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新世界に魔法を  作者: みかんグミ
第一章『王都編』
33/37

第29話 ゾンビ退治

「_____くっ!!」


 広がる視界の先には、数えることすら嫌気がさすほどの数のいる無数のゾンビたち。

 しかもそのゾンビたちは、全員異常な回復能力を持っているのだから恐ろしい。多分、あいつらを完全に消すには肉片すら残さず吹き飛ばさなければならない。そう簡単なことではないが、中途半端に倒して後々また襲われたのでは笑えない。だからこそ、今ここで倒しきる必要がある。


「でも、どうやって·····。」


 とはいえ倒しきると言っても、問題はどのようにしてこのゾンビたちを倒すかだ。

 あの建物で放っていた魔法を、また放てれば良いのだが。


「リベリカ」

「、ん?」

「さっきゾンビたちを倒せた魔法·····あれ、もう何発かできる?」

「そうね·····少し残して、3発くらいかしら」

「3発·····。」


 ___想定してはいたが、流石にリベリカだけでどうにかなるような問題はではないらしい。

 数は以前の数十倍。先程と同数ならばなんとかなると思うが、あまりにも今回は数が多すぎる。まさに数の暴力というものだ。

 さて、どうするか。必死に思考をめぐらせる。出来るだけ早く、そして確実な方法を導き出せ。今のこの状況を、打破する方法を。


「_________。」


 とはいえ、簡単には思いつかない。しかし、だからといって考えることを辞める訳には行かない。ひたすらひたすら、頭を回転させては回転させて、だがもうゾンビは500mを切っているようだった。

 もう一刻の猶予も無い。しかたがないと、とりあえず戦闘準備を終えて、超スピードで迫り来る命の抜け殻たちを前に立ち向かう。


「____シャドウエッジ・スペリアー!」


 私は片手を振りあげ遠距離攻撃の効く魔法を発動させる。そしてそれから数秒後、私の魔力が自分の体を覆い、それは突如として離れる。

 それは、魔力が主を離れ、エネルギーを元に権現させた刃を相手にぶつける為に向かった証拠である。そして、勿論その先は____。


「ゔぁっあゔゔゔ?_____ッ」


 突然、ゾンビたちの足元に闇色の魔法陣が現れる。それに気づいて不信感を抱いたゾンビたちは本能的に下を見る。

 _____しかし、気づいた時にはもう遅い。下を見た時にはもう手遅れで、その時にはすでに絶対的な死の気配。ゾンビたちは本能が感じた感じては行けないその何かに対抗するため全力で警鐘を鳴らし避けようとしていた。


「·····よし、動きは封じた。__リベリカ!!」

「了解!__エクスプロージョン・ライトぉ!!」


 しかしゾンビたちの避けようとした意思は哀れにも叶わず、抵抗することも出来ないまま、足元から抜き出た漆黒の刃により下から体が貫かれる。赤黒い血が溢れ、魔法範囲内の者達がいる地面は一瞬で紅に染っていく。

 とりあえず、動きは封じた。とはいえ数が多すぎるため、まだ全体の10分の1程度だが。

 しかし、それはただの足止め。___本命は、あの光魔法だ。


「____見誤ってた、か」


 彼女は魔法の詠唱を叫ぶ。それと同時に、足元の次は遥か頭上に巨大な金色の魔法陣が展開され、その魔法陣の中心から一閃が下へ閃いたあと大爆発が起きた。

 恐らく、建物の中で放ったものと同じだと思うが、その時より今は何倍にも威力は増していた。多分、その時は建物の倒壊を危惧して威力を抑えていたのだろう。正直、この威力は予想外だった。

 最初リベリカとの戦闘のときはただの令嬢っ子だと思っていたが、化け物級の強さだった。今度からはちゃんと見図ろうと思う。


「よし、やってやったわよ!!」


 そう言ってはしゃぐリベリカ。この見た目と魔法力があってない。そんなことをなんとなく思うが、まぁ今はそんなことを考えてもしょうがないと気持ちを切り替え魔法効果範囲内にいたゾンビ立ちに視線を移す。どれくらい効果がでただろうかと。

 結果的には_____、


「___ッ。効いてる」


 ちょうど丸く、ゾンビたちの群れにぽっかり円形の穴があいていた。ゾンビたちはそれがきっかけで、動きが止んだ。私は目に魔力を込めて、視力を強制的に上げる。

 少しづつピントを合わせ、そこの中にいた敵の状況を確認してみると、どうやら所々は完全に吹き飛んだようだ。

 正直完全に消し飛ばせれば、と思ったのだがそう簡単にはやはりいかないらしい。


「___、やりずらいな·····。」


 とはいえ、いやはや、本当にやりづらい。あのゾンビたちの討伐方法は、肉片すら残さず消滅させること。つまり、剣や槍などの武器で刺し殺すことは不可能で、そうなると必然的に爆発系の魔法でとどめを刺す事ぐらいしか今の所対処法がないのだ。現在魔法が使える人物は、私がわかっている範囲でリベリカ、サラ、ヨネ、そして私の4人だ。とはいえ、全員が爆発魔法が使えるとは限らないので、一概には言えないが。


「サラ、サラってリベリカみたいな魔法放てる?」

「いえ·····あそこまで大掛かりなものは___ただ、水蒸気爆発のようなものなら」

「いや、そこまで使えるのなら多分大丈夫。私が足止めするから。あと、ヨネはどうだろう·····。」

「ヨネは距離がありますね·····構えてはいますが·····。」


 どうやらサラは違う形で爆発魔法のようなものが使えるらしい。それなら使えないよりは全然マシだし、水蒸気爆発も充分協力だ。恐らく大丈夫だとは思うが。

 あとはヨネだ。しかし、私とヨネではかなりの距離がある。わざとなのかたまたまなのか、私たちの間には50m強の距離があり、簡単にコミュニケーションをとることが出来ない。


「____ぁ」


 しかし、そこで視線が合う。近くにいるサラはすぐに情報交換が出来ないもどかしさに歯噛みしているが、ヨネは雰囲気的にそんな様子はない。

 ____そして、数十秒沈黙が続いた後、突然声が聞こえた。


【___貴方たちが聞こうとしていることは、わかってる。でも、私は爆発系魔法は無理、だよ·····できるのは、足止め位】

「!?え、なんで声が___。」

【それは、私の能力。普通、なら、距離の経過で人の耳には届かなくなってしまう音、を、能力で届かせてる、だけ。ほら、言ったでしょ、私の能力は音だって】

「__なるほど」


 コミュニケーションが取れないと、かなり悩んでいたのだが、それもヨネの能力であっさり解決してしまった。どうやら、あれはかなり使い勝手がいいものらしい。とはいえ、能力とはそういうものだが。


(でも、意思疎通が可能なら·····。)


 ヨネはさっきの話を聞いた限り爆発系魔法は使えない。しかし、足止めはできると言った。そして、それは私もできる。つまり、丁度2手に分けられるというわけだ。足止め係は私とヨネ、攻撃係はサラとリベリカで。

 足止めも攻撃も、繰り出せる回数には限りがある。だから、あとのことも考えるとやはり早期決着が望ましい。___絶対に、これで今度こそ仕留める。

 そう意気込んだ私は、ヨネに聞きたかったことを聞いた。


「ヨネ、足止めは出来るって言ってたけど、どうやるの?」

【能力ありきだけど·····。音波を発生させて、ゾンビたちに、それを浴びせる。そしたら脳に、振動がいく。そしたら、少しは動きが鈍くなる、はず】


 人という生き物は、脳に少しでも衝撃が走ると立つことすら難しくなる。まぁそれがゾンビに効くかと言われると怪しい所かもしれないが、指示を受けて的確に動ける辺りを見るに、恐らくだが最低限の知性はある。

 ならば、あとはやはり試してみるしかない。


「じゃぁ、私とヨネは足止めを、サラとリベリカは攻撃を。それでどうかな?」

「そうですね。そして、漏れてしまったものたちはそれ以外の人達に何とかしてもらいましょう」

【__賛成】


 これで3人の意見は固まった。あとは、それぞれにその作戦と言うには少し単純すぎるものだが、私たちの考えを伝えて言った。


「「「   了解!!!   」」」


 一斉に、賛成の意を示し、早速行動にそれぞれ移していく。ある者は魔法の発動準備を。そしてある者は、己の持つ武器を構えて。

 私はふと気になって、後ろをむく。元々、レオンのいた場所だ。レオンもきちんと警戒しておかないとと、そう思って振り向いたわけなのだが___。


(、いない)


 気づけば、彼女はそこから姿を消していた。嫌な予感がする。しかし、だからといって何か対策できるという訳では無い。

 まずは、あの目の前の敵をどうにかすることが先決。私は再び魔法の発動準備をして魔力を溜めていく。


「____ッ!!」


 機を見計らい、その"時”を待つ。____そして、私はついにそれを見つける。

 一気に力を込めて、出来るだけ多くの人数を足止め出来るように効果範囲をギリギリまで上げて、魔法陣を展開する。

 そして、私は魔法の詠唱をそのものたちに向けて唱えた。

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