番外編①フレアとヒーラの冒険譚〜まずは最上王国ネスタルチア〜 前編
少し遅れましたが本作品500pv記念で番外編①です!本当はネスタルチア編は1話完結のつもりだったのですが、思ったよりかなり長くなりそうだったので今話は前編としました。
ありがたいことに900pvももう間近でして、本当に感謝してもしきれないです( ´ ` *)
ちなみに次話の投稿は本編となります!
ということでフレアとヒーラの目的は暗くても暗いだけじゃない世界旅の物語の一端をお楽しみください!!
「で、まずここに来てみたわけだけど」
「流石最上王国と言うだけあって、デカイね……。」
___ここは、最上王国、ネスタルチア。この世界で1番規模の大きい王国である。私たち___フレアとヒーラの出発地点である魔王城から、数百キロ.......否、最早8000キロ程離れている場所である。正直、えげつなく距離がある。しかしそれも当然で、ネスタルチアと魔王城を世界地図に表した時、対象的な的な位置にあってほぼ真逆にあるのだ。だから、遠いのも当たり前のことではある。
普通ならここまで来るのにかなりの時間と労力を費やすことになるのだが、今の私とヒーラにはそんなことは関係ない。
元々私たちが移動用に使っていたもので、転移魔法である。案外転移魔法は覚えること自体は簡単なのだが、1度その場所に行ったことがある場所じゃないと転移できないというデメリットがある。まぁつまり、ドーピングだ。しかし、その魔法を極めたもの、または実力者であると強くその場所をイメージしながら目的の場所を唱えれば言ったことこない場所でも転移できる、という例外もある。とはいえ、そんな芸当が出来る人は中々居ないが。
幸いにも1度仕事で行ったことがあったらしいヒーラによって私たちはこの国まで転移することが出来た。
無事一瞬で着いて、私たちは国の中に入るため門を通り、入口から急に風景が変わったのを物珍しく見渡した。
辺りは薄オレンジ、黄緑、黄色.......暖色が全体的に多く、高かったり低かったりする色々な高さの建物が道沿いにぎっしりと並び、多くの人が行き交っていた。
多くの話声と、たまに遠くから聞こえてくる怒声、そして笑い声。とても明るく楽しい雰囲気だった。
そして、やはりここから見える景色で1番目をひくのは_____
「ねぇヒーラ、あれがここを統べる国王が住む王城ネスタルチア?」
私はそうヒーラに問う。これらの中でとても溶け込んでいるが、それでもやはり際立って目立つ建物。奥の方に大きなそれがあって、色こそ街の景観に合わせてシンプルめだが、異質さは掻き消えない。
「えぇ、そうよ。中に入ったことはないけど、やっぱり何度観ても大きいわね。私たちの住む城と同等かそれ以上じゃない?」
「まぁ、伊達に広範囲統治している国じゃないからね.......。」
ヒーラは簡単の息を漏らし、私は常にどこかが変わり続けるこの風景を眺め続ける。中々、見てて飽きないものだ。しかし、ずっとみている訳にはいかない。
なぜなら、私たちにはやらなきゃいけないことがあるからだ。お遊びで来たのではない。
「よし。じゃあ早速行動しよう」
そう言って私は颯爽と歩き出す。勢いよく歩き出したので一瞬人にぶつかりそうになったが、特に気にせず適当に避けてやり過ごす。
「あっ、ちょっと!!先に宿をとりましょうよ!」
「?宿?」
私はそう聞き返して振り返る。するとヒーラははあぁと長いため息をついて、駆け足で私に追いつき説明した。
「ここは最上王国で宿屋も多いけど、その分人も多いわ。早めに取らないと、夕方にとろうとしても最悪取れない可能性がえるわよ」
「_______そっか」
そこで私は、初めてヒーラが私を引き止めた理由を理解する。確かに理屈はあっているし、そうとなればヒーラの言う通り宿をとらなければならない。
「じゃあ、近くの宿屋ってどこかな」
「んー、あ、あそこに看板があるわよ!」
その後私たちは都市の店や施設などが表記された略地図が描かれた看板を見て、ここから1番近かった大通りの少し外れた所の宿屋に泊まることにした。
「では、何泊ですか?」
私たちはその宿屋、ヘブンに辿り着き、鈴の音を鳴らしながら中に入って受付の人に声をかけた。
ヒーラは私に何泊するか、と言う意味合いを含めた視線を送ってきた。ここは広い。お遊びのためではないと言ってもヒーラは少しだけ観光もしたいと言ってきかないので、ちょっとした休息も必要だということで一泊では少し足りない。次の目的地へのこともあるし、大体___。
「___3泊でお願いします」
「承りました。では、合計銅貨6枚となります」
「はい」
私はそう了承して、袋から銅貨を取りだし受付の人に渡す。その人は確認すると部屋に案内され、日中の活動に必要のない荷物は部屋に置いてから私たちは街に出た。
「___で、宿は無事取れたわけだけど、これからまずどうするの?」
ヒーラは城下町を歩きながら私にそう聞く。___私たちがこんな遠いところまで出向いている目的は、ある一人の少女を探すためだ。
その少女の名は、レオン。___私に、感情を知りたいと願うようになったきっかけとなった、明るい雰囲気の人間。森で私とレオンがたまたま出会った後、よく話すようになった。しかし、ある事件がきっかけでレオンの命は途絶えてしまった。.......はずだったのだが、レオンのために私が作ったお墓は数日後荒らされていて、彼女の死体はなくなっていた。近くにあった足跡と、微かに残るレオンの気配からレオンは何らかの方法で生き返ったと仮定し、こうして探しているのである。
今、彼女がどこにいるかはわからない。けれど、いつか絶対、見つけ出してみせると。
だからここまで来た。とりあえず、今すべきことは___。
「まずは聞き込みだね、街の人達や看板にレオンの情報がないか探してみよう」
「りょーかい」
ヒーラは軽くそう答えて、どこから行こうか検討をつける。大体ここから周りには、武器屋、レストラン、土産屋.......など、色々あるが、どこから探そうか。基本的には、遠くまで行ってそこから今の地点まで向かいながら探していくというのが良いとは思うのだが。
それをヒーラに伝えると了承を貰い、ヒーラは門から見て右側、私は左側を探索し、今いるこの場所を集合場所として調査を開始した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ん.......?」
私___ヒーラは、都市の最奥部辺りまで進んだ後、早速聞き込みを開始していた。最奥部からゴール地点までの距離を5分割したとして、今は調査を初めて5分の2くらいまで来たのだが.......。
歩いていた時、ふと目をひくものがあった。私の視線の先には黒とオレンジに似た薄茶色を基調とした少し小洒落た店。何の店だろうか。標識には特に何も書いてないのだが.......。
私は少し気になって、側まで近寄ると、店の窓から中をちらりと覗いて見た。
(あれ、曇って中々見えないわね.......?なにか動いているから、誰かしらはいるんでしょうけど.......。)
改めて外観を見ると少しだけ古い建物だったようで、窓ガラスも少し曇ってあまり中を見ることは出来なかった。
____物凄く気になる。中はどうなっているのだろうか。幸い扉には営業中と書かれたミニ看板がぶら下がっていて、勇気をだして(殆ど好奇心で)そっとドアを開けた。
「_______わ」
チリンチリンと来客の訪れを知らせる鈴の音が鳴り響き、店の奥からドタバタと足音がして段々とこちらに近づいてきた。
するとそこからは茶髪を緩い三つ編みで結び、眼鏡をかけた女の子が出てきて、私に声をかけてきた。
「ッ、いらっしゃいませ!!私、ロアといいます。本日はどのようなご用件でしょうか?」
その女の子はかなり髪なり服なりが乱れていて、そんなに忙しいのかと誤解しそうになるくらいだった。
「____あ、あの?」
私は何も反応しない。それについて女の子は不信感を覚え、私を見つめながら再び声をかける。しかし、私は答えなかった。____いや、答えられなかったのだ。
「_____なに、これ____。」
私は、この建物の中に入った時から、私の耳には誰の声も届いていなかった。ずっと、感嘆の息を漏らしながら視線をぐるぐると動かし部屋全体を見回している。.......なぜなら、私の視線の先々には____。
「なんで、こんな色んな物が沢山あるの.......?引き出しまで.......。こんなの、」
壁に飾るものでないのではなかろうか。ハンマー、トンカチなどの工具から、ペンなどの筆記用具、人形に、調理用具に、なんだったら椅子まで壁に張り付いている。とにかく色んなものがごっちゃになっていて、何故こうなっているのか理解に苦しむものだった。正直、最初は感嘆していたが段々と見慣れてきた今では嘆息へと降格した。えぇ.......なぜにこうなった.......と言いそうになる。というかもう口に出していないだけで心の中ではそう叫んでいる。
やっとなぜ私に自分の声が全く届いてないのかが大体分かった女の子は反応をしめした。
「あ、あぁ、少し特殊ですよね。それらは、お礼の品の数々なのですが.......店長の計らいで.......。」
「!?あ、あぁ、こんにちは、いたんですね」
「凄いしょっぱなから失礼な発言ですね!?」
気づくと受付カウンターのような所には1人の可愛らしい女の子が立っていて、驚いていたとはいえ全く彼女の存在に気が付かなかったことを反省する。これじゃぁ今はお飾りのようなものでも魔王軍幹部失敗だなと自分を戒めつつ、早々をツッコミを入れてきた子に声をかけ直す。
「ごめんなさい、あの壁に驚いちゃって。.......で、お礼の数々、とは?」
気を取り直したところで、私が今1番気になるところはそれだ。この壁は、その子によると、これらはお礼の品らしいのだが。
すると、彼女は快く、とはいえため息混じりにそれについて話してくれた。
「えぇ、ここはよろづ屋なのですが.......。用件が片付いたお礼として、使えるだろうと工具などを貰って。最終的には、椅子や机なんかも貰ってしまって。有難いのですがね、最初の方は奥の部屋に保管させていただいていたのですが、最近はもう入らなくて.......。」
「.......まさか、それであなたの店長さんが入らないのならここに飾ってしまえばいい、と.......?」
「んまぁ、はい、そうですね。沢山の用件を解決してきたんだぞっていう宣伝にもなるから、と.......。」
「あぁー.......。」
大体察した。つまりそういう事だ。確かに理に叶ってはいるのかもしれないが、いくら何でもなんでもかんでも詰め込みすぎである。ちゃんと見ないと最早何なのかも怪しくなってくる。後これはとても個人的な意見だが.......。すごく目がチカチカする。痛くなってきた。
私は目を擦りながら、苦笑いしている少女に目を向ける。__だが、よろづ屋と言ったか。丁度いい店を、みつけてしまったかもしれない。
「まぁ、それはそれとして.......。なら、私頼みたいこと、という依頼したいことがあるのですが」
「!!はい!何でしょうか?」
私が言った依頼、という言葉を耳にした途端彼女は仕事モードに切り替わり、真面目な顔でメモ帳をポケットから取りだし話を聞きメモする姿勢をとる。私はそれを見て、タイミングを見て話し始めた。
よろづ屋なんて、いい店を見つけたものだ。
◇◆◇◆◇◆◇
「で?そのよろづ屋の人にレオンの探索依頼をしたの?」
「そ。その方が効率が何倍もいいでしょ。特に、ここの人はもちろんだけど私たちより詳しいんだからね」
私はよろづ屋を後にしたのち無事フレアと合流し、よろづやでの出来事をフレアに説明した。
私はあの後、レオンという名の紫髪の女の子を探して欲しいという依頼をあの少女にした。できるだけ私が知っている特徴は教えたつもりだが、彼女は
「任せてください!私、調査や探索依頼は得意中の得意です!」
と自信満々にそう豪語していたので、恐らく力になってくれるとは思うが。
「___それで、それに重なる費用は?」
「うぐ」
__痛いところをつかれた。正直、お金は渡せない。なぜなら、かなり余裕を持って持ってきたつもりではあるが、なんせ世界を回るので、何かあった時お金がなければ本当に困るのだ。だから極力必要なことにしか使わないというのが二人で決めたルールなのだ。まぁ、度の目的のためではあるし多少なら大丈夫だとは思ったのだが.......。
「.......なんて?」
「はい、情報とはいえ国家全面捜索、それに加えて外からの情報も、となると費用が傘みますね.......。お金で換算すると、宝貨5枚分となります、ね.......。これでも結構引いてるのですが、これが限界です」
「うそ.......」
そう、あれだけは予想外だった。.......いや、本当は察していたけど気づきたくなかったから気づいていないふりを心の奥底で無意識にしていただけなのかもしれない。宝貨はこの世で1番大金を意味する貨幣である。その数金貨にして10枚。金貨が10枚もあったら2人でも8、9ヶ月位宿屋に泊まり続けられるのではないか。それを5枚分。考えるだけで恐ろしくなるほど破格の値段だ。
「それは、無理でしょ。大金すぎるし.......。どうするつもりなの?」
だが、そうだ。私だって、何も無策であのよろづ屋に依頼をした訳では無い。一応、考えていることがある。だからきっと、大丈夫だ。これは別に、願いとかそういうものでは無い。確固となるものだ。
それにフレアは眉を顰める。私の言動に違和感を覚えるのは正直しょうがないとは思うが、大丈夫よと言う声だけかけて私とフレアはまた宿屋でと声をかけあい再び行動は別れた。
そんな私は、日が暮れる中ある場所に向かった。
_________
「んー、どうかな」
目的地について、ふとぐるりと辺りを見回すとそこは見慣れた風景が広がっていた。____遡ること10数年前、私がまだ幹部になっていなくまだ6歳の頃だ。私が軍に形だけだったが所属していた時に、突然魔王上位幹部No.3、ジュリア様からにより私の元に舞い込んできた初仕事。だがあの時、ジュリア様は失敗してもいい、と仰っていた。あの時はよくわからなかったが、初任務だし見事にこなしてやろうと自信満々で別要件もあったため複数人の同行者の元、この国、ネスタチアに来たわけなのだが.......。
依頼内容は、あるモンスターの討伐。あの国の周りにしか現れない希少かつ強大なモンスターで、稀に非常に強力なアイテムを持っていることのある、そんなモンスター。名はクイックキャット。ベージュの毛色をした猫型モンスターである。
猫というのも関係しているのだろうが異常なまでに素早く、その速さは私でさえ目で追うのがかなり難しい程。
その当時、とりあえず見つけて倒しまくれば手に入るだろうという安直な考えを持っていた私は、ひたすら追いかけて見失ったら探索してを繰り返していたのだが。まぁそんな簡単に見つかるはずもなく、かといって見つけれてもスピードで負け捕まえることも、否、その猫に触れることすら出来ず。そのまま、陽が何度も何度も傾いてついに期限切れになって、しくしくと魔王城に帰った記憶が今も脳裏に焼き付いている。他にここに来ていた魔族たちは別件の件で忙しくしていたり特に助けを求め無かったこともありほとんど手ぶらで帰ったのだ。唯一持っていたのはお詫びと一緒に渡す予定だったジュリアの好きな砂糖菓子だけ。
私はまぁ、自分で言うのもなんだが、自分の実力には自信がある方だった。軍に所属する前の10歳の時、私は幹部直属の配下の1人を倒し、その衝撃と感激で魔王城が満たされた頃があった。特に、私が倒したのは魔王上位幹部No.1の直属の配下、別名魔神と呼ばれる10人グループのそこから更にNo.4。アゲルを倒したというのが魔王城を大きく揺るがした原因の一つだった。
ここで魔王軍の構成について軽く説明すると、魔王軍には現状4つの軍が存在し、それぞれ1人づつ、合わせて4人の隊長がいる。そしてその4人を含んだ合わせて10人の幹部というものが存在し、そして更にその隊長の下にそれぞれ5〜10人の配下がおり、それの更に下に普通の魔族達がいる、といった構成である。
そんなわけで、将来有望の魔族の子だと、ちやほやされながら15まで過ごしたわけなのだが____。
見事その歳で幹部になれたものの、その地位について貰った幹部での称号はNo.10。指揮能力等も含めた総合的な実力を見て判断されるのだが、完全にあの時自惚れていた自分はNo.5くらいはいけるんじゃないかと思っていたため、かなりのショックを受けた記憶がある。
幹部の人たちも私の思っていたよりずっと強くて、私は今も憧れている魔王直属の配下の1人であり、管理部隊隊長でもあるジュリア・デパーダ様に少しでも近づくために、今までの二年間死に物狂いで勉強や修行を積みながら幹部の仕事をこなして経験をつけることで、やっと魔王幹部幹部No.6まで昇りつめられたのだが______。今は色々あって幹部の人数が減り、10人構成から6人構成になって結局最下位である。
まぁそれはそれとして、あの猫型モンスターの討伐を目標に動いていた間よく立ち寄っていた場所があり、そこが今私がいるこの場所だ。
私は昔のことを思い出しながら、探し物をする決心をする。____最初のやり方は簡単だ。
まず、手を視線の方向に向け、かざす。そして、その部分に体内エネルギーを集めていく。そして________。
「____________ッ!!」
ビュンッと、鋭い音を立てる風がまるでチーターのごとく空間を駆けた。だが、私がいる空間にはなんの被害もない。風は、すぐ消えている。
_______否、あれは風ではない。あれの原型は、自分の体内エネルギーの1部を媒介にして強力な一撃を放つ時に使われるものの初歩的な技。そのエネルギーをそのままぶつけた、まぁ簡単に言えば衝撃波だ。
しばらくは何も起きないが、時差でその突発的に吹き荒れた突風に"何か”が呼応する。
「よし、大丈夫そうね」
少しづつ大地が揺れ始め、そしてそれは段々と大きくなっていく。しかしそれは上手くいっている証拠であり、昔の記憶と一致する光景に胸を撫で下ろす。正直、これがダメだったら他に打つ手は無かった。安心安心。
______とはいえ、他にもやらなければならないことはあるのだが。
大地の揺れが最高潮に達した時、ギリギリ動かずに立っていられるレベルで、その大きな揺れと同時に地面に紫に光る魔法陣が展開され、文字式がその魔法陣に刻まれていく。
私は魔法を扱うことは得意ではない。どこぞのフレアとかいつやつはむしろ私と正反対と言っていいくらい魔法の才能はかなりあるが、私は初級魔法程度しか扱えないのだ。その変わり、武器戦闘などの物理系はかなり自信があるのだが、本当に、そっちのステータスに全振りしたのではないかと思ってしまう。しかしそれでも、他の魔王幹部や隊長の人たちには物理で勝てたことがある人物なんて一人もいないのだから泣きたくなる。
そんな私は、魔力に似ても非なるものの体内エネルギーをぶつけることで、それで作用してくれる魔法の仕組みを昔魔族仲間に作ってもらった。こんなことまでする理由は、ただ1つ。
まぁそれはそれとして、紫から赤紫に少し変色して強く発光し始めた魔法陣は、やがて私のいる空間を包み込む。あまりの眩しさに私は目を瞑ったが、魔法陣はこのあたりを呑み込んだ後すぐに消えた。
____なぜなら、その魔法陣はもう己の役目を果たしたからだ。
「よし、すっごい久しぶりだけど、やってみますか!!!」
魔法陣によって姿を現した、昔ここにいつも隠していた"それ”を見て、当時の記憶を探りながら作業にとりかかる。
この時だけは、幼少期の自分に戻ったような気分であった。




