兄の策略とファンタシア王国
「兄様?どうしたんですか?また攻めるんですか?」
「……いや、そうじゃないな…」
「なら、どうしてわたしを連れ出すなんて…」
「そろそろ、死んで貰おうかと思ってな」
「なっ!兄様…そんな…」
「お前が産まれたせいで一族の力が弱まっているんだ。父上や母上はお前を生かしてるが鬼人族の未来の為だ。死んでくれるか?雅」
「そんな…わたしは…死にたく有りません…」
こんな死に方は望んでいない…少なくとも兄に殺されるなどもっての他だ
「今しかないんだよ?力が弱まってる時じゃないと、ね…永遠にさようならだ」
「やめて下さい!兄様!わたしは…わたしは…」力が入らない…搾取された後は回復するのを待つしかないのだ。雅は兄の零と戦闘をするが防御が精一杯だ。それでも雅の方が強い
簡単にはやられる事はなかったのだが…
「雅…やはり一筋縄ではいかないか…これを見ろ!」
兄様がビジョンを出すと侍女の蘭が移し出された
「蘭!兄様、蘭をどうするつもりですか?!」
「素直にやられてくれたら解放するさ」
「姫様、お逃げ下さい!私の事など気にしないで下さいませ!姫様の苦しみに比べたら私の命などどうでもいいのですから!」
「そんな訳にはいかないわ!蘭…わたしの大事な人に違いないわ!兄様、蘭を解放して下さい!」
「あぁ…そうするさ…お前を殺してからな!無駄な抵抗はやめろ、雅!」
すると雅の前に無数の剣が飛んできた…大体は避けたが何本が刺さったりした
「姫様!酷いです!零様!妹君なのに…」
「俺より強い者など要らないんだよ。」
「わたしは死にたくない…わたしは…うっうっ…」
雅は転移した…。意識がまだ有る内に安全な場所に…ファンタシア王国の森の中だ…
一軒の家が有る。剣を抜き出血を直しながら回復をするが今は力が出ない、雅は一軒家の前で倒れた
そして姿が変わっていた…金色の髪にオッドアイの瞳だ。呪われし子の姿だった…鬼人族では金色の髪の子は産まれない
意識が薄れゆく中、雅は願った。どうか、エスターに会えますように…
「仕損じたか…しぶといな、雅…」
「姫様!姫様!」蘭の声だけが響き渡った
「目が覚めたか?丸1日、眠っていたが動けるか?傷は自然回復してたようだが一応、治療しといたが」
「あの…私はどうしてここに?私は誰なのか記憶がないのですが…貴方は一体?」
「記憶喪失か…よほど忘れたい事があったんじゃな。ワシの名前はハロルドだ。隠居した身でな。この森で暮らしている者だ。そなたはワシの家の前で倒れていたのをここに保護しただけだ。じきにお迎えが来るぞ」
「お迎え?一体誰がですか?あ、助けて頂きましてありがとうございます」
「傷に触るといけないから目くらましの魔法を使ったのでそなたの居場所特定は中々見つからなかったろうが、あの弟子が邪眼の力でそろそろ現れるだろうな…」
「邪眼…誰ですか?それにここはどこですか?」
「ここはファンタシア王国のはずれの森だな。そなたを探してるのはこの国の王だ」
「王様がわたしを探しているのですか?わたし…何かしたんでしょうか?」
「ワシが見つけた時には傷を負って倒れていただけだが、あの弟子にとってはそなたは大事な人のようでな」
「わたしが大事な人…?思い出せません…」
「一時的な記憶喪失だと思うからその内に思い出すかもしれないが…それがいい事とは限らないな…」
「……そうですか…」
「腹は空いてないか?大した物はないがシチューでも食べて体力回復するといい」
「何から何までお世話になってすみません。頂きます」そしてしばらくすると外が騒がしい
「師匠!師匠!居るんでしょう?結界を解いて下さい!」
「来たか!目くらましを解いたからな…今から会う弟子はそなたにとって害を成す者ではないので安心するといい」
「はい…あの結界張ってたんですね」
「あぁ、そなたが狙われてると思ったんでな…」
「師匠!結界破りますよ!雅が居るのは分かってるんですからね!」
「はぁー困った弟子だな…王の自覚が足りないな…初恋だから仕方ないか…」
結界を解くと扉からエスターが現れた
「雅!雅?雅なのか?その髪色にオッドアイになってるが間違いないよな?!雅!心配した」
「あの…貴方が王様ですか?わたしってみやびって言うんですか?あの記憶が無くて…」
「記憶喪失?!師匠、何かしましたか?」
「ワシのせいにするな!怪我をして倒れていたのを保護しただけだ。お前がうるさいから目くらましをかけてただけだ」
「そうですか…。私の名前はエスター,ナイトハントだ。君の婚約者になる予定だ」
「婚約者?!貴方がわたしの?だって王様だって…」
「こらこら、記憶喪失だからってそんな事言ったら混乱するだろうが!」
「本当の事だからいいんです!雅、こんな所にいつまでも居ないで王宮に行こう。側に居たら私の良さがきっと分かるさ」
「あの、でも…わたしなんかが王宮なんて…ハロルド様にもお世話になりましたしお手伝い出来る事が有れば…」
「いいんだよ。師匠には後で私からしっかりお礼しておくさ!行こう、雅。会いたかった」
「えっと、その…なんて言っていいか…」
「エスターで構わないよ。雅は大事な婚約者なんだからな。心配しなくても大丈夫だ」
「…はい…その、宜しくお願いします」




