表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
47/72

第四十七話「黄泉ネット開発計画㊻ 二号機」

第四十七話「黄泉ネット開発計画㊻ 二号機」


----------


からくり箱一号機が動いてから、久兵衛班は休まなかった。


二号機のパーツは、すでに作り貯めてあった。


一号機を作った時の経験が、全て活きた。

「早いな。」


私は久兵衛の作業を眺めながら言った。

「はい。」


久兵衛は手を動かしながら答えた。

「一号機の時は、初めてのことばかりでした。

 今回は、何をすればいいか分かっています。」


「経験が積み重なっているということか。」


「はい。同じ失敗を繰り返さなくて済みます。」


田中殿が隣で言った。

「プログラミングでも同じことがあります。

 一度作ったものを二度目に作ると、半分以下の時間で済むことがある。」


「なぜだ。」


「どこで詰まるかが分かっているからです。

 見えない壁が、見える壁になる。」


「見える壁は、越えやすい、ということか。」


「そうです。」


久兵衛が手を止めずに言った。

「石垣も同じでございます。

 二度目の石垣は、一度目より必ず上手くなります。」


二号機が完成したのは、それから二ヶ月後だった。


一号機と見た目はほぼ同じだった。


----------


久兵衛が静かに報告に来た。


「できました。」


「ご苦労だった。」


「いいえ。」


久兵衛は言った。

「一号機より、丁寧に作れました。」


田中殿が二号機を確認した。

「問題ありません。」


「では、動かしてみるか。」


電力を入れた。


画面が映った。


「準備完了」という文字が現れた。


「動いた。」

田中殿が静かに言った。


「そうだな。」

私も静かに言った。


だが、田中殿の顔は、一号機が動いた時ほど明るくなかった。


「浮かない顔をしているな。」


「はい。」



田中殿は正直に言った。

「二台になりました。」


「そうだな。」


「でも、今はまだ、二台が別々に動いているだけです。」


「繋がっていないということか。」


「はい。」


田中殿は画面を見たまま言った。

「二台あっても、繋がらなければ意味がない。」


私はその言葉を、静かに受け取った。


二台あっても、繋がらなければ意味がない。


「そうだな。」


私は言った。

「一人の賢い者がいても、孤立していれば力にならぬ。

 二人が繋がって、初めて力になる。」


田中殿は少し考えてから言った。

「……合議制ですね。」


「そうだな。

一人では合議にならない。

二人以上が繋がって、初めて合議になる。

だから、次は繋ぐことだ。」



田中殿は頷いた。


「はい。次は、イーサーネット、網です。」



堀田殿が二号機を眺めながら言った。

「先祖が見たら、驚くと思います。

 酒井忠清が黄泉の国でからくり箱を二台作るとは。」


「ふっ。私も驚いている。」


「そうですか。」


堀田殿は静かに笑った。


「でも、忠清さまらしいとも思います。」


「どういうことだ。」


「繋ぐことを、ずっとやってこられた方ですから。

 人と人を繋ぐことが、今度は箱と箱を繋ぐことになっただけで。」


私はしばらく黙っていた。

「……そうかもしれぬ。」



----------


私は書き留めた。

二号機、完成。

「二台あっても、繋がらなければ意味がない。」

次は繋ぐ番である。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ