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新世界に魔法を  作者: みかんグミ
第一章『王都編』
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第19話 改めての自己紹介、そして作戦会議

「ここが談話室Eだ。まぁ、会議室みたいな感じだがな」


カーシック、マゾベル、ハイラ、リベリカ、シュベリー、サラ、オルドルの4人、そして私を含め計11人は、カーシックの案内の元に1つの部屋に集まっていた。

部屋を見回すと、その部屋には大きな長机と左右合わせて22に及びそうな椅子が並んでいる。

城にしてはかなりシンプルな感じで、談話室というより確かに会議室に近い感じだった。

カーシックは皆にそれぞれ椅子に座るよう指示し、私は正面から見て右側の前から4番目の席に座り、右隣にはサラ、左隣にはオルドルの青年が座った。

カーシックは皆が座ったのを確認した後、1番前の上座に座り、話し始めた。


「まぁでも会議を始める前に、まず自己紹介をしていきたいと思う。新しい仲間も増えた訳だからな」

「そうですね。誰から行きますか?」

「そうだな。では、俺から行こう。その後は時計回りだな」


サラはその意見に賛成の意を示し、カーシックから自己紹介が始まる。全員カーシックに注目を集め、耳を傾けた。


「改めて、俺はカーシック・ザ・ベルカル。この国ベルカルの国王で、基本的に魔力攻撃が得意、だな。属性は風。武器では剣が得意だ。よろしく頼む」

「お父様、こう見えてかなり戦闘時は激しく動くタイプですからね。魔力攻撃の方が得意なはずなのに武器戦闘でも勝てたことありません………。」

「そうね、この中じゃかなり小柄で二人の娘を持ってる割には見た目が幼いし……あ」


そこまでリベリカが言ったところで、ハッと自分の口を手で抑える。

だがかなり大きめな声で言ってたのですぐ近くのカーシックが聞こえないはずがなく、


「ほほう?リベリカはともかく、ハイラまで言うようになったな?なんだ、影響されたか?」


とジト目気味でリベリカを見つめる。しかしリベリカは少し怒ったように反論した。


「待って、お父様()()()()()()って何よ!私はハイラと一緒よ」

「いやいや、リベリカは小さい時からそうだろう?やはり、マゾベルの影響か……。」


そう言ってカーシックが頭を悩ませ始めたところで、カーシックの斜め左上から上品な笑い声が響いた。ハイラ達が顔を向けると、マゾベルが口に手を当てくすくすと声を抑えて笑っていた。

みんなの視線に気づくと、


「ごめんなさいね」


と笑うのをやめ、


「だって、国王様、面白いことを言うんですもの。わたくしは、貴方様がだらしない時に注意を入れてるだけですよ。国王がそんなものでは、周りに影響が出てしまわれます」

「大丈夫だ。皆は俺に影響されるような者達ではない」

「心配が潰えませんね、こんなでは……。そういう問題ではないでしょう?」


マゾベルは半ば呆れたように苦笑して、カーシックを見つめる。それに気づいたカーシックは、うーんと唸ってから、


「一応分かってはいるのだがな?……まぁ良い、マゾベル、この調子じゃ一向に話が進まないから自己紹介、頼む」


とそそくさと話を変えた。まぁ確かに、気づけば話が脱線しかけていた。私はマゾベルに視線を向けると、「はいはい」と言って自己紹介を始めた。


「わたくしはマゾベル・ザ・ベルカル。我が国の国王様の妻であり、王女です。わたくしは基本能力戦闘です。といっても使える機会は少ないですが。属性は水。そして、武器戦闘は苦手です。人並みに唯一出来るのはレイピアですね。どうかよろしくお願い致します」


そこでマゾベルは自己紹介を終える。能力持ちか、と口の中だけでつぶやく。

この世界で、というよりいくつかの世界を渡って気づいたものだが、共通認識として、能力持ちは非常に珍しい。固有能力、とも言うが、能力とは、人が生まれた際稀に魂に宿るとされる力の事だ。どんな能力が宿るかはそれもまたランダムで、宿ったとしても実用性の少ない能力だったり、戦闘特化の能力であったり、守備特化の能力であったり。

極稀に同じ能力が別の人にも宿ることがあったりする。能力は誰かに遺伝することはなく、貴族、一般人関係なく宿る。

そのため能力持ちは非常の希少で、能力は使い方次第で名称だけでは弱そうに見えるものでも幅広く使えるため、かなり重宝される存在となる。

どんな能力を持っているかは私には分からないが、機会が少ないとはどういう事だろうか?実用性の少ない能力なのだろうか……。

私がそう考えていると、ハイラは口を開けた。


「……お母様は、剣術は弱くていいんです、いや、弱くないですけど……。」

「なんか、凄いトラウマ的な何かを感じますね……。」


ハイラは遠くを見つめているような表情になり、サラは苦笑いをしていた。


「ま、まぁまぁ。次は私ね」


その声をきっかけに、皆はさらに視線を右に移動させる。声を発したのはリベリカで、少し間を置いて気持ちを切り替えてから自己紹介を始めた。


「私はリベリカ・ザ・ベルカル。この国ベルカルの第1王女で、私はお母様のように能力は持ってないけど光属性だから光を使った魔法攻撃が得意ね。よろしく」


属性とは、能力とは違い生まれた種族全てが生まれた時から持っている力の、簡単に言ってしまえば種類だ。魔力にも光、闇、水……など細かく分ければそういうのがある。

そして、自分の持っている属性と同じ属性の魔力は相性が良く、覚えやすかったり、極めやすかったりなどがある。まぁたまに、全属性を持って生まれる天才がいるが、そういうのは王族に多い。(勿論一般人にも稀にいる)

だが、自分の持っていない属性の魔法でも、使えるには使える。それには、総合魔力という、これまた生まれ持つ物だが、これは属性など関係なく扱える魔力である。それを使えば属性など関係ないではないか、という人もいるだろうが、そういう訳でもないのだ。

総合魔力は少し複雑で、例えば、ある人が水属性持ちだったとする。その人の総合魔力と属性魔力全てを合わせた魔力量が10だとすると、総合魔力は割合だと3割程度で、属性魔力は7割くらいになるのだ。

これだけでわかる通り、総合魔力は基本総魔力量の3割程度しかなく、何かしらの魔法を発動する場合、総合魔力で他属性の魔法を使ってもすぐに切れてしまうのだ。

だから全属性を持ってない限り、基本は己の持つ属性の魔法を使う必要があるのだが……。


「私はひとつの属性だけだけど、光属性はかなり極めた方だと思うから自信あるわよ。」

「超級モンスターには手も足もでなかったけどね」

「いつまでそれを引きずらせるつもりなのよ!?」


あの時城を飛び出してリベリカの気配を察知しながら彼女の姿が目視できたとき、かなりあっさり負けていた気がしたのだが……。


「あいつは……光が全く効かなかったから、光系統の魔法で戦うことが出来なかったのよ。ほんっと、相性が悪すぎたわ」


そうリベリかは言って、ブツブツと言い訳を呟く。隣のハイラはあはは……と苦笑してから、顔を引きしめた。


「えっと、では私自己紹介しますね!私は、ハイラ・ザ・ベルカル。第2王女で、私は水属性を持っていて、武器は槍を使います。属性魔法と武器を合わせて戦うやり方が得意です!よろしくお願いします!」

「なんかハイラの場合は、お父様とお母様を半分半分に受け継いだ感あるわよね」

「そう、かもしれませんね……。でもやっぱり、リカ姉様には勝てません……。」


ハイラはしゅんとして、下を見つめる。リベリカはいつの間にかブツブツ言っていたのをやめ、「流石に妹には負けたくないわよ」といって今度はブーブー言っていた。


「次は私ですね。私はシュベリー。この城のメイドで、国王様と王女様、そして第1王女様と第2王女様に仕えております。普段は第1王女様と第2王女様の側近、そして護衛しております。属性は火属性です。体術を得意としています。何卒」


そう言ったシュベリーは、艶やかなピンクの髪をゆらめかして綺麗にお辞儀をして座った。この物静かな感じだと勝手に火属性ではなく水属性だと……。____否、前言撤回。私とハイラで観光に出ていた時にシュベリーが全速力で走ってきた時は、凄くなんか色々とテンションが高かった。(ダメな意味で)

もしかしなくともあっちが表側なのかもしれない。


「じゃ、次私。ヨネ、っていいます。音に関する能力を持っていて、属性は自然。扱う武器は魔法杖。よろしく、です」

「わ、能力持ってるのね……しかも、属性は自然?それってもしかして……」

「そ。ヨネは特殊属性なのよ。まぁこれは、ヨネの持つ能力が影響してて、それに対応する魔力がこれって感じらしいんだけどね」

「そう、アメリアの言う通り」


私があれこれと考えていると、これまた珍しい人が現れた。

能力持ちに特殊属性。ふたつを持ち合わせるのはかなり珍しい。

特殊属性とは、その名の通り基本の火、水、風、地、光、闇から外れた特殊な属性のことを言うのだが……。自然、という名前から察するに、おそらく風又は地の属性を合わせたものか、派生だろう。特殊属性はそうやって生まれることが多い。

とりあえずこれで、上座と左側の人たちの自己紹介は終わった。次は私もいる右側の人たちの紹介になる。


「では、右側で私ですね。私はサラ。格好からわかるとは思いますが魔法使いです。属性は水。扱う武器はヨネさんと同じで魔法杖です!よろしくお願いします」


そこでぺこりとお辞儀をする。次は私かと、席から立ち上がった。


「次は私。私はフレア。属性は闇光。扱う武器は特になし。魔法攻撃が得意です。これからよろしくお願いします」


そこまで言ったところで、リベリカの頭の上にははてなが浮かんでいた。


「あんこう?それって、光と闇属性が組み合わさったもの?」

「そうです。少し珍しいかも」

「そうね……まぁでも、魔法攻撃が強いのはあの時に理解したわ」


リベリカはそうしみじみ言った。闇光属性は、ただ闇属性と光属性の魔法が使えるだけでなく、その合体技も扱うことが出来る。武器はあまり使った経験がないため、得意不得意以前の問題ではあるのだが……。

そう思っていると、左どなりの青年が「じゃ」と前置きし、


「次は僕っすね。僕はラギー。属性は特殊属性の雷っす。扱う武器は弓。属性と武器の合わせ技で基本戦います!よろしくっす!」


すごい元気な感じだが、背中には確かに大きな弓と弓矢が下げられていた。これは、レオンが言ってた"陽キャ”に近いのかもしれない。


「次は俺か。俺は……。……ケイ。属性風。扱う武器は片手剣、剣術は人並み以上、よろしく」


そうやや早口で言うなりささっと椅子に座ってしまった。人前で話すことが苦手なのか基本斜め下を見つめている。だが警戒心はこの中でもかなり高く気を配っている様子で警戒の糸を1秒たりとも緩めない。

ただ単にシャイな男の子という訳ではなく、ひたすらに警戒心が強い人なのかもしれない。

そう思ったところで、サラサラしたピンク髪を、耳の上あたりからツインテールにした女の子が左手をテーブルに置いて勢いよく立ち上がり、右手を威勢よく上げた。


「はいはーい!じゃぁ最後は私ね!!私はアメリア・エベレット!能力は調薬で属性は風のダガー使い!みんなよろしくね!」


何処からそんな元気が出てくるのかと問いたくなるほどまでに少女……アメリアの周りには活気に溢れ、扱う武器の説明の際に取り出したダガーを危なっかしく振り回していた。

たまにダガーを飛ばしたり一時的に落下させたりするが、アメリアはまるで自分の手にダガーが吸い寄せられるような錯覚を覚えさせる程のダガー裁きで広い、そこから技術の高さがほんの少しだけ垣間見える。

流石はベルカルに集まる冒険者なだけはあるのだなと、そう再認識した私なのであった。


「よし、これで皆の簡単な自己紹介は終わったな。改めて、これから問題解決に至るまでよろしくお願いする」


カーシックの一言により自己紹介の終了が宣言されたところで、改めての挨拶に皆は一礼をする。

カーシックも礼をしてからうむと頷くと、話の話題を今日の本題へと切り替えた。


「さて、では本題だ。今日は、これからの方針を立てていきたいと思う」


これからの方針、か。そこから、私は熟考する。これから私たちが、この国の安全を守るためにどうしていくか。かなり難しい問題で、どうしていけばいいかかなり悩んだ。

いくつかの私の考えを頭の中でまとめていく最中、意見が出る。


「ん〜……。もういっそのこと、堂々と正面突破なんてのはどうっすかね?」


ラギーは八重歯をちらつかせて苦笑しながらそんな意見を出した。こいつ、レオンの言った脳筋とか言うやつ……。


「まぁそれもひとつの案ではあるが……。正面突破は、リスクが高すぎるだろう」


カーシックはうーんと唸る。というか、ほとんどのメンバー全員がそんな感じだった。リスクが大きすぎるし、逆に返り討ちに遭う可能性も高まってしまう。


「あっはは、そうっすよね〜……サーセンした……。」


そこで謝ってしゅんとするラギー。「じゃぁどうすれば……」とブツブツ呟きながら打開策を考えている。すると、ヨネが立ち上がって、


「というか、そもそも、の話。私たちまだ、敵の居場所を突き止められていない。襲撃されて時間もあまり経っていないとサラから聞いたから仕方の無いことだと思うけど、それが分からなければ作戦を立てても後々崩れる可能性が、ある」


そこまで長々と今の課題点を説明したヨネは、ふぅ、と一息ついてから座る。

確かに、まだレオンがこの城を去ってから数時間しか経過していないとはいえ、敵の居場所を突き止められていないのはかなりこちらとしてはかなりイタイ。これが分かれば、ひとまず何も知らない時よりは何倍も作戦がたてやすくなる訳なのだが……。


「では、とりあえずこれが今の課題ですね。それについては、私が何とかしてみましょう」

「なにか方法があるの、お母様?」

「ええ。必ず成功するとは言えないのですが、やってみるに越したことはないでしょうから」


そういってマゾベルはやる気を見せる。それを見て何処か安心したような表情を見せたリベリカは、気持ちを切り替えて身を乗り出す。


「じゃぁとりあえず、今の現状と情報から、色々と方法を考えていきましょう!!」


……と、そうやって綿日ー全員が話し合いの意欲を高めたまでは良かったのだが……。




◇◆◇◆◇◆◇




「__まさか、あれから結局ひとつもちゃんとしたものが出来なかったこと……やっぱり情報不足すぎるのかな」


会議を終え朝のお礼で借りさせてもらっている王城の部屋の一室にいた私は、ベランダに出て夜風に当たっていた。強すぎず弱すぎず、心地よい風が私の頬や髪の毛、服を優しく撫でゆらゆらと揺らしていた。

でもまさか、この世界に来てから初日でこんな事になるとは想像もつかなかった。今日は色々な事があって、情報と記憶をまとめるのに精一杯だった。


そこで、手すりに腕をかけ若干腰をかがめて夜風にあたっている私は、ふと遠くからの変な気配に気づいて、私は気配の方向に目を見やった。

すると、もうその気配は私のいるベランダに到着していて、話しかけてきていた。


「_________。」

「や、フレア」


その声で……はっと驚くことはなく、さっき察知した気配で薄々分かっていたことではあったがと、私は声が発された方向に首を回した。


「_____レオン」


そこには紛れもない、さっき城に大きい風穴を開けるほどの光線を投げて、人間から堕天使となったレオン、本人がそこにいた。


「なんで、ここに」


私はレオンにそう問いかける。あっちから仕掛けてきておいて、どういうつもりなのだろうか。私はレオンがここに来た意図を読み取れず、混乱する。


「急で悪いんだけどさ」


そこから発された言葉は……__誘いは、とてもあっさりと、紡がれ____。


「ねぇフレア、こっち側に来ない?」


そう、告げられて。

やっと終わった執筆。出来るだけ早く出したかったんです。今話は主要キャラの少し大雑把な説明だったり、物語の共通認識だったり説明が少し多めです。

さて、ここまで読んでくれてありがとうございました!!次話も宜しくお願い致します!!

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