夜採集の翌日
雪華「ゴンズイはどうやって食べるの?」
朝食後にのんびり食休み中。雪華から昨日釣った魚の食べ方について質問された。
「蒲焼きにする予定。晩飯は丼ぶりにでもしようか」
「いいね!」
アナゴも釣れたけど、それよりも多く釣れたのがゴンズイ。各ヒレに毒があるから危険な毒魚だけど適切な処理をすれば安全な上に美味しい食材だからな。ちなみに、毒ビレは防波堤で処理してゴミ箱に捨ててきた。もちろん捨てる時もただ袋に入れるだけじゃ無く、ヒレが袋を貫通しないように捨てたから回収業者の方に迷惑はかけないぞ。
アナゴは冷凍保存して、夕方に釣れたキスやコチも天ぷらやフライ用の開きにしてからこれも冷凍保存。
「ショウジンガニはどうするの?」
「今日の晩飯の味噌汁にする予定だよ」
「お味噌汁の具はどうするの?」
「リクエストがあれば聞くよ?スーパーで買い物してくるから」
「う〜ん。同じ海鮮系か豆腐がいいかも」
「確かにな。それなら買い物に行かずに済むな」
無理に買い物して、お金を使う必要は無いもんな。
「よし。あとは採集したやつだな」
魚や甲殻類は薬浴していたのを水合わせに切り替えてっと。
ウミウシは薬とかに弱いから薬浴はさせずに水合わせだけして水槽に入れる。もちろん混泳はさせないけどな。
ウミホタルは日中は砂に潜る性質で、砂が無いと弱るみたいだから昨日の内に水槽に入れてある。
「ねえひろ君、この餌用に採集したエビの何匹かさ、何か変じゃない?」
「ん? コレはもしかしたら珍しい種類の幼生から稚エビに変態したばかりなのかもな」
幸いイセエビでは無いみたいで安心する。それとは別に良く見るとオドリエビの仲間もいるみたいだな。んもー、餌に出来無いじゃん。
彩夏「おにいちゃん、お昼ごはんはなーに?」
「お母さんのおばあちゃんから送られてきた、お蕎麦だよ」
母さんの両親である祖父母は信州に旅行中で、冷蔵便で十割蕎麦が送られてきたのだ。と、いう事で昼飯はざるそばでございます。
「イシモチを天ぷらにするんだ」
「天ぷらそばって事で。後はかき揚げもあるよ」
野菜のかき揚げは冷蔵庫の野菜室の半端野菜の処理も含まれているからな。
雪華「ナスも使っちゃったの?めんつゆ用はどうするのよ」
「今日は自家製めんつゆじゃなくて、蕎麦に同封されているのを使うからね」
「それもそうか」
彩夏「このおそば美味しいね」
母さん「そうね」
雪華「流石は十割蕎麦ですね」
「ネットで調べてみたけど残念ながら通販はしていないみたいだよ」
母さん「そう、残念ね」
俺達は昼飯で食べているけど、仕事の父さんや保育園の双子の分はちゃんとあるから心配無用だ。
昼飯を食べ終えて、午後からは勉強。俺と雪華は高校の自宅課題を終えていて専門学校の入試に向けた勉強に入っている。今月中旬にはオープンキャンパスにも行く予定だ。は〜、受験生って感じがするわ。
「さて、俺は一足先に終わりにして晩飯の準備をするから」
「手伝おうか?」
「雪華の進捗具合でいいよ。ゴンズイの蒲焼きは手伝って欲しいけど」
「わかった」
そんな会話を雪華としていたらインターホンが鳴り、彩夏が「ただいまー」と言って友達との遊びから帰宅して、母さんが双子のお迎えに保育園へと向かって行った。
彩夏「夜ごはんもお魚なの?」
「そうだぞ!ウナギみたいに蒲焼きで食べるんだよ」
「美味しそうだね」
「楽しみにしててね」
「うん!」
雪華「ひろ君、お待たせ」
「それじゃあ、このハケでタレを塗りながら焼いていくから頼むな」
「うん! このタレって業務用なの?」
「おう。魚屋の大将に頼んで市場で買ってもらったんだよ。ほら、ナスとかも蒲焼きにするだろ?だから使用機会が多いからな」
「え?それじゃあ専門店で使われているような本格品なの?」
「まあね」
味噌汁用のショウジンガニを茹でながらアクを取り除いていると雪華がキッチンにやってきたからゴンズイの蒲焼きを頼む。
母さん「食欲を刺激するいいニオイね」
調理しているのはキッチンだけど、リビングにまでゴンズイの蒲焼きのニオイが充満している。換気扇は作動させているんだけど、煙が良く出るから仕方無いんだよな。
彩夏と愛美と朝輝は一緒に遊んでいるんだけど、三人共鼻をヒクヒクさせていてクスッとしてしまう。ちなみにキューちゃんと遊ぶのは終わっている。
「母さん、悪いけど味噌汁の仕上げを頼んでいい?塩抜きしたワカメと豆腐でお願い」
「わかったわ」
父さんも帰宅して、今日は全員で晩飯のお時間。
父さん「これは美味いな」
「だよな。タレとも良く絡んでいるし」
今日は丼鉢に白ご飯を装っての丼ぶりご飯。ゴンズイの身も当然美味いけど、タレもご飯に染みていて美味い。こりゃ、アナゴも蒲焼きにして丼ぶりにしようかな。




