6月最初の釣り倶楽部
音楽鑑賞会が終われば期末テストまで学校行事は無い。
移動教室の時に進学クラスの教室前を通ったら「面倒臭い学校行事も終わったし、これで勉強に集中出来るぜ」なんて会話が聞こえてきた。スゲー。
鳳来「知ってる?烏野っちは今月いっぱいでバイトを辞めるみたいよ?」
「そうなんだ。新しくバイト募集するのかな?」
「それなんだけど、烏野っちの親戚が別の高校に通っているみたいでその娘を姉御先生に紹介していたわよ。今日の釣りに千奈っちゃんが一緒に来れたのは、その娘がシフトに入ったからよ」
「そうなんだ」
どんな娘か知らないけど、雪華は大丈夫かな?その娘とシフトが一緒になったら様子を見る必要がありそうだな。
さて、俺達は砂浜に投げ釣りに来た。メンバーは烏野さん以外の釣り倶楽部で狙いは底物だ。
明槻「なかなかキスは釣れないね」
「でも、キス以外は好調だからいいじゃない」
雪華「べラも釣れるようになってきたね」
「珍しい種類以外は飼育しないけどね。べラが釣れ始めると夏が来たって感じがするよな」
雪華が釣ったのはキュウセン。食べて美味しいべラだからありがたい。
鳳来「内宮さ、またテナガエビを釣りに行きたいんだけどいいかな」
「いいね。小雨でも雨の日は面倒臭いから曇り空の日にでもやろうか」
「よろしくね」
笹嶋「小さいけど、不思議なタイが釣れたよ」
「あ〜これね、これ黒っぽい体色部分もあるけどマダイだね。この位の大きさの時はこういう変わった体色の個体がいるんだよ。天敵からの防衛手段としてね」
「なるほどね。どうしよっか?リリースしたほうがいい?」
「このサイズなら持ち帰っても平気だよ」
「それなら持ち帰るね」
「わかった。それなら血抜きしちゃうから」
鳳来「うちもタイが釣れたよー」
「鳳来さんのは残念ながらウミタナゴだよ」
「そんなー」
明槻「内宮君、これってサメかな?」
「おっ!これはマゴチだよ。やったね!」
そんな会話をしながら釣りを楽しんでいると時間は過ぎていき、俺と雪華は納竿する事にした。蔵持先生へのお裾分けは今回は無し、キスが好調だったら渡すけどキスの外道扱いばかりの魚種だけ渡すのは何だか俺の気持ちが許せないからだ。
「キスは少なかったけど色々な魚種が釣れたし楽しかったね」
「だな。防波堤でも様々な小魚が釣れるようになるから楽しくなりそうだ。烏野さんは大学進学も視野に入れているけど専門学校組の俺達はある程度の余裕はあるから夏休みも釣りが出来そうだな」
「ガサガサも忘れちゃダメよ」
「もちろんだ」
俺は雪華と話しながら後片付けをしているけど他の皆はまだ投げている。
「飼育向きサイズのヒメジの仲間が釣れたけどリリースして良かったの?」
「おう。実はウミテングのぺアを購入出来たのもあるけど、キスを入れ替えるだろ?だから今回は見送りで」
「なるほどね」
クーラーボックスに座りながら後片付けを始めた皆を見ていると後方から視線を感じる。チラッと後ろを見るとチャラそうな二人組の男がいるから念の為に警戒しておこうと思っていたんだけど、片付けを終えて砂浜から道路に向かうも声をかけてこなかった。何が釣れるのか見に来ただけなのかな?外見で判断してすまんと心の中で謝罪しておく。
◇◇◇
「さ〜て、晩飯の準備をしますかね」
釣りから帰宅して晩飯の準備を開始する。
彩陽「シェフ。本日のメニューは?」
「本日は釣りたて刺身盛り合わせ定食です」
今日も彩陽姉さんがウチに来ている。今日は彩夏の家庭教師として来ているんだけどね。
「ひろ君、これって」
「お、気がついた?潮干狩り場近くの定食屋で食べたのをマネてみました」
「いいね!」
「あそこで食べたのは深海魚だったけどね」
「それを言われちゃ、おしめぇよ」
「あの凪咲さん?まさか船盛りとは想像しなかったのですが」
「プラスチック素材だから手入れは楽だから気にしないでいいわよ」
「いや、どうして容器があるのかなって」
「食器販売店に買い物に行った時にあみちゃんとあっくんが欲しがったから広也が買ってくれたのよ」
「そうだったな。お船、お船って珍しく騒いでたもんな」
一人用の船盛り容器を見た愛美と朝輝が目を輝かせていたから来客用も含めて俺が購入したんだよな。購入した時はお風呂に持っていくって大変だったっけ。
「早くショウジンガニの味噌汁が飲みたいね」
「だな。これから潮溜りや磯場で多く見かけるようになるから楽しみになるよな」
雪華とそんな話しをしていたら。
「あの、広也様」
「はいはい。彩陽姉さんにも食べてもらうから安心して下さい」
「あざーっす!」
まだ数回なのに彩陽姉さんてばすっかりウチの晩飯に馴染んじゃってるな。雪華も楽しく会話しながら食べているし賑やかになったな。




