中間テスト終了
「教頭、こちらが松茸になります。テスト終わりまでニオイをご堪能下さい」
「う、うむ」
「もし汚したら松茸のホイル焼きの質が下がりますからね?先生といえど強気に発言させていただきます」
「わ、わかった」
今日は金曜で中間テスト最終日。放課後に先生達と一緒に松茸料理を調理室で食べることになっている。
「職員室の窓際に置いてある松茸への校長と教頭の執着がすごいんですよ。ま、お二人以外も気になる職員が続出なんですけどね」
「あはは。あと2時間後をお楽しみにと伝えて下さい」
担任の九條先生が試験監視のテスト終わりに呆れながら校長と教頭が松茸に夢中なのを教えてくれた。香茸は乾燥から戻してスープジャーに入れてあるから炊き込みご飯までニオイを嗅ぐことは出来ないんだよね。残念ながら。
「蔵持先生、すみませんが調理室のカギと松茸を持ってきてくれるように多澤先生にお願いしてもらえますか?」
「わっかりました♪」
テストも終わったHR後、職員室には入れないから蔵持先生にお願いをする。ちなみに職員室に置いてあるのはホイル焼き用で、ご飯にするのは俺が保管している。
「まずは炊き込みご飯の準備だな。多澤先生が白米は水につけておいてくれたから、すぐに炊きはじめよう」
雪華「そうだね」
内宮班のみんなは調理室にはいるけど後方で中間テストの見直しをしている。俺と雪華は基礎科目の試験は無かったけど、専門学校でも基礎科目が試験対象になっているところもあるみたいで念の為に復習しているようだ。
「炊き込みご飯の炊き上がりまで半分になったから、松茸リゾットと松茸のホイル焼き作りを始めるか」
「だね」
リゾットはチャーハンと同じくパラパラが良いって記事も目にするけど、俺が作るのは粘り気のある“おじや”みたいな感じのリゾットなんだけどね。このほうが松茸の香りと旨味が染み込むから美味しいと思うんだよね。
鳳来「悪かったわね。手伝うわ」
「それじゃあホイル焼きを頼むよ。炊き込みご飯は炊飯器で出来上がりを待つだけだから平気だよ」
笹嶋「あたしも手伝えるよ」
「それなら味噌汁をお願い。具材は豆腐となめこで準備済だから」
「わかった」
「それじゃあ、鳳来さんは松茸を手で4分割に裂いていこうか」
石づきに軽く十字に切り込みを入れて、カサに向かって裂いてもらっていると全員勉強が終わったみたいだ。
「指先が松茸のニオイがする」
松茸を全部裂け終わった鳳来さんが指先のニオイを嗅いでいるのを見て笑いそうになる。俺はスダチを2つに切っていたから、指先はスダチのニオイがしているだろうな。
本日の先生達のメニューは松茸ご飯と香茸ご飯。おかずは松茸のホイル焼き。味噌汁もあるけど具材は豆腐となめこ。となっております!
「厳さん、悪いけど職員室に出来上がったのを知らせてくれるか?ドアをノックすれば気づいてくれるから」
「ガッテンだ!」
「昌史も義妹ちゃんに連絡していいぞ?」
「おう!」
「せっかくですけど、ご飯2杯は食べられないから松茸だけいただきます」
「先生。こちらの香茸は滅多に入手出来ない上に松茸よりも高価な場合もあるんですよ?それなのに食べないんですか?」
「ウッ」
「ご飯を少な目にして両方食べなきゃ損ですよ」
俺の発言に松茸だけにしようとしていた先生も考えを改めたらしく、結局は全員が松茸と香茸ご飯を食べることになった。
「松茸のホイル焼きは軽く醤油とスダチを搾ってから食べて下さい。ホイルに包むときに軽く塩を振ってから焼いて塩気はありますから醤油のかけ過ぎは注意が必要です」
先生達全員に行き渡ったタイミングでホイル焼きの注意説明をさせてもらってから食べ始めてもらう。
「では俺達も食べようか」
「「「「「いただきまーす」」」」」
俺達は松茸がリゾットなだけで他は先生達と同じ。おかずが少ないけど、そこは晩飯のおかずでしっかりと食べてくれってね!
「内宮君、去年より時期が早いですし香りが強いですね」
「そうですね。天然ですからその年によって色々と差が出るんですよ」
「確かに」
俺達内宮班と昌史の義妹ちゃんとその友達も食べ終わり、食器を洗っていると松茸料理を食べてくれた先生達がお礼を言ってくれる。
帰りのバスの車内で雪華に「俺は卒業するから先生達は来年に俺と同じような考えの人が入学するのを期待するしか無いよな」と話すと「ひろ君みたいな考えの人は特殊だからいるかなあ?」と言われてしまった。俺って特殊なの?




