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OREZAN――種族が「???」な俺、ステータス改竄で神を超える  作者: VIKASH


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7 第零は想定外

 



 境界域は、静かだった。


 削除された世界の残骸が、空に逆さまに浮かび、音もなく崩れていく。色の抜けた大地。重力すら曖昧な空間。


 その中央に、俺とレイリア、そして第壱干渉者が対峙していた。


「やはり来たか、第零」


 第壱は淡々と告げる。その瞳は深い蒼。だがその奥に、微かな焦りが見えた。


「お前はここに来るべきではなかった」


「来るべきじゃなかったのは、そっちだろ」


 俺が一歩踏み出すと、空間が軋んだ。


 境界域が俺を拒んでいるのではない。


 迎えている。


 その瞬間、空が裂けた。


 黒い光。


 空間そのものが侵食され、巨大な影が降り立つ。


 最上位使徒。


 存在するだけで世界を削る異形。


 レイリアが息を呑む。


「早い……侵入が」


 第壱が舌打ちした。


「まだ予定ではない……」


 俺は笑った。


「予定?」


 第壱の視線が、わずかに揺れる。


「……お前は知らないのか。俺たちは選ばれた干渉者だ。世界の均衡を保つために」


「誰に?」


 沈黙。


 その隙を裂いて、最上位使徒が腕を振るう。


 境界域が崩壊した。


 崩れ落ちる世界の断片。色が消え、概念が砕ける。


 俺は手をかざした。


 止まれ。


 その一言で、時間が停止した。


 否。


 “停止させた”。


 最上位使徒の動きが止まり、崩壊も止まる。


 第壱が目を見開いた。


「干渉強度が……上がっている?」


 俺は違和感を覚えた。


 力が軽い。


 まるで――ここが俺の領域であるかのように。


「違う」


 震える声が、隣から響いた。


 レイリアだった。


 彼女の瞳が淡く発光している。


「ここは……あなたの始まりに近い」


「始まり?」


 その瞬間、最上位使徒が動いた。


 止めたはずの存在が。


 時間の外側から、俺を見ていた。


 理解した。


 こいつは“干渉対象”ではない。


 俺は、選択した。


 手を振る。


 境界域の一部が、消えた。


 削除。


 最上位使徒ごと、空間を。


 轟音もなく、存在が抹消される。


 第壱が一歩退いた。


「お前……世界ごと消したのか?」


「一部だ」


 俺は答える。


 だがレイリアは、震えていた。


「それは……やってはいけない」


「なぜ?」


 彼女は俺を見上げる。


 その瞳に、恐怖と――確信。


「それは、管理者の権限」


 空間が揺らいだ。


 第壱が膝をつく。


「馬鹿な……第零がそこまで至るはずがない。お前はただの不確定因子のはずだ」


 不確定因子。


 俺は笑った。


「お前は何を知っている?」


 第壱の唇が歪む。


「俺たちは“駒”だ」


 空間の奥から、視線を感じた。


 巨大な、形を持たない意識。


 世界を俯瞰する何か。


 その存在が、初めて揺れた。


『観測不能』


 声ではない。概念。


 第壱が顔を上げる。


「聞こえただろ? これが――」


 俺は空を見上げた。


「お前らが、俺を決めたのか?」


 沈黙。


 そして。


『第零は想定外』


 その瞬間、境界域が軋んだ。


 観測する側が、初めて焦っている。


 レイリアが俺の手を掴む。


「これ以上は、見られる」


「見られる?」


「あなたは……まだ目覚めきっていない」


 第壱が立ち上がる。


 だがその目に、戦意はなかった。


 恐怖。


「俺は撤退する」


「逃げるのか?」


「違う。報告だ」


 空間が裂け、第壱の姿が消える。


 残されたのは俺とレイリア。


 そして、見えない“何か”の視線。


「ねえ」


 レイリアが小さく言った。


「もし、あなたが本当に“零”なら」


「なら?」


 彼女は迷い、そして告げる。


「この世界の外側に、行ける」


 俺は空を見た。


 裂け目の向こう。


 無数の世界。


 無数の干渉。


 無数の観測者。


「面白い」


 俺は一歩踏み出す。


 境界域が、俺に従う。


 世界の削除。


 干渉の上書き。


 観測の拒絶。


 上位構造が、初めて揺れた。


 そして。


 遠くで、誰かが呟く。


『計画修正』


 俺は笑う。


「遅い」


 第零は、想定外。


 だがそれは、奴らにとっての話だ。


 俺にとっては――


 ここからが、始まりだ。






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