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転生じゃなくて追放?

タタタッ「ガチャ!バンっ!」

「はぁ、ギリギリ間に合ったか。」

 仕事から帰ると深いため息をつき椅子に座る。

 俺の名前は、酒月さかつき しゅう20歳、仕事をしながらオンラインゲームを趣味でやっている。

 休み前の日とゲームのイベントの時は寝る間も惜しんでゲームをやっている。

 帰りにコンビニで買ったコーヒーとパンを机の横に並べ一息をつく。

 正直なところ、このルーティンにも飽きて来ている。

 コーヒーの蓋を開け喉に流し込むと、案の定コーヒーが気管に入りむせかえる。

「ゲホッゲホッ」

「今日から新しいイベントか。上位に入ると新しいスキルが貰えるから真剣にやらないとな!」

 そう言いながら、ゲームの電源を入れマイクとヘッドホンを装着していく。

 スクリーンに画像が流れログインをすると、すでに他ユーザーがログインしていてイベント開始を待っている状態だった。

辺りを見回していると背後から女性の声が聞こえてきた。

「お疲れ様、やっときたね。」

あかねお疲れ様。残業してたら遅くなったよ」

 彼女は、このゲーム(サウザンド・ドラゴン)のギルド仲間でプライベートでも親交のある友達だ。

「そろそろ始まるね」

「うん」

「そうだ昨日ね、愁がログアウトしてからギルドマスターから連絡があってね、家庭の事情で引退するって言ってたよ。」

「じゃあ今は誰がギルドマスターなの?」

「今はね、副ギルドマスターだった人」

「何かイベントの時にギルド員に報告する事があるって言ってたよ」

「あっ始まるよ!」

 スクリーンにイベントの内容が映し出されイベントが始まった。

「お〜い、暁の光ギルド員集合!」

「集合だって、とりあえず行こか。」

「皆集まったか?昨日聞いてない人もいるから報告します!」

「前ギルドマスターが家庭の事情で急遽引退する事になって、俺がギルドマスターを引き継ぐ事になりました。」

「皆も俺の事は知ってるから自己紹介は省くけど、よろしく。」

「イベント前に皆に連絡があるんだけど、このギルドに不要なギルド員がいます。」

「ザワザワ」皆んなが周りをキョロキョロと見渡す。

「前回のイベントでギルド内の成績が最下位だった、愁君で〜す。」

 ギルドマスターが指で俺を刺し睨みつける。

「愁君はいつも最下位争いで皆に迷惑をかけているので不要なのではないかとギルドマスターと副ギルドマスターで討論いたしました。」

「残念ながら2人とも同じ意見だったので、暁の光ギルドから追放します!」

「そんな横暴な事あるかよ!」

 すぐさま反論したが、ギルドマスターが指を刺したまま

 俺に「これは決定事項です!」と睨みをきせる。

「ちょっとまて!」そう言うとスクリーンに

「ギルドを追放されました」とテロップが流れた。

「無茶苦茶すぎるだろ!」

 そう言いながら、やる気の無くなった俺はログアウトし現実世界へと戻ってきた。

 放心状態の俺は、飲みかけのコーヒーを飲みタバコに火をつけた。

「フゥー」ため息と共に部屋中にタバコの煙が充満する。

 しばらくすると携帯が鳴り、茜から着信が入った。

 茜は心配して俺に電話してくれたみたいで、話の内容からすると新しいギルド員を入れる為に俺を追放したらしい。

 その新しいギルド員は、プレイヤーキラーで有名な奴で早くも皆に迷惑を掛けたみたいだ。茜は、さすがに怖くなったみたいでギルドを脱退したと話をしていた。

 ギルドを追放されゲームはしばらくやめようと思いベッドに入り眠りについた。

 朝起きると、いつもはゲームを立ち上げログインするが昨日の事が頭をよぎりゲームに手もつけずタバコに火をつけた。3年もの間飽きもせずやってきたゲームだけに、色々と思い入れがあったが今はやる気が起きない。

訳のわからない終わり方だったが、何か新しい事をするためのきっかけかもしれないと良い風に考えながら会社に出かけた。

 会社に着くと、社内は慌ただしく異様な雰囲気になっていた。近くにいる先輩に話を聞くと、社長が会社の金を持って逃げたらしい。マジか?こんな事現実に起こるのかよ?

 俺の勤めている会社は小さい会社だけに、このまま社長が見つからなかったら会社の存続もヤバイみたい。

「酒月!今日は帰っていいぞ。」課長からそう言われ、何も力になれない俺は出社と同時に帰る事になった。

「おいおい、ゲームの次はリアルかよ・・・」

 帰り道に職業安定所に入り求人募集の広告を見ながら、ため息をつく。

「はぁ、まだ会社つぶれた訳じゃないから仕事探すのはいいか」

「やる事もないから久しぶりにパチンコでも行くか」

 帰り道にあるパチンコ屋に入ると直感で台を選び椅子に座る。千円札を入れハンドルを回し打ち始めると、直ぐにリーチの演出が出た。

隣に座っていたおじさんが、「おっ!アツいね!きたんじゃねぇ?」と言ってきたが、俺はこの台をかなり打ってきたからよく知っている。今まで外した事のない演出だ!

 数字が揃いそうになった瞬間に携帯のアラームが鳴り響く。

 俺の携帯か?いや、そこら中でアラームが鳴っている。周りを見ると皆店から慌てて逃げ出して行く。

「地震じゃん!」逃げようとした瞬間、揺れが始まり俺の頭上にあった照明が落ちてきて頭に当たった。その直後から意識がなくなった。

「お〜い」

「んっ?」

「ここは?さっきまでパチンコを打ってたはずだけど・・・」

 目を覚まして立ち上がり周りを見渡すと広い空間に祭壇があるのを見つけた。ゆっくりと祭壇に歩みを進めると祭壇の上から、白い服を着てサングラスを掛けた奇妙なジジイが舞い降りてきた。

「ウェルカ〜ム」

「死の境界線へ」

 なんだこのテン上げジジイは?

「ノンノンノン!」テン上げジジイは指をを立て違うとアピールしてきた。

「テン上げジジイじゃない!ごっど!ゴッド!神様で〜す」

「うっ……」

「神様が俺に何の用ですか?」

「酒月 愁……あなたは、死にました〜誠に残念で〜す」

「軽過ぎるだろ!」

「ソーリー?」

「なんで疑問系なんだよ!」

「生前のあなたは……ゲームで追放されて、会社が倒産しかけて、パチンコ屋で照明が頭に当たって悲惨な最後でした〜」

「ぷっ。ちょっと笑っちゃうんですけど 笑」

「さっきから何がしたいんだよ!」

「用がないなら帰るぞ!」

「ムーリーでーす!」

「追放されて死んだんで帰れませ〜ん!」

「じゃあどうすりゃいいんだよ!」

「そんな残念なあなたに朗報で〜す。」

「異世界チャーンス!」

「あなたを今から異世界へ追放しまーす!」

「間違った!転生させまーす!」

「異世界先で頑張ってー!」

「おい!何の説明も無しかよ!」

「いきなり異世界行くと死んじゃうんでー、異世界特典のスキル一個だけあげまーす。」

「あと案内役の天使ちゃんもつけとくよ!」

「おい!待て!コッチの話聞けーっ!」

 神が人差し指を俺の方に向けると、足元にブラックホールの様な穴が現れ、吸い込まれていった。

「少しは話ぐらい聞けーっ!ハゲ神がーっ!」

 

 

 

 

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