夏休みの一日
午前中は雪華がバイト先に出勤するまでの時間、彩夏も一緒にお勉強。俺は資格の勉強もしているけど、まずは高校の自宅課題を全て終わらせるけどな。
さて、一足先に俺と雪華は昼飯を食べてバイト先へと向かうと、今日は烏野さんの親戚の人と一緒のシフトみたいで事務所にいらした。今日も姉御先生がいないから病気にでもなったのかと心配になって、開店前の忙しい時間だけど店長に確認してみると笑いながら元気だよと言われた。ちなみに妊娠でもないとの事。
一旦帰宅して、今度は桃瀬さんの桃農園へと向かう。彩夏は友達の家に行ったみたいだな、もうすぐ林間学校だから色々とあるのだろう。
「やっぱり、もうないか……」
桃農園に行くためにバスの乗り換えで高校の校門前のバス停で下車する、そして農園方面に向かうバスの時間を確認すると余裕があるから近くのスーパーに寄ってみたんだけど残念ながら緑竹のたけのこは売られていなかった。
桃瀬さんの農園に到着して、一般販売している場所とは違ういつもの場所で桃の購入をしていると剪定枝が目に入った。
「この剪定した枝はどうすんの?」
桃瀬「炭化機で炭化させてから畑に撒く予定だけど?」
「相談なんだけど、太めの枝を何本か貰ってもいいかな?結構使い道があるんだよ」
「いいわよ。そこのガレージに移動しておくから時間があるときに取りに来て」
「わかった、助かるよ」
いい感じの桃の剪定枝があったから思わず貰ってしまった。甲虫類の産卵用の朽ち木はクヌギを利用しているけど、足場とかは別の種類でも問題無いからな!ただ、スギとかの針葉樹は使用しないけど。
「ところで内宮が育てている桃の品種は何なの?鉢植えなんだよね?」
「そうだよ!品種は色々だね。ただ、接ぎ木した本物は1本だけなんだ」
「本物って?」
「桃ってさタネから育てても2〜3年位で開花結実するから、食べて美味しいと感じたのを植えて育てているんだけど、接ぎ木と違って味が変わる可能性があるでしょ?」
「確かにね。それがあるから品種改良が出来るんだもんね」
「そゆこと。俺が育てたのも食べたのはすごく美味しかったんだけど苦味が強くて食べられないのもあったんだよ。ま、一応数年は様子を見てるけどね、樹に力があるかどうかで味って変わるしさ」
「それは一理あるわね。うちでも収穫出来るようになってもすぐには出荷しないからね」
いつもは食べる方ばかりの話題だったけど今回は育樹についての話題にもなった。桃って樹の寿命が短いから常に若木を育成する必要があるだろうから大変だね。
「話は変わるけど、来年も買いに来てくれるの?」
「買いに来る予定だけど?」
「そっか」
「突然どしたよ?」
「ほら、来年の今頃は卒業後でしょ?クラスメイトって関係性は無くなるから、さ」
「皆が嫌じゃなければ、卒業後も内宮班は継続したいと思っているんだよ。だから、桃瀬さんの桃も普通に買いに来る予定だよ」
「そうなんだね。わかった。末永くよろしくね」
「その言葉は義斗に言ったほうがいいんじゃない?プロポーズの返事みたいなセリフだよ?」
「よろしくして欲しいのは本音だし、さ」
「ははは」
卒業後の話にもなったけど、バスの時間になったから失礼する事にした。
◇◇◇
ウチに一旦戻り購入した桃を置いてから、近場のスーパーへとやって来たら珍しいのが売られていたから購入した。
そして今はバイトが終わった雪華と一緒に晩飯を食べている。
「あれ?ブリと味が違う」
「その通り!今日の照り焼きはブリでは無くシイラだよ」
「シイラとは珍しいね」
「だよな。しかも安いからありがたい魚だよ」
「一緒に焼いた長ねぎも美味しいね」
「照り焼きにするとさ、シイラにも長ねぎにも両方の味が移るからいいよな」
「ねー」
はー。ごはんがすすむぜ!
雪華との晩飯と後片付けが終わり、飼育部屋にやってきた。今日はこの後、動画サイトで水槽のライブ配信をする予定にしているんだけど、何の魚にしようかな〜。
「あれ?ひろ君どうしたの?」
「この後にライブ配信するんだけど、どの種類にしようかな、って」
「なるほどね。確かこの前はタツノオトシゴの産仔シーンを配信したんだよね?ライブで」
「おう!貴重なシーンを普通に流すなんてスゲーみたいなコメントもあったな」
ライブ中の視聴人数は一桁だったけど、その後に再生回数が伸びて数百回再生されている。ま、キューちゃんは1万回位いくけどね。
「それなら、このカニにすれば?大きい種類だし動きがあるから楽しめるんじゃない?」
「確かにな。水槽内の石組みを登ったり巣穴に戻ったりと楽しめるかもしれないな」
雪華が提案してきたのは海外に生息しているサワガニの仲間で、ぺアで飼育している種類だった。これは青い個体で、繁殖もしているからオークションサイトで販売する時の宣伝になるかもしれないしな。
と、いう事でカニ水槽を10分程ライブ配信をして終了する。




