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OREZAN――種族が「???」な俺、ステータス改竄で神を超える  作者: VIKASH


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42 都市封鎖


 


 光が落ちた。


 空から降ってきたそれは、槍だった。


 だが鉄ではない。

 光でもない。


 演算だった。


《排除》


 管理体 ARCH-07 の周囲に、無数の文字列が展開する。


《慣性固定》


《運動量保存》


《空間拘束》


 その瞬間、少年の拳が止まった。


「……おい」


 腕が動かない。


 まるで世界そのものに掴まれているようだった。


 少年が笑う。


「なるほどな」


「物理ルールで殴ってくるタイプか」


 空から、第二の槍が落ちる。


 ロルトの方へ。


 レイリアが叫んだ。


「ロルト」


 だがロルトは動かない。


 ただ、空を見ている。


 演算の海。


 その奥に手を伸ばす。


 そして。


 静かに言った。


「前提を少し、借りる」


 文字列が揺れる。


《運動量保存》


 その一行に、ノイズが走る。


 ロルトが書き足す。


《例外許可》


 瞬間。


 少年の拳が動いた。


 バンッ。


 空間が爆ぜる。


 拘束が砕けた。


 少年は目を丸くした。


「おいおい」


「マジで世界書き換えてんのか」


 ロルトは肩をすくめる。


「一部だけだ」


 その時だった。


 後方で、轟音が鳴る。


 ドンッ。


 あの怪物だった。


 腕が三本の、人間だったもの。


《逸脱値:11.02》


 怪物は暴れていた。


 ビルの壁を叩き壊し、道路を歪ませる。


 人々が逃げ惑う。


「おおおおおおおおお」


 重なった声。


 ノイズ。


 少年が振り向く。


「放置でいいのか?」


 ロルトが答える前に。


 ARCH-07 が手を上げた。


『例外確認』


 無数の文字列が収束する。


《例外削除》


 怪物の体が止まった。


 そして。


 ノイズが走る。


 ザザザザ――


 体が崩れた。


 まるで。


 ログアウトするように。


 粒子になり、消えた。


 レイリアの声が震える。


「……今」


「消した?」


 少年が口笛を吹いた。


「えげつねぇ」


 ARCH-07 が続ける。


『人類は臨界に到達した』


『例外感染率』


《0.031%》


 空に巨大な数値が表示される。


『このままでは文明が崩壊する』


 都市の空気が凍った。


 管理体の声が、静かに落ちる。


『よって』


 巨大な文字列が展開する。


《都市リセット》


 レイリアが息を呑む。


「……リセット?」


 ロルトは空を見上げた。


 演算の海が、ゆっくりとうねっている。


 そして。


 空に、新しい表示が現れた。


《セクター9 初期化まで》


《300》


 数字が減る。


 299


 298


 都市の人々が、空を見上げる。


「なんだあれ……」


「数字?」


「カウントダウン?」


 誰かが叫んだ。


「逃げろ!」


 パニックが広がる。


 車が衝突し、人が走り出す。


 都市が崩れていく。


 少年が笑った。


「都市ごと削除か」


「スケールでかいな」


 ロルトは言う。


「合理的だ」


「感染源ごと消す」


 レイリアが振り向く。


「そんな……」


 その時だった。


 ロルトの視界が、上へ伸びる。


 演算層。


 そのさらに上。


 今まで見えなかった階層。


 そこに。


 無数の光点があった。


 ロルトは目を細める。


「……そうか」


 少年が聞く。


「何が?」


 ロルトが空を指す。


「管理体は一体じゃない」


 その瞬間。


 空の奥で、光が瞬く。


《識別》


《ARCH-02》


《ARCH-11》


《ARCH-03》


 遠くの空。


 さらに遠くの都市。


 同じ光が降りている。


 レイリアが呟いた。


「……世界中?」


 ロルトは頷いた。


「人類全体を監視してる」


 少年が笑う。


「つまりさ」


「世界って」


「運営付きってこと?」


 ARCH-07 が言う。


『例外個体』


『ロルト』


『排除優先順位』


《第一位》


 光の槍が再び生成される。


 数が増えていた。


 十。


 二十。


 三十。


 少年が肩を回す。


「いいね」


「じゃあ暴れるか」


《逸脱値:23.90》


 空間が歪む。


 だが。


 その時だった。


 ロルトが気づく。


 遠く。


 都市の闇。


 別の場所。


 新しい数値が現れる。


《逸脱値:31.44》


 さらに。


 上昇する。


 40


 55


 70


 少年が目を細める。


「……なんだ?」


 その瞬間。


 数値が跳ね上がった。


《逸脱値:100.00》


 都市が震えた。


 演算の海が、大きく波打つ。


 ARCH-07 の声が、初めて揺れる。


『未確認個体』


『覚醒』


 巨大なログが展開する。


『カテゴリー』


 一瞬の沈黙。


 そして。


 文字が現れる。


《神格例外》


 レイリアが息を呑んだ。


「……神?」


 ロルトは遠くの闇を見ていた。


 都市のどこか。


 誰かが、空を見上げている。


 演算の海を。


 そして。


 ロルトは小さく言った。


「始まったな」


 空のカウントダウンが減る。


《都市初期化まで》


《214》


 都市の夜が、震えていた。






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