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スキル

「おーい」

「んっ?痛っ!」

 背中に痛みを感じながら頭をゆっくりと起こすと、そこは見た事のない広い大草原だった。

 ポケットに手を入れると電子タバコが入っていた。電子タバコのボタンを押しタバコを咥え煙を吸い込む。少し落ち着きを感じたシュウは辺りを見回す。

 座ったままの体勢で考え事をしていると、さっきの声が聞こえてきた。

「大丈夫?」

 辺りを見回しても声だけが聞こえるだけで何もない。

「今あなたの頭の中に直接話しかけてるだけだから実体はみえないよ。」

 声の主がそう言うと目の前に羽の生えた天使?っぽい姿をした女性が現れた。

「‼︎」

 驚く俺に少し笑いながら話掛けてきた。

「案内役のアイだよ。」

 (そういえばハゲ神が案内役つけるって言ってたな。)

「アイさんよろしくね」

「よろしく〜」

「異世界って言われても何していいかよくわからんな」

「アイさん?とりあえずどうしたらいい?」

「そうだね、ここから東にある町に行ってみたらどうかな?この世界もあなたの居た世界も同じで、人間に必要な衣食住は確保出来るよ。」

「あっ、それと異世界だからちゃんとモンスターも出ちゃうから気をつけてね。この辺りのモンスターは比較的に弱いから大丈夫と思うけど油断はしないでね。死んじゃうと転生とかないから。」

「わかった、気をつけるよ。」

「とりあえずあなたは、武器も何も無いからコレあげるよ。」

 そう言って彼女は、細身の剣を渡してきた。

「マジ異世界だな、俺の世界じゃ即逮捕だよ」

「ありがとう」

そう言って剣を装備して言われた方向へ歩いていくと、草むらの陰に生き物の気配を感じた。俺が立ち止まり様子を伺っていると突然、草むらから可愛い猫っぽい動物が飛び出してきた。

「気をつけてね!そいつモンスターだよ!」

 彼女がそう言うと猫っぽい動物が豹変して襲いかかってきた!よく見ると頭に角生えて尻尾の先端には蛇の頭が付いている。

「そいつは、キャットルー!素早い動きで爪と尻尾で攻撃してくるよ!」

 俺は貰った剣を両手で握りしめて構えた。

 ゲームをしていた時はソードマスターの職業にしてたから

 剣の使い方はちょっと分かる。ただ実戦とゲームではプレッシャーが全く違う。

 (確か剣を振る時は大振りせず、振った後に直ぐに次の攻撃が出来るように振り幅を小さくだったか)

 キャットルーは、少しずつ間合いを詰めるように俺の周りを歩きながら寄ってくる。

 あまり近付かれると剣が振れない、キャットルーが詰めてくる分俺は下がる。

 下がった瞬間キャットルーは飛びついてきた!

 俺は左に大きく避け、剣を片手に持ち替え交わし様にキャットルーのお腹の辺りを狙って剣を振る。

「細身の剣なのに重い!」

 タイミングは合っていたが剣が重く狙った所には当たらず尻尾の部分だけしか切り落とせなかった。

「痛っ!」

 かわしたつもりだったがすれ違った時にキャットルーの爪が俺の肩を掠めていた。

 急に身体中から汗が出始める、一つ間違えれば命がなくなるその緊張感が溢れてきた。

 間合いを図りながら呼吸を整え自分の状態を確かめる。

 大丈夫かすり傷だ、剣も振れる。

 キャットルーは左右にジャンプし狙いを絞らせない動きを始めた。

「さすがに同じ動きはしないか・・・」

「ただ左右にジャンプするタイミングは同じだからそれに合わせて斬ればいい。」

 俺は一度攻撃を受けて動揺はしたが、恐怖を背負うとともに集中力が増し落ち着きを取り戻していた。

「今だ!」着地のタイミングに合わせ剣を最小限の振り幅で振ろうとしたが動きを止めた、キャットルーのジャンプの幅が少し小さくなっていた事に事前に気づいたからだ。

 思ったとおりキャットルーは俺に飛びかかってきた。俺は一歩下がり最小限の振り幅で剣を振り抜くとキャットルーの体は俺の眼前で真っ二つに切り裂かれた。

「ふぅ」大きく息を吐き心を落ち着かせる。剣を握りしめ静かに目を閉じる。

 (やらなければ殺られる・・・そういう世界か)

「お疲れ様、初めてとは思えないね。たぶんこのキャットルーは強い種類だと思うよ。通常は飛びかかってくるだけだから。」

「ピローン」

「んっ?なんだ?頭のなかで電子音が鳴る?」

「モンスターを倒したのでステータス画面が開けるようになりました。」

 (アイさんの声じゃないな?)

「ステータス見れるようになった?」アイさんが聞いてきた。

「ああ、俺の頭の中で誰かが喋ってきたよ」

 そう言うと「じゃあステータスオープンって声に出さずに心の中で言ってみて。」

 (ステータスオープン!)

 俺の目の前に画面が突如現れた。

 レベル3、職業?、スキル無し、称号 追放されし者

「⁇」称号がおかしいぞ!悪意を感じる。絶対ハゲ神の仕業だな!

「あっ!特典を貰えるみたいだね」

 (そう言えば、ハゲ神が言ってたな。)

「スキルを取得出来ます。2つの内どちらかを選んで下さい。尚同じスキルは出てこないので慎重に選んでください。」

「尚、スキルを取得するまではスキルの内容は表示されません。」

「①身体強化×3」「②追い討ち」

「身体強化は何となく分かるけど追い討ち?」

「とりあえず・・・身体強化で。」

 俺はステータス画面の身体強化を選んだ。おそらくだが常時ステータスに3倍の補正が掛かるからだ。

 スピードとパワーが上がれば、さっきのモンスターもラクに倒せるはず。

「身体強化×3が適用されます。戦闘時にステータスが3倍になります。」

「戦闘時だけか、まぁいいかレベルが上がればその分補正量もふえるし。」

「よし!町まで行くか。」

 東へと歩き出す、少し歩くと川が見えてきた。さっきのモンスターの返り血を拭う為、川縁にしゃがみ込んだ。

 川に手を入れようとした時、水面に気泡が現れ突然魚みたいな生き物が噛みついてきた。寸前で手を引き、その場から後ろにジャンプして身をかわした。

 (危なっ!身体強化がなかったら手がなくなってたな。)

「んっ?この魚空中泳いでないか?」

「あっ、そのモンスターは浮遊魚!一定時間なら空を飛べるよ、ちゃんと調理すれば食べれる。」

 剣を握りしめると、さっきまで重く感じた剣が羽のように軽く感じた。

 浮遊魚はいきなり突進してくるが、牽制しようと振った剣速が速く魚を一刀両断してしまった。

 (身体強化のスキルは正解だったな)

「気をつけてね後2匹いるよ。」

 剣を川に向け身構えるがモンスターが現れない。1匹を倒した隙に2匹は左右に回り込んでいたみたいだ。俺は気づかないフリをして一歩下がりその瞬間左へジャンプし薙ぎ払った。

 左のモンスターを倒し振り返ると、もう1匹は慌てて川の中に逃げて行った。

「レベルが上がりました。ステータス画面を開いて下さい。」アナウンスが流れステータス画面を開けるとレベルが4になっていて、ステータスが上がっているのを確認した。

 辺りにモンスターの気配がなくなったのを感じた俺は、川縁に膝をつき顔を洗う。少し気持ちが落ち着いたら自然とため息が漏れた。辺りを見回すと1本の木を見つけた。木には赤い実がなっていて食べれそうに思えたがアイさんが「その実の皮と種は神経毒だから食べるなら気をつけてね。」と教えてくれた。1つ実を捥ぎ取り皮を剥き恐る恐る口に運ぶ。全然甘くない・・・「まずっ」腹が減っていた俺は我慢して残りを食べた。少し腹が満たされた俺は川を飛び越えようとしたが、川にハマってしまった。それはそうだ身体強化が掛かってないと単なる一般人だしな。

「通常と戦闘時の感覚に気をつけないとな」

 後ろで爆笑しているアイさんを無視して歩きだそうとすると、さっき逃げ出した魚が川から飛び出してきた。

「俺は今、機嫌がよろしくないぞ!」そう言ってモンスターに襲い掛かり剣をモンスターに突き刺した。

 剣に刺さったモンスターを見ながら「どうやって食べるの?」とアイさんに尋ねてみた。

「そうですね基本的には焼くか煮るで食べれますよ。」

「今回だけサービスで私が焼きましょうか?」

「サービスって?」

「本来なら案内役の私がこの世界に干渉するのはダメなんですけど異世界転生記念で一回だけ私が調理しますよ。」

「じゃあお願いするよ。薪集めてくるね」

 そう言って近くの枯れ枝を集め、薪の周りを石で囲んだ。

「準備ok!よろしく」

「いきますよ〜」

「ファイア!」

 アイの指先から小さな火の玉が放たれた。

 放たれた火の玉は枯れ枝に着火し燃え出した。

「じゃあモンスターに木を刺して火の外側に並べて下さい。」言われるがままにモンスターを並べる。

 モンスターに火が当たると香ばしい香りがしてきた。

 (これたぶん美味いやつ!)

 しばらくするとモンスターは良い感じに焼き色が付き、脂が滴り落ちてきた。

「もうイケそうだね」アイさんは、焼けたモンスターを手に取り食べ出した。

「美味し〜い!塩無しでも美味しいよ!」

「はい。」

(えっ?俺のじゃないの?まさか異世界記念とか言いながら食べたかっただけ?)

 渋々モンスターを受け取り一口食べると、濃厚な脂の甘味が口に広がった。

「美味しい!全然臭みもないね。これだと調味料は要らないね」

 そう言うとアイさんは俺の食べてるモンスターを見てかぶりついてきた。

「そうだね美味しい!」

 (アイさん一口が大きいよ・・・もう身がないじゃん。)

 残った身を食べ火に水を掛けてその場を立ち去る。

 (色々と言いたいことはあるけれど今はやめておこう)

「じゃあ町に向かって、しゅっぱ〜つ!」

 少しやる気の無くした俺は町へと向かうことにした。

 

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