ハゼ釣り調査
「あやちゃんの夏休みの宿題は大丈夫なのよね」
「大丈夫。彩夏にとって初めての読書感想文も7月中に終わっているからな」
読書感想文のために学校が指定している堅苦しい本を読んでいる彩夏が「は〜。マンガならこの厚さの本もすぐに読めるんだけどなー」と言っていたのには笑ってしまったけど、それには激しく同意だな!後はラノべもすぐに読み終わるよな。
「自由研究は?」
「終わってる。今年は俺に内容を頼ってくれなかったから、お兄ちゃんとしてはちょっと寂しかったよ」
「あはは。あやちゃんの友達にあげたオカヤドカリは返してもらうの?」
「友達のお母さんがダメって言ってるの?」
「それは聞いて無いわね」
「それならそのままで。まだ先だけど冬場はパネルヒーターで管理すれば平気だからな」
朝食の後片付け中、キッチンで母さんから彩夏の宿題について聞かれた。俺に聞くのは一緒に勉強していて把握しているからだな。
そして、彩夏の友達の自由研究の課題はヤドカリの宿替えの観察にしたみたいで、飼育している俺に相談してきたから5匹宿替えしそうな個体を渡した経緯がある。
「ひろ君、この前の水槽のライブ動画がじわじわ再生数が増えてるよ?何でだろ」
「さあ?コメント欄に何か書かれてない?」
「書かれてないよ」
「うーん。ただ、イエローへッドジョーフィッシュが巣穴で口に卵を咥えている映像なんだけどな」
「だよねー」
複数ペアを飼育している俺の水槽では良く見る光景なんだけど、何で再生数が増えているんだ?わからん!
「キューちゃんの動画のほうは相変わらず人気だね」
「だな。収益で飼育に必要なお金を賄えているからな」
「ねー」
そんな会話をしながら飼育部屋で作業をする。飼育部屋の後は家庭菜園区画の整備。メロンやスイカはもう雌花をつけてないから、今実っているのを収穫したらおしまいだな。
「あやちゃーん、お昼ご飯だよー」
「はーい」
リビングのテレビでゲームをしている彩夏をテーブルに呼ぶ。
「今日はひやむぎなんだね」
「もうすぐ夏休みも終わりだからね。そうめんやひやむぎをお昼に食べる機会も少なくなるぞ?」
「そっかー。夏休みもおわりかー」
「最後にあやちゃんの友達も呼んで花火をしようね」
「うん!」
そんな会話をしながら4人で昼飯を食べる。そして、食べ終われば雪華と出かける。
「最初、雪華はガサガサを頼むわ。ヨウジウオの採集希望」
「ひろ君に頼まれちゃあ、頑張らないとね!」
「それじゃあ俺はハゼ釣りするから」
と、いう訳で午後から雪華と河口へと来た。ハゼの大きさ調査とガサガサが目的だ!
「やっぱりミミズの食い付きはいいな」
チョイ投げして待ち時間がほとんど無くブルッとするからアワセれば針掛かりしている。コレだよコレ、ハゼ釣りはコレが楽しいんだよ!
「ひろ君、あたしもハゼ釣りしたいな」
「あいよ。ミミズしか持ってきて無いから、餌を付けるのは俺がやるから。雪華の指を臭くはさせたく無いからな」
「じゃあ、お言葉に甘えてお願いします」
ガサガサを終わりにした雪華がコチラにやってきたから釣り竿を渡す。
雪華がガサって採集したのを確認しながら、ミミズをつけてあげる。
「色々と採集出来たんだね」
「そうなのよ ヨッと」
雪華がガサったのは満潮前後には水に浸かる砂泥地に生えている植物の根元付近。潮溜りの海藻と同じような状況になるからな。
「ヨウジウオも複数種類いるみたいだし、エビもいるな。ありがとな雪華」
「えへへ〜。寝る前にキスしてね♡」
「もちろんだ!愛を込めてキスしてあげるぜ」
そんな会話をしながらも、ハゼを釣り上げる雪華。
「さて、数も十分だし帰るとするか」
「だね!大きさもいい感じだけど、唐揚げにするの?」
「天ぷらで。母さんに連絡したから野菜類も天ぷらにする予定で準備してもらっている」
「なるほどね」
「今日予定していた豚の生姜焼きは明日の晩飯になりました」
「あ〜ん、豚ちゃんゴメンねー。ところでさ、マテガイやアナジャコを採取した場所にハゼはいないの?」
「いるとは思うけど、あそこは干潟だから釣りには不向きなんだよ」
「確かにね」
そんな会話をしながら片付けて自宅最寄り駅に向かうバス路線のバス停へと向かう。今日は調査だからウチの分だけで蔵持先生の分も無し。前回の釣り倶楽部も渡してないから「そんなー」と嘆く声が幻聴したよ。
晩飯でハゼと野菜の天ぷらを食べたら雪華が採集したのを仕分けていく。エビはどうやら小型種のシラタエビみたいで最高だぜ!
と、いう事で就寝前に愛情込めたキスを雪華にしたら「んあっ」とか「んむうっ」とか色っぺえ声を漏らしていたから、その後の展開を抑えるのが大変だった。




