潮干狩り(釣り倶楽部マテガイ編)
鳳来「ここで潮干狩りするのね?」
朝食では赤飯と家族の潮干狩りで採れたシナハマグリのお吸い物を食べ、ウチを出る前にもおやつ感覚でちまきを食べた俺と雪華は釣り倶楽部の潮干狩りに来ている。
今頃ウチでは両親の祖父母が来ていることだろう。実家に戻ってきた父さんの姉さんも来ているのかな?
まあ、そっちはそっちで楽しくやってくれ。
「それじゃあ、来る前にも伝えたけどもう一度言うよ!アサリは密漁対象だから採取しないこと。同じくアカニシ貝も密漁対象だけど、これは巻貝だから巻貝を採取しなければいいだけ。シオフキガイを採取予定の人はアサリかどうか俺が確認するから、バケツには入れないように」
「「「「はい」」」」
「今回は砂泥の場所だから、泥の割合が多いと足が沈む可能性もあるから足元には常に注意するように!では、始めるぞ!」
「「「「「おー!」」」」」
折り畳みのクワを取り出した俺は、まずはマテガイの巣穴を探していく。
「あったあった。ここら辺を軽く掘るから、少し離れて塩の準備しといて」
明槻「白っぽい二枚貝が出てきたよ」
「それがシオフキガイだよ。小ぶりだから、採取は控えようか」
烏野さんと笹嶋さんが手に取り見ている中、準備完了。
「よし、それじゃあ雪華。見本をお願いな」
「まかせてよ!まずはこの穴に塩を入れて少し待つよ」
何か所かある巣穴の全部に塩を入れ少し待っているとマテガイがニュッと出てくる。すると「おお」と歓声が上がる。
「すぐに引き抜かずに少しだけ待って、貝殻の部分を持って引き抜くと採取出来るからね」
出て来たマテガイをパパパと捕まえる雪華。
鳳来「どうして少し待つの?」
「最初に見えたのは水管と呼ぶ部位なんだけど、自切する場合があるんだよ。だから確実に貝殻の部分を掴む必要があるからだな」と俺が説明する。
鳳来「なるほどねぇ」
「それと、無理矢理引き抜こうとするのもダメ。横に揺らしながら引き抜いて。じゃあ実際にやってみようか誰からやる?」
最初に手を上げたのは烏野さんと笹嶋さん。鳳来さんは雪華が採ったマテガイを観察している。
「それじゃあ、雪華は烏野さんを頼むな。笹嶋さんは俺が教えるから。と、言ってもココでだけど」
「あはは。うん」
「まずは、1つの穴に塩を入れてみようか」
塩を入れて持参したのは先端が尖っているタイプの容器。これが使いやすいのだ。
笹嶋「出てきた」
「まだ。今見えているのは水管だから」
ほんの少しの後に貝殻部分もニュッと出たので採取してもらう。
笹嶋「おお」
烏野「佳奈ちゃんが採ったのは、わたしのよりも貝殻が大きいですね」
「烏野さんのも持ち帰るのに合格の大きさだから」
「はい」
「それじゃあ、烏野さんも笹嶋さんも他の穴に塩を入れてみようか」
笹嶋「あれ?どの穴から採ったっけ?」
「足元のこれだね」
足元以外の巣穴に塩を入れていく笹嶋さん。言っとくけど、女子は全員ズボンスタイルだからパンティがチラッと見えるような出来事はありませんからね?
烏野さんと笹嶋さんの説明が終われば今度は明槻さんと鳳来さんの番。烏野さんと笹嶋さんには足場の安全を確認した場所を軽く掘り、マテガイ採りを続けてもらっている。
我が家の分は雪華が採取してくれて、俺以外の全員マテガイ採取は順調だ。採取が終わった場所の砂を戻していると鳳来さんが興奮気味に俺のところに来た。
「内宮!ピンク色の青イソメがいたわ。新種じゃないかしら」
「興奮しているところ申し訳ないけど、これはゴカイって種類だよ」
「な〜んだ。興奮して損したわ」
「まあまあ。釣りの予定は無いからリリースしてあげて」
「了解よ」
鳳来さんと一緒に皆のいる場所に戻ると今度は烏野さんが怖がりながら「内宮君。あそこ何ですかね?小さくて白いのが動いてるんですけど?少し不気味です」と聞いてきた。
烏野さんが指す方を見るとチゴガニがダンスをしていた。
「あれはチゴガニっていう小型のカニだよ。あの白いのはハサミなんだよ。干潮時にはあんな風にダンスをするカニなんだ」
「そうなんですね。ちょっと不気味に見えましたけど、カニのダンスと聞くと可愛いですね」
ほほう、ここにはチゴガニが生息しているのか。これは今日は無理でも採集しに来る必要があるな。思わずニヤリとしてしまう。
「結局、シオフキガイを採取する人はいないのか」
雪華「そうみたいだね。サルボウガイを見せても今回はマテガイとアナジャコだけでいいってさ」
「ま、俺達もマテガイとアナジャコだけだからな」
「アサリを食べたもんね」
俺基準の小型のマテガイはリリースしながら、マテガイ採取は終了する。リリースしたマテガイが意外と素早く砂の中に潜っていくのも観察してもらったよ。こうして採取に来ないと、見る機会なんてほぼ無いからな。
「よーし、マテガイ採取も終わったし今度はアナジャコを採取するぞ」
「「「「「おー」」」」」




