連休明け
「内宮!うちはアカニシ貝採取に参加するわ!」
「お、おう。随分と乗り気だね」
連休も終わり、今日から学校だ。とはいえ、土日が近いから休みの気分が抜けないけど。
そして、鳳来さんが教室に入って来たら真っ先に俺達の所に来たって訳。
鳳来「実はね、うちの両親と兄貴はお酒が好きでおつまみが常にあるんだけど、原材料にアカニシ貝が使われているのが結構あったのよ」
「まあ、輸入のアカニシ貝を含めて色々とあるからね」
「それで、内宮からアカニシ貝採りを提案されたから採ってこようかって伝えたら全員から行ってこい!と言われたのよ」
「なるほどね」
「それで、いつ行く予定なの?」
「大潮周期が終わったから、早くてテストが終わってからだね。体育祭の振替休日が平日だろ?その日に行くのが有力」
「わかったわ」
「それと、お母さんに処理の仕方を教えたいから、採取後にお邪魔したいんだけど」
「難しいの?」
「消化器官を取り除く必要があるんだよ」
「なるほどね。伝えておくわ。それとさ、稚アユって釣れないのか?って聞かれたんだけど、どうなの?」
「あー、この近辺は密漁対象だから無理だよ。去年の梅雨の時期にテナガエビを釣りに行った時に遊漁券を購入しただろ?」
「ええ」
「あれを購入すれば稚アユ釣りが出来る河川もあるけど、ワカサギ釣りみたいに遠征の釣りになるし、釣れる場所が限られているから人が多くてやりづらいよ」
「そうなんだ。それならヤメて無理って伝えとくわ」
鳳来さんと会話をしていればHRの時間が近づき解散となる。
「今日はホタテ貝の解剖実験をしてみようと思う」
今日の生物の授業はホタテの解剖実験ですって。北海道産の殻つきホタテが美味い時期だからかな?
「ホタテ貝の解剖実験ってどういう事なの?俺、食べる時はいつも解剖みたいな事をしてるぜ?」
雪華「あー。今日は“いつもやってる事だろ?”実験の日だわ」
生物教師「内宮君はホタテは捌いているの?」
「ウチで購入するのは殻つきなので、いつもやってます」
「それじゃあ、部位の名称なんかも?」
「知ってますよ」
「内宮君は見学!口出ししないこと!」
「またですか?」
「普通はランの種子の無菌培養なんてやらないからね?」
「俺にとっては普通なんですもん」
「とにかく!見学していること」
「はーい。あ、貝の開け方の見本くらいはいいですよね?」
「ダメです!」
という事で見学してるけど、先生、あなたはもう一人の存在を忘れてますよ?
雪華「ほいっと」
へラを器用に使って、雪華が簡単に殻を開ける。他の班は悪戦苦闘してるみたいだけど、中身がぐちゃぐちゃにならない?
「おー!立派な貝柱だな」
生物教師「内宮君はそこまで!名称確認の邪魔をしたらダメですからね」
「御意」
写真を見ながら、あーだのこーだの言ってる班員を見る。ま、釣り倶楽部の人達なんだけど。
雪華「ひろ君の考えている事、当ててあげようか?」
「どうぞ!」
「このホタテの先生の食べ方!」
「正解。貝柱含めて加熱しか出来ないけど、どうすんのかね?(小声になって)あそこみたいに中身の状態が最悪と思われる処理は俺なら困るんだけど」
洋食屋のオーナー息子が任されてしまったらしい。『俺は出来ない!』と潔く認めたほうが楽になると思うんだけどなあ。
「先生。この貝柱とかを捨てるなんて言いませんよね?」
生物教師「バター炒めにして食べて処理するから安心しなさい」
「意外と量が多いけど平気ですか?」
「他の理科の教師も巻き込むから大丈夫ですよ。フフフ」
「そうっすか。では失礼します」
雪華「アサリじゃないんだね」
「構造が違うから後日やる可能性もあるけど、受験に向けての授業になれば実験は今日で終わりかもな」
「そう考えると、少しの寂しさがあるね」
「そう、だな。実験って何だかんだ楽しめる部分もあるからな」
アニメなら夕日の差し込む廊下を歩く描写になりそうだけど昼過ぎで明るいから、しんみりした気持ちにはならなかった。それどころか。
「それよりも、何だかホタテが食べたくなったよね」
「同感だ!大将にホタテの刺身も追加で頼んでおこう」
「やったー!でも、予算は大丈夫なの?」
「平気平気。両親の祖父母から徴収してあるみたいだから。妹弟達が『おにいちゃんのもおねが〜い』っておねだりしたら、4人共鼻の下を伸ばしてデレッとした顔をしてお金をくれたらしいぜ?」
「あはは。双子ちゃんの破壊力が強い気がするな」
刺身の話題で俺と雪華が盛り上がる中、後方では。
鳳来「ホタテ貝とはいえ、解剖実験が食べる方向になるのは流石よね」
明槻「魚もいつも捌いているから今更だしね」
烏野「アニサキスの寄生虫は知る機会が多いですけど、サヨリの寄生虫なんて科目書にも記載が無いですからね」
笹嶋「アニサキスライトも普通は購入しないよね」
「「「確かに」」」
どうやら寄生虫の話題で盛り上がっているようだ。




