第24話『 』
「___待て。待ってくれ」
『ほざくな。そもそも、事の発端はお前だろう』
「______ッ。___話が、違うんだ」
ある場所で、2人が会話していた。1人の声は普通だが、もう1人の声は何かを使っているのか、くぐもって聞き取りにくい。
どうやら2人は口論をしているようだ。片方が何かを訴えていて、もう片方は呆れながら反論している。
2人_____いや、1人は暗闇の中に佇んでおり、うっすらと1部分だけ明かりが照らされている。この部屋には部屋の奥の奥に小さな鉄格子の隙間があり、そこから漏れ出る月光がその部分を照らしているようだった。
かなり長らくその論争は続いているようで、中々終わりは見えそうにない。だが、片方がそろそろ限界を迎え、この口論の_____否、この一方的な片方の主張を打ち切ろうとしていた。
『___もう言いたいだけ言っただろう。切るぞ』
「___このままで済むと思うなよ」
1人から、もし誰かがその人の近くにいたら怯む程の殺意が溢れ出る。しかし、もう1人はそれを意に介さず、それどころか笑っていた。
『はは、怖い怖い。』
怖いなどと言いながら、余裕の声音でそういった後、向こう側の声がぷつりと切れる。片方の流れに乗られ、見事取り残された側は悪態をつき後ろに振り返って、歩き出す。
「......クソ」
しばらく争われたその空間は、元々居た人物はこの場所を去り、最早誰もいない。
もう鉄格子からかすかに漏れ出る月の光も月が傾いてほとんど届いておらず、再び空間は少しづつ深淵の闇に包まれ始めていた。




