桃の若実の利用
桃瀬「内宮君。今日さ、この後の放課後って暇?」
「予定は無いけど」
「それなら、うちに来てくれるかな」
「わかった」
7月となり、先日梅雨入りも発表された。今日の天気は曇り空で雨の予定は無し。そんな日の学校のHR終了後に桃瀬さんから暇なのか聞かれた。予定は無いと答えると農園に来て欲しいと言うから雪華と一緒に向かう。
桃瀬さん家の最寄りのバス停に到着して農園を見ると大きく成長した桃の実が見える。
「おお!大分、実が大きくなってきたね」
桃瀬「うん!仕上げ摘果も終わって収穫を待つだけだよ」
そんな会話をしながら農園内へと入る。
「今年も買わせてもらうから、よろしくね」
「毎度ありがとうございます。今日はね、これを渡そうと思って」
そう言ってプラスチック製の広口容器を複数渡してきた。
「こ、これは!いいの?」
「うん!桃の木の隙間にいて、これからの時期は実を食害するからさ」
「いやー、嬉しいよ!ありがとう」
「ネズミとかは一番の古木の洞にいるフクロウの家族が駆除してくれているんだけど、こいつらは無理だからさ」
「え?フクロウがいるの?」
「うん。去年の春からここに住みついてね、ヒナ鳥も産まれたんだよ」
「へー」
「薬剤散布とかも古木周辺はやらずに保護してるんだ」
「いいね!」
種類は不明だけど、農園の規模からすると中型までの種類なのかな?その後も笹嶋さんも混じえて雑談しながらバスの時間を待つ。笹嶋さんが釣りの時には桃瀬さんの分も釣っているのは知っていたけど色々と渡しているらしく、晩飯の準備をする為に作業を先に終えて戻ってきた桃瀬さんの母親からもお礼を言われたよ。俺は連れて行っただけなんだけどなぁ。
桃瀬「収穫が始まったら教えるからね」
「うん。それじゃ、また明日」
雪華「明海ちゃん、また明日ね」
雪華「色々と貰っちゃったね」
「だな。桃を購入してお返ししよう」
「ところで、クワガタは何の種類?」
桃瀬さんと別れて帰宅のバスの車内で貰ったものを雪華から聞かれた。
「何と!またオオクワガタだよ」
「おお。桃瀬農園産のオオクワガタが順調に増えているね。今年羽化予定の個体は買取してもらうの?」
「増えているといっても個体数はまだまだ少ないから売らないよ」
「そうなんだね。ところで摘果した若実はどうするの?」
「砂糖を使用したシロップ漬けや醤油漬けにしようと思ってさ」
「いいね!」
コンテナボックスにあった摘果した若実も貰うことにした。今回貰ったのは落下した果実ではないからモモチョッキリとかの害虫は侵入していないし、念の為に穴とかが無いかも確認した。とはいっても、コンテナボックス1個丸ごとは使い切れないから選別させて貰ったけどね。
若実は笹嶋さんにも渡しているみたいだし、桃瀬さんの家でも利用をしているみたいだけど実の量が多いから無料でいただくことが出来た。
帰宅したらまずはオオクワとその他甲虫類を飼育ケースに入れてから昆虫ゼリーを入れておく。夜行性だから、もう隠れてしまったよ。
甲虫類を飼育場所に置いてから今度は桃の若実の下処理を母さんに頼みやってもらう。その間に俺は雪華と一緒にスーパーに行って砂糖や醤油、広口瓶を購入してくる。
「まさか広口瓶を追加購入することになるとはな」
雪華「まあまあ」
帰宅したらまずは瓶を煮沸消毒する。煮沸消毒は全体を一気に消毒出来るから楽なんだよね。
煮沸消毒も終わり、桃の若実を漬ける段階となった。収穫前の最終摘果の若実を利用しているから実は大きいし、タネもしっかりしているけど美味しく出来上がるだろう。
「醤油漬け楽しみだね」
「果実はしょっぱくて食べられないけど、桃の味が染み込んだ醤油は刺身で食べると美味いからな。シロップ漬けの方も楽しみにしていてくれよ」
「うん!」
漬け込みが終われば玄関脇の小部屋で保管する。果実の漬け物が増えたなー。




