大盛り上がりの彩夏の教室
「雪華お待たせ!行こうか」
「うん!朝からご苦労様」
「おにいちゃん、行ってらっしゃい」
バスに乗車する時間前までに彩夏の教室の水槽を確認してきた。感覚でダメかどうかはわかるけど、念の為に水質検査薬で検査もしてきた。結果は問題無かったから、安心してメダカもエビも水槽導入出来るぜ。
「どうだった?」
「大丈夫だったよ。問題無く3時間目にメダカもエビも水槽導入出来るよ」
「流石ひろ君。でも、朝から大変だったね」
「最後まで面倒を見るのがセッティングした俺の責任だからな」
彩夏には赤色のエビをオス3匹メス7匹の計10匹を持たせた。来週には青と黄色のエビも彩夏に渡す予定だからカラフルなエビに水槽の注目も更に上がるだろうな。
ちなみにオスの数が少ないのは喧嘩を防ぐため。オス同士はもちろんだけど抱卵中のメスの個体を襲わないようにするためでもある。意外と面倒臭いんだよね、エビって。
◇◇◇
「おにいちゃん!教室のメダカ水そうが大人気だよ!」
雪華をバイト先に送ってから帰宅すると、興奮気味の彩夏がドタドタと玄関にやってきた。けれど、いつも通り手洗いうがいをしてから話しを聞くことにした。
「おにいちゃんに言われた通り3時間目に水そうに入れたんだけどね、お昼休みにいつも校庭に遊びに行く男子も教室に残って水そうを見てたんだよ」
「そっかー。入れたとたんにダメになったりしなかった?」
「大丈夫だったよ」
「今週に問題が無ければ、来週の月曜に青と黄色のエビも水槽に入れられるからね。クラスの皆にはまだ秘密にしておくんだぞ?ビックリさせたいからな」
「うん! あとね、他のクラスにメダカがいなくなったのをバカにしてきた男子が何人もいたんだけど、クラスの水そうを見てくやしがってたんだよ」
「だろうな!あれだけの水槽を設置するとなった場合は学校のクラス予算じゃ無理だからな」
それに、俺は水槽関連を発売する会社が主催した水景コンテストの学生部門で入賞したことがあるからな!見映えも考えられるんだぞ。
母さん「今朝は早く登校する子ばかりだったみたいよ?」
「多分だけど、土曜に教室に居た子だろうな。教室の水槽が気になったんだろう」
「そうみたいね。朝も早起きだったみたい」
「俺ですら新しく水槽導入した翌日は気になるからな。実際にあの場にいたなら尚更だろう」
「いつまで続くかしら?」
「今週だけじゃない?まだ、飽きっぽいだろうし」
「そうねぇ」
「ただ、これを機会に水槽飼育に目覚める子はいるかもしれないな」
「それはあるわね」
彩夏が所属するクラスのグループメッセージは教室の水槽に興奮した子の話題ばかりみたいだそうだ。来週は別の色のエビが水槽に入るからな、また興奮するんだろうな。
〜彩夏side〜
おにいちゃんにわたされたエビ入りの入れ物を持って登校していると、友達との合流場所に着いて一緒に行くことにした。友達も持っているエビが気になるみたい。
1時間目は水そうの中にメダカと一緒にプカプカさせて水温合わせ。2時間目は水合わせをして3時間目。皆が見守る中、水そうに放すと「わー」となった。
本当は別の勉強なんだけど、特別に理科のじゅ業となってメダカとエビの観察。おにいちゃんならメダカのオスとメスが何匹いるのかすぐにわかるんだろうけど、動き回っているからわからないよ。
「先生!手前の水草がアワばかりだけどいいんですか?」
「これは上の学年で習うのですが、酸素の泡だから問題無いですよ」
「「「「「へー」」」」」
おにいちゃんは光合成って言ってたっけ。お昼はさんそを出すけど、夜はさんそをすうんだよね。
お昼の時間は校庭に遊びに行くけど、今日は皆で水そうの前にいる。気になるもんね!そんな中、別のクラスの男子がまたバカにしに来た。
「よお!メダカをダメにしたクラス!新しいの入れたのか?」
なんて言いながら入ってきたけど、水そうを見てビックリしていた。その後は何も言わずに教室から出ていった。
「アイツ何も言わずに出ていったぜ!」
「当たり前だろ!内宮さんの兄ちゃんがやってくれたコレがスゴすぎるんだから」
「だよな!他のクラスは少しだけ水草があるだけだもんな」
「内宮さんのお兄さんにはかんしゃだよな」
「「「「「まったくだぜ!」」」」」
それと、お父さんを連れて来て水そうにトドメを刺した男子は教室の後ろでくやしそうにしていたけど気にする人はいない。だっていばってばかりなんだもん。おにいちゃんにはまだ早いって怒られるかもだけど、いい気味だよ。
「あやかちゃんのおにーさんはやっぱりスゴイね」
「もちろん!だって、あやかのじまんのおにいちゃんだもん」




