夏休み釣り倶楽部 その2
「今日の釣り倶楽部は大物狙いで頼むわ」
「りょーかい。冷凍庫にも色々あるしね」
今日は水曜だから釣り倶楽部の日でございます。
鳳来「まずはサビキでアジかな〜」
防波堤に到着して、俺は前回同様ビーチパラソルを準備する。海風が少しはあるけど炎天下の中、日陰が無いとキツイからね。
「二人は大物狙いなの?」
「まあね」
「前回釣らなかったのを後悔してる感じ?」
「違う違う。刺身で食べたい種類がいてさ」
「なるほどね」
最初から俺はルアーで雪華は胴突仕掛けで釣りを始めたから明槻さんが心配?して声をかけてきてくれた。冷凍庫にキスやコチが開きの状態で入っているからなんて言えませんて。アナゴの蒲焼き予定もまだ控えていますし。
「雪華悪いんだけどさ、流れ藻がこっちに流れてきたから手伝ってくれるか?」
「いいよー」
クーラーボックスの上に座り、水分補給をしている雪華に流れ藻採集の手伝いをしてもらう。
「ひろ君、色鮮やかな魚が入ったよ」
「どら。 うおおおおお!マジかよ!これはどっちだ?」
荷物置き場にあるプラケースに問題の魚を入れて確認すると。
「これは、ノコギリハギだな」
ノコギリハギはシマキンチャクフグに擬態している種類になる。採集したのは成魚に近い大きさで2匹一緒に採れたから楽しみだ。
他にも色々な稚魚や幼魚が採集出来たぜ!大収穫と言っても過言じゃないのはタツノオトシゴの雌雄が数匹と、先日採集したイレギュラーバンドのカゴカギダイとは別の何かが違う個体。それと、タツノオトシゴの仲間であるタツノイトコかハトコと思われる種類の多分ぺア。多分というのは体を絡ませて仲良くしているからだ!
うはー!嬉しいけど、飼育部屋はもうキツキツだから、俺の部屋にも水槽を設置しようっと。多少の高水温でも平気な種類なら、冬場はヒーターを水槽内に入れれば問題無いからな。
ちなみに俺の部屋に移動するのは淡水になる。汽水や海水は飼育部屋のほうが管理が楽だからな。
自分で一軒家を建てる場合は飼育部屋や栽培部屋は広い間取りにしようっと。もちろん雪華と相談するけど。
さて、釣りのほうはといえば……。
鳳来「釣れてないじゃん。サビキは好調よ」
「フッ。大物狙いとはこういうものさ」
アニメや漫画では前髪をサラッとかきあげる仕草の描写になるんだろうけど今はキャップをかぶっているし、そもそも俺は短髪だからそんな事は出来ませんがね。とりあえず、キャップのつばの部分でも触っておきますかね。
「笹嶋さん、悪いけどイシダイの幼魚はそこまでにしてくれる?」
「うん。あたしも思ってたから」
釣り人の間でサンバソウと呼んでいるサイズも結構な数が釣れているけど、これ以上はダメ。イシダイの幼魚は俺と雪華以外釣れていて、家族の分だけにしてもらう。食べても美味しい魚だから釣れたら持ち帰りたいだろうけど、ね。
雪華「ふうーっ。やっと釣れたわー」
烏野さんに竿を持ってもらい雪華が玉網に入れて釣り上げたから、皆が集まってきた。
鳳来「良かったわね!」
雪華「うん。今日は防波堤で釣れる範囲での大型魚を狙っていたからね。釣れなくても仕方無いかなと思っていたから」
烏野「内宮君、このお魚の種類は何ですか?」
「多分、マハタだね」
笹嶋「マハタってマジ?」
「うん。防波堤で釣れるとは思わないの普通だからね」
鳳来「なるほど、珍しいのねぇ」
雪華が釣ったマハタで一通りワイワイしたら、また釣りへと戻っていった。俺もルアー投げを開始する。
「雪華、悪いけど玉網を頼む」
「ひろ君にもやっとアタリが来たんだね」
「狙いの青物だといいんだけどね」
そんな会話をしながらもリールを巻いていく。
「ふいー。ボウズ回避だぜ!」
釣れたのはカンパチの幼魚。雪華はマハタを釣ったら、魚釣りはヤメてショウジンガニを狙っているからウチの分は2匹だけで俺もルアー釣りをヤメる予定だ。
雪華「ここって随分と潮通しが良いんだね」
「潮通しというよりも防波堤周りに岩礁地帯が多いんだよ。だから魚種が多いんだけど、大潮っていうのも大きいかもな」
「なるほどね」
餌取りのべラ類も多いから、この防波堤は夜釣りをする人が多いから日中のこの時間は人が少なくて快適だった。
鳳来「今晩はアジの刺身で、自家製一夜干しも作れそうね」
烏野「加熱する調理なら数日は持ちそうですね」
明槻「ウチは刺身で食べるのが好きだから、今日中に食べ切るかなー。アハハ」
笹嶋「あたしも魚料理が好きだから平気だけどね」
鳳来「それには同意ね。今じゃ肉と魚が半々くらいのおかずになったわ」
「「「あははははは」」」
大漁だったから早めに納竿して、今は帰りの電車内。大学受験生の烏野さんも楽しそうで何よりだ!




