということは、まあつまりそういうことです」


「……どういうことだよ?」


 普段煙に巻かれている暁人たちは、今の裕哉と同じような感覚に襲われているのだろうか。今一つ要領を得ないその表現に、裕哉は首をかしげるしかなかった。


 早希とも真央とも仲が悪いわけではなかったにせよ、そこまで特別な絆があったかといわれるとそれもまた首をかしげざるを得ない。同じ戦場を戦い、問題と向き合った戦友という意味では他の誰でも変わりが効かないが、早希にとって裕哉程度の戦力が特別に映るわけでもなし。裕哉位の戦力ならば、言い方は悪いが全国を探ればそこそこの数は出てくるだろう。早い話、代わりは効くのだ。


「俺はしばらくお前たちと接点を持たねえし、持てねえと思ってた。俺はそれだけのことをしたし、お前たちはそれを赦していい立場にいない。『よくも無茶苦茶してくれたな』って言ってぶん殴られても俺は何も文句言えねえよ」


「……あー、これは本格的に分かってないですね。先輩、ガツンと言っちゃってください」


「ああ、そうだな。もともと感が鈍い部分があるとは思っていたが、まさかここまでだとは思わなかった」


 真央の言葉を受け、早希は咳ばらいを一つ。そして、机を挟んで向かい側に座っている裕哉に向かって身を乗り出すと――


「……生徒会長としては、私はお前をきつくとがめるべきなのだろう。だが、今こうしてお前の家を訪れている私は生徒会長ではない。もっと言うのならば、お前も最下層所属の松原裕哉ではない」


「……と、言うと?」


「私の父が、魔獣について気がかりになる指摘をした。生徒会としても調査に当たりたかったが、現存の生徒会の調査規模では不十分だ。……だからこそ、私は私人として、私人の裕哉に依頼をすることにした」


 そう言うと、早希は深々と頭を下げる。それに一歩遅れて、真央も頭を下げた。そして、顔を挙げた早希は未だにあっけに取られている裕哉の瞳をまっすぐに捉えると――


「……裕哉。私と私の付き人たちが行うフィールドワークに、アドバイザー兼護衛として参加してくれないか?」


――そう、提案をしてきたのだった。

事態はより複雑に、そして大きく発展していきます。ここに来て発生した生徒会メンバーとの接触がどのような化学反応を生むか、是非楽しみにしていただければと思います!もし気に入っていただけたらブックマーク登録、高評価などぜひしていってください!ツイッターのフォローも是非お願いします!

――では、また次回お目にかかりましょう!

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