連休最終日
「ひろ君、何だか変なのがいるよ?」
「害虫か? ん?これは、トリノフンダマシか?」
「トリノフンダマシ?」
「クモの一種だよ。詳しくないからオスかメスかの判別は出来ないけど」
「へえ〜。ハエトリグモみたいに飼育する?」
「このままで。アブラムシとかの害虫を退治してもらおう」
「はーい」
朝食後、家庭菜園の手入れをしているとキュウリに水やりをしていた雪華がトリノフンダマシを見つけた。郊外にある我が家にはまだまだ色々な生物がいるんだなぁと実感する。これからの季節は蚊のボウフラも採集出来るから淡水の小型魚の餌になるし、嫌われ者の成虫も雪華が飼育しているヤモリや、俺のカエル類の餌になるから重宝してるのだ!フフフ。
「飼育部屋はものすごいニオイだね」
「今頃が開花時期の洋ランの香りだな。色々と混じってるけど」
外の家庭菜園や他の植物の手入れが終われば飼育部屋の管理をする。外では俺が手入れをしている間、雪華は開花中の藤の花のニオイを嗅いだり、日向ぼっこ中のイシガメを観察してたりしていたよ。
「今年も何種類か販売するの?」
「もちろん、開花株の販売をするぞ。開花中の写真を掲載するけど、到着する頃には花が終わっている種類もあるだろうな。でも、キチンと管理すれば来年も開花するからな」
「植物の販売は全体の何割位の収入なの?」
「う〜ん。難しい質問だな。出来に左右されるのが多いから安定はしてないからさ。去年だと全体の3割位かな?やっぱりカブトやクワガタの甲虫類が安定も収入もしっかりしているからな」
「なるほどね〜。凪咲さんと共同のドールは?結構な金額だよね?」
「母さんと偶に製作するドール関係は一発はデカイけど、継続販売は出来ないから全体収入としては低いな」
「そっかー」
雪華との会話はここで終わり、自分の爬虫類の管理へと移っていった。現在の俺の貯金額の話しにならなくて良かったぜ!高校1年の文化祭の前に結婚式の費用があるのをクラスメイトの前で言ったけど、あれからかなり増えてるし。
「ひろ君、その水槽は?」
「これはチゴガニ用だな。飼育する数は少ないから縦長の小型水槽で十分だからさ。ま、オスとメスは飼育するんだけど」
「砂はサンゴ砂を使用するの?」
「ハマグリと同じで黒っぽい海砂だよ。折角の白いハサミのダンスが白っぽいサンゴ砂の場合は見づらくなるからな」
「確かに」
「飼育環境は他のシオマネキとほぼ一緒だから管理は楽だよ」
「普通の家庭だと楽な部類じゃないと思うんだけど、似た種類が豊富だからなぁ」
「はっはっはっ」
作業が終われば昼飯の準備の時間だ。今日の昼飯はマテガイのパスタと素揚げのアナジャコ。パスタといえば雪華なので雪華に作ってもらう。俺と母さんが作るのはミートソーススパゲティだからな。
「油を使うから、ついでにジャガイモも揚げるか」
母さん「いいわね。ジャガイモの処理は任せなさい」
ダイニングテーブルで母さんがジャガイモの下処理を始めると彩夏が「カレー?」と聞いてきたから揚げて食べると伝える。ジャガイモ料理ならコロッケもあるんだけど、彩夏は林間学校で作るカレーが気になるのかな?
昼飯も終わり、今は彩夏も一緒に勉強のお時間。彩夏は連休中に宿題が出ていたらしく、忘れていた教科があったから、ついでに俺達も中間テストに向けた勉強をする事にした。高校でも自宅課題が出されたけど、俺と雪華は終わっている。
「ひろ君、何か考えごと?」
「勉強についてじゃないから」
「それでも、気になるから話して」
「昼飯で雪華が作ってくれたマテガイのパスタだけどさ」
「うん」
「麺にもしっかりと味がしただろ?ラーメンやつけめんに応用出来ないかな、と思ってさ」
「なるほどねー」
今は昼飯の残りのポテトフライを食べつつ小休止中。彩夏の宿題も終わりが近づいているから、彩夏の宿題が終われば俺と雪華も勉強を終わる予定だ。
「それなら、チゴガニ採集の時にマテガイも採って食べればいいじゃん。アサリのラーメンは作ってるんだしさ」
「そうするか。ついでにシオフキガイのラーメンも作るか」
「マテガイよりシオフキガイのほうが採れる量が多いから濃厚な出汁が取れそうだね」
「だな」
「ただし!本命はチゴガニなのを忘れたらダメだからね?」
「はーい。気をつけます」
蔵持先生に渡すアカニシ貝の潮干狩りはテスト後になるから、その後になるかな。大潮が終われば干満の差が少ない周期になるから潮干狩りには向かないからな。
俺と雪華がラーメンの話しをしていたからか、妹弟達が晩ご飯がラーメンと勘違いしていたから訂正しておく。今日の晩飯はなすの蒲焼きと、スーパーに出張販売に来ていたやきとりです。




