烏野さんと鳳来さんとハゼ釣り
母さん「あみちゃん。お兄ちゃんに聞いちゃダメよ?朝ご飯を食べるのが遅くなるから」
「ひどい!」
「だって、まだ理解出来ないのに詳しく話しだすじゃない」
日曜朝の情報番組を見ながら朝食を食べていると、モクズガニの映像が流れてきた。愛美が「カニさん」と画面を指差しながら俺に言ったから何の種類か説明しようとしたら母さんが愛美に注意していた。
彩夏「おにいちゃん。お気をたしかに!」
そして彩夏に慰められた。
雪華と父さんは声に出して笑っても別にいいんだぞ?
「ひろ君どうしたの?」
朝食後、バスで河口に移動中にスマホを見ていたら雪華に心配された。
「今朝の番組でモクズガニが紹介されてただろ?飼育はしないけど、旬の時期だから取り寄せようと思ってさ」
「なるほどね。海のカニは良く食べるけど、川のカニは食べないもんね」
「だな。モクズガニって食べる部位がワタリガニと似ているし、手軽に買えるワタリガニのほうを利用するからな」
「サワガニも食べられるんだよね?」
「寄生虫の心配があるから必ず加熱調理しないといけないけどな!唐揚げとかの揚げ物で食べられているみたいだけど、俺の場合は色彩が豊かだから飼育のみだな」
「繁殖したのを食べるのはどう?」
「家族で食べるまで繁殖はしてないよ」
「それもそうだね」
河口に向かっているのはハゼ釣りのため。メンバーは俺と雪華、烏野さんと鳳来さんとなっている。明槻さんと笹嶋さんとは来週やる予定だ。
昨日の栗の皮むきはどうしたんだよ!と思われるかもしれないけど、今晩の晩飯の栗ご飯の分は皮むきを終えて炊飯器の中に入っているし、その他は茹でてから冷凍保存中で、水に浮いたダメなやつは雪華が捕まえたゾウムシの飼育容器の中に入っている。
「雪華はメッキ狙いで頼むよ。烏野さんと鳳来さんもメッキが食べたくて釣る時期はズラしたけど、まずはハゼを狙うみたいだからさ」
「ウチも今日は栗ご飯だからおかずは少なくて済むもんね。りょーかい」
そんなこんなで釣りを開始する。俺はミミズだけど烏野さんと鳳来さんは青イソメ。ま、食い付きが悪ければ俺がミミズを付けてあげればいいと考えていた。のだけど……。
鳳来「いやー、うちらだけ釣れて悪いわねー」
烏野「何で他の人はあまり釣れてないんですかね?」
「ポイントの差ってやつじゃないの?」
「なるほどね」
といった具合で餌に関係無く釣れている。実はこの釣り場は砂泥地の足場とコンクリートの足場があるんだけど、やっぱり足場の良いコンクリート側のほうが人気がある。だけどハゼが好む環境はこっちが断然上。コンクリートの足場部分以外は同じだからと考えているんだろうけど、居心地が良い場所から動きたくないのは人間も魚も一緒ってことだな。
烏野「雪華ちゃん。メッキ釣りを始めようと思うんですけど具合はどうですか?」
「好調よ!ルアーはこのタイプがいいわね。セイゴもたまに混じっていい感じよ」
「わかりました」
「家族分のハゼは確保出来たの?」
鳳来「ええ。ほぼ入れ食いってやつだったからね」
今は昼休憩中で、ご飯は皆おにぎりで手軽に食べることが出来ている。俺はミミズが餌だったから石けんで良く手洗いしても多少臭いが残っているんだよねー。
昼飯を食べ終わり、女性陣は全員がメッキ釣りをしている中、俺はハゼ釣りを続けて烏野さんと鳳来さんに渡した青イソメが残っているから消費している。ミミズはまた飼育容器に戻せばいいけど青イソメは水を汚すから、飼育魚の餌にするにはまだ多いからな!
「ひろ君大変!鳥が溺れてるよ!」
「何だと!?どこだ!」
「あそこ!」
「雪華は烏野さんと鳳来さんに帰宅する準備をするように頼む」
玉網を持って救助に向かう。翼を広げているからすぐに沈むことは無いだろうけど、水鳥じゃないから体力消費も激しいだろうからな。
鳳来「内宮!その手に持っているのは何?」
「ちょっと鳥を助けに行ってた」
烏野「タカ…ですか?」
「こいつはアメリカチョウゲンボウ。飼い鳥みたいだから近くの交番に届けよう」
という事で交番に届けてから帰宅する。一応、連絡先を遺失物報告用紙に記入してから交番を出る。同じ県内だけど遠方だから少し質問されたけど釣りをする格好だから察してくれたよ。
晩飯は栗ご飯とハゼの天ぷらとメッキの刺身。もちろん味噌汁があるから定食風になったよ。雪華は烏野さんと鳳来さんの分のメッキも釣ってくれていたけど、結局自分の家の分は自分で調達していたから雪華が釣ったメッキは全部ウチで食べることになった。メッキの自家製干物でも作ってみるか。




