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異世界の町へ

 川を渡った先には一本の補装された道が町まで続いている。

 (町は見えるけどかなり遠いなぁ。)

 道中キャットルーと遭遇したが、スキルのおかげで戦闘は苦にならなくなっていた。

 あれからレベルは上がったが次のスキルは取得出来ていない。

 そんなに甘くはないか・・・その内取得出来るだろう。今はレベル上げだな。

 色々と分からない事だらけだが、なるようにしかならないな。

 いつも考え事をしながら歩いている周りが見えなくなる俺は、いつの間にか町の門まで来ていた。

「止まりなさい!」

 門を潜ろうとした時に槍を持った衛兵みたいな人に声を掛けられた。

 立ち止まる俺を衛兵みたいな人は何やら物珍しい感じで見てくる。

(ジーンズとTシャツじゃ、さすがに変に思われても仕方ない)

「あの・・・町に入りたいんですけど?」

「じゃあ身分証見せて。」

「身分証?」

 異世界に来たばっかりの俺には、そんな物は当然ない。

「身分証無いんですけど、どうすればいいですか?」

「身分証が無いのか。仕方ない町長さんの所に行って入行証を貰いなさい。」

「おーい、ワインズこの人を町長さん所まで連れて行ってくれ。」

「了解です!」

「それじゃ、その腰の細身の剣を預からしてもらうよ。何もしないとは思うけど一応な」

 そりゃそうだな、身分も分からない奴がいきなり町に入れてくれって言ってきても怪しいだけだからな。

 腰に付けていた剣をワインズに渡して後をついて行った。

「この町の名はアーリアっていう小さな町だ。最近では訪問者なんか記憶にないぐらいの小さな町に何の用?」

 少し考えたのち、「すまない、最近の記憶が無くてね。気づいた時に西の方の大草原で倒れてた。たまたま近くにこの町が見えたから、今の状況を把握するのに寄っただけだ。」

「歩いている内に名前は何とか思い出せたが、それ以外は何も思い出せない。」

「そうか〜一時的な記憶障害かな。名前なんて言うの?」

「シュウ・サカツキだ。」

「変わった名だな。俺はワインズ!さっき門にいた衛兵は、テリアさん、俺の師匠だ」

「ワインズさん、よろしく。」

「ワインズでいいよ!年も近そうだし。」

 自己紹介をしながら町長宅まで歩いていると、町中に大きな建物が現れた。

「ワインズ、この建物はなんだ?」

「これは、自由組合といって町民からの依頼や仕事を請け負ってる所だよ。自由組合に登録してると仕事を回してくれる。わかりやすく言えば仲介業だな。依頼の難度によっては報酬も違う。詳しいことは組合で聞いたらいいよ。まずは町長さん所だな。」

「ありがとう」

 (ゲームでいう所のギルドみたいなもんか。)

「着いたぞ、ここが町長さん所だ。待ってな、話してきてやるよ。」

 そう言ってワインズは門の中へ入っていった。

 外から、中庭を眺めていると花に水をあげている女性が見えた。

 髪は長く赤色で、顔はアイドル並みに可愛い!俺のジロジロと見る視線を感じたのか、俺の方に振り向いてきた。

 (やばい・・・変なヤツと思われたか?)

 女性は、こっちを見て笑顔で会釈をしてきたが可愛いすぎて目が合わせれなかった。

 少しするとワインズが戻ってきて、「町長さんが面会するってよ。ある程度は言っといたけど、ちゃんとやれよ。粗相のないようにな。」

「ワインズありがとう」

 そう言ってワインズと門を潜り町長宅へと入って行く。

 家自体は大きくないが入ると、高級そうなオブジェやらが並んでいる。

「ようこそアーリアへ。わしは町長のヘンリーだ」

「シュウ・サカツキと申します。お忙しい中面会していただき、ありがとうございます。」

「よいよい。肩っ苦しい挨拶は無しでいいぞ。ワインズからある程度話は聞いたが、色々と困っているみたいだな。」

「はい、名前以外の記憶が無く、何をすればよいのかも分からない状況です。」

「そうか、困っている人を助けるのは当たり前だが、おいそれと入行許可は出せない。ただ条件として、ワインズの監視の元で町内での武装は無し。ワインズに全て預ける事。この条件なら滞在は許可する。」

 何も分からない町で武装を解除するのは正直不安だが、ワインズにしろテリアさんにしろ、身分も分からないヤツに応対してくれた事を考えると無下に出来ない。少し考えたのち

「ワインズ?すまないが俺の監視役になってくれないか?」とワインズにお願いした。

「おう!任せとけ。この町を出るまではシュウの事は俺が面倒見てやるよ!」

「ありがとう!ヘンリーさんよろしくお願いします。」

「うんうん」

「まずは、寝る所と飯だな良い所紹介してやるよ。」

「助かるよ、でも俺金が無いから何処か稼げる所ないか?」

 ヘンリーさんとワインズは、びっくりした顔で俺の方を見て「無一文か!」と声を上げた。

「はい・・・気づいた時には剣しか持ってなかったんです。」

「そりゃ寝てる時に盗られたな・・・」

「仕方ねぇな今日の宿と飯は俺が出してやる、明日からは自由組合で依頼引き受けて稼ぐといいよ。」

「そうなると先に自由組合で登録だな。」

 ああ、さっき言ってたやつだな。

「ヘンリーさん、シュウを連れて自由組合まで行ってきます。」

「ああ、そうしてあげな。金が無いとこの先大変だろうしな」

 ワインズの案内で自由組合へと向かった。

 自由組合の扉を開け中を見ると屈強な男が大剣を背に装備して、仁王立ちで掲示板を見ていた。

 俺達が中に入ると屈強な男は振り向き近づいてきた。

「おう!ワインズじゃねえか!久しぶりだな!」

 (うわっ、めっちゃ声でけぇ至近距離で放つ声量じゃねえよ・・・)

「久しぶりだな兄貴」

 (えっ?全然似てないんだけど)

 ワインズの背格好は俺と大差ないが、兄貴と言われたヤツは俺の世界では、ゴリマッチョだ。全く似てない。

「兄貴!紹介するよ、今日この町に来たシュウだ。シュウ、このデカいのは俺の兄貴でギル」

「デカいってのは余計だな!ハッハッハッ!よろしくなシュウ!」

 ギルは、俺の胸に拳を軽く当てて来た。

「トン‼︎」

 ギルは軽くやったつもりみたいだったが、俺は一瞬呼吸が止まった。

 「ゲホッ!」

 「兄貴やりすぎだよ!それやめろって言っただろ?

 「ハッハッハッ!すまん!俺流の挨拶だ!」

 「で、何しに来たんだ?」

 ワインズは、俺の事をギルにわかりやすく説明してくれた。

「そうか〜金稼ぐならここが一番手っ取り早いな!」

「何か分からん事があったら聞きな!何でも教えてやるよ!」

「ありがとうギル」

「じゃあシュウの登録してくるわ、またな兄貴。」

 ギルに手を振り受付へと行くと、「久しぶりねワインズ」と受付嬢が声をかけてきた。

「久しぶりだなシャロン」

「今日は何の用?」

「ああ実は組合の登録をしにきた。」

「アンタ登録してるでしょ?」

「俺じゃないよ、後ろのこいつ。」

「初めまして、シュウって言います。」

ワインズは、シャロンにも俺の事を説明してくれた。

「そういう事か、登録は誰でも出来るけどね、一応組合長には話するね。そこで待ってて」

 扉の奥へと入って行くシャロンをギルは、いいヤツだと自慢げに話す。

「シャロンは、幼馴染で昔っからの付き合いだ、俺たち兄弟にもよくしてくれる。あいつに任せとけば大丈夫だ。」

しばらくして話がついたのか、俯き加減でシャロンは戻ってきた。

「ガチャ」

「組合長が2人で話たいと言ってるから、奥の部屋にいってもらえる?」

「なんだ?シャロンOKじゃないのか?」

「一応話をしてみたいらしいの」

「わかった、ありがとう行ってくるよ。」

 そう言ってシャロンさんに奥の部屋へと案内してもらう。

 部屋に入るとギル程ではないが、屈強な体つきで髪がやや長く年齢的に40ぐらいの男が椅子に腰を掛けていた。

「おう、初めましてだな。俺はこの町の組合長をやっている、ゼイルだ。シュウだったか、組合に登録したいみたいだな。」

「はい」

「シャロンからは話は聞いている、ただ依頼には危険な物もあって下手すりゃ命を落としかねない。」

「それでも登録するか?」

「はい」

「見た感じ戦えそうに見えないが・・・」

「どうだ腕試しをかねたテストって事で剣で戦ってみないか?」

 実力を見たいって事だよな・・・

「わかりました、お手合わせ願います。」

「じゃあ早速やるぞ、シャロン!」

「は〜い!」

「ギルがいただろう?裏庭に来てもらってくれ。」

「わかりました。ギル〜!」

「おう、なんだ?」

「組合長が裏庭に来てくれって言ってるよ。」

「わかった、直ぐいく!」

「じゃあシュウその扉を出て待っててくれ。」

 ゼイルに言われるがまま、扉を開けしばらく待っていると、ゼイル、ギル、ワインズの3人が裏庭へとやってきた。

「ギル悪いが、シュウの腕試しに付き合ってくれ。武器は木剣でだ。」

「大丈夫かよゼイル?さすがに俺相手じゃキツイんじゃないか?」

「あくまでも腕試しだ一本先に取った方が勝ちだ。」

「2人とも気を抜くんじゃねえぞ。」

「はい」「おう」

「審判は俺だ、早速始めるぞ」

いきなりすぎだとは思うが仕方ない、認めてもらうにはやるしかないか。

「じゃあ構えて」

 腕試しとはいえ2人の間に張り詰めた空気が流れる。

「始め!」ゼイルの掛け声と同時に俺は後ろへジャンプし間合いを取る。

 (構えはなっちゃいないがスピードはありそうだな。ギルに傷をつけれるかな?)

 (兄貴が相手か・・・怪我しなきゃいいけど)

 ギルは、左肩を前に出し木剣の剣先を後ろにしやや前傾姿勢で構えを取る。ゲームの中での対人戦はやった事あるが実戦はプレッシャーが半端ない。相対しているだけで汗が流れる。ギルが少しずつ間合いを詰めようとにじり寄って来た。

ギルの詰め寄った分下がろうとした時、ギルが大きく踏み込み木剣を真横に振ってきた。俺は下がらず逆にギルの懐に入るように前に出た。ギルの持っている木剣の身幅に俺の木剣の身幅を当てギルの攻撃を受ける。

(くっ、やっぱりパワーが半端ないな!)

 (正解だ、下がっていたらおそらく吹き飛ばされていただろう。感がいい。)

 一瞬止まった2人だが、ギルが右足で俺の前に出ていた左足を払ってきた。俺はバランスを崩して背中を地面に打ってしまう。「ぐっ」

 倒れた俺の顔に木剣の柄部分で殴ってきた。

 寸前で首を捻りそのまま転がりながら、ギルから間合いを取り立ち上がる。

(武器は木剣とは言ったが手足は使ってはダメとは言ってない。これが対人戦か・・・)

 2人とも間合いを取り直し構え直す。

 ギルはさっきと同じ構えだ。身体強化のバフは掛かっているがパワーでは勝てない、テクニックもギルが数段上。

 ここはスピードで撹乱か?いや、おそらくだがスピードは少し勝ってるぐらいか・・・

 まてよ?武器にこだわる必要はないか!空手・・・

 久しぶりだが、一か八かだかやる価値はあるな。

 俺は、右手に剣を持ち間合いを詰めながら片手でギルの胸元へ突きを繰り出した。

「舐めるな!」

 ギルは怒声とともに俺の片手突きを剣で振り払う。

 (んっ!剣に力が入っていない!)

 そう俺の突きはフェイクだ、振り払った剣には一切力を込めていない。元から振り払ってもらうために出した突きだ。剣が当たる瞬間右手を離し、もう一歩踏み込み左拳をギルのガラ空きの腹に目掛けて打ち込んだ。

「ぐはっ!」

「それまで!」

「クソっ!やられた!まさか格闘術が使えるとはな。やられたよ。」

「合格だ登録を認めよう。」

「ただ一つシュウには忠告しておく。今のは実戦ではなかったからよかったが、自分の武器は手放すな。もしこれが実戦ならギルのこの後の攻撃は防げなかっただろう。」

「途中で戦い方を変えた所までは良かったぞ。」

「剣の修行はしろよ、全然なっちゃいねえから。」

「はい、ありがとうございます。」

「明日から組合の依頼たのむぞ。」

 そう言ってゼイルはその場を後にした。


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