第四十七話「黄泉ネット開発計画㊻ 二号機」
第四十七話「黄泉ネット開発計画㊻ 二号機」
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からくり箱一号機が動いてから、久兵衛班は休まなかった。
二号機のパーツは、すでに作り貯めてあった。
一号機を作った時の経験が、全て活きた。
「早いな。」
私は久兵衛の作業を眺めながら言った。
「はい。」
久兵衛は手を動かしながら答えた。
「一号機の時は、初めてのことばかりでした。
今回は、何をすればいいか分かっています。」
「経験が積み重なっているということか。」
「はい。同じ失敗を繰り返さなくて済みます。」
田中殿が隣で言った。
「プログラミングでも同じことがあります。
一度作ったものを二度目に作ると、半分以下の時間で済むことがある。」
「なぜだ。」
「どこで詰まるかが分かっているからです。
見えない壁が、見える壁になる。」
「見える壁は、越えやすい、ということか。」
「そうです。」
久兵衛が手を止めずに言った。
「石垣も同じでございます。
二度目の石垣は、一度目より必ず上手くなります。」
二号機が完成したのは、それから二ヶ月後だった。
一号機と見た目はほぼ同じだった。
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久兵衛が静かに報告に来た。
「できました。」
「ご苦労だった。」
「いいえ。」
久兵衛は言った。
「一号機より、丁寧に作れました。」
田中殿が二号機を確認した。
「問題ありません。」
「では、動かしてみるか。」
電力を入れた。
画面が映った。
「準備完了」という文字が現れた。
「動いた。」
田中殿が静かに言った。
「そうだな。」
私も静かに言った。
だが、田中殿の顔は、一号機が動いた時ほど明るくなかった。
「浮かない顔をしているな。」
「はい。」
田中殿は正直に言った。
「二台になりました。」
「そうだな。」
「でも、今はまだ、二台が別々に動いているだけです。」
「繋がっていないということか。」
「はい。」
田中殿は画面を見たまま言った。
「二台あっても、繋がらなければ意味がない。」
私はその言葉を、静かに受け取った。
二台あっても、繋がらなければ意味がない。
「そうだな。」
私は言った。
「一人の賢い者がいても、孤立していれば力にならぬ。
二人が繋がって、初めて力になる。」
田中殿は少し考えてから言った。
「……合議制ですね。」
「そうだな。
一人では合議にならない。
二人以上が繋がって、初めて合議になる。
だから、次は繋ぐことだ。」
田中殿は頷いた。
「はい。次は、イーサーネット、網です。」
堀田殿が二号機を眺めながら言った。
「先祖が見たら、驚くと思います。
酒井忠清が黄泉の国でからくり箱を二台作るとは。」
「ふっ。私も驚いている。」
「そうですか。」
堀田殿は静かに笑った。
「でも、忠清さまらしいとも思います。」
「どういうことだ。」
「繋ぐことを、ずっとやってこられた方ですから。
人と人を繋ぐことが、今度は箱と箱を繋ぐことになっただけで。」
私はしばらく黙っていた。
「……そうかもしれぬ。」
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私は書き留めた。
二号機、完成。
「二台あっても、繋がらなければ意味がない。」
次は繋ぐ番である。




