5月4日
昨日採集した生き物達の状態を朝食後にじっくりと確認する。水質変化に敏感なハナイカも調子を崩してないし、エサも捕食しているから一安心だな。
妹弟達が採ったコブシカニは観察しやすいように小さいキューブ水槽で飼育することにしたけど、動きが少ないからか観察した時間は短めだった。ま、毎日見ようと思えば見れるんだからこんなもんだろう。
「ねぇ、ひろ君」
「どした?」
「昨日潮干狩りで採ったシナハマグリはエアレーションしているけど飼育するの?」
「明日は端午の節句で朝食がお赤飯だからシナハマグリのお吸い物にするからさ、状態を維持する為だよ」
「ああ、なるほどね」
「飼育するハマグリは在来種の2種類だけだよ、90cm水槽だからな」
「一見すると、砂しか入ってないもんね」
「まあな。下段だし、家族しか見ないから気にしないけど」
「あはは」
「話しは変わるけど、小学生時代のカゴカキダイが寿命が近いみたいで元気が無いから、お別れの心構えしといてな」
「底付近にジッとしているのって、そういう事なの?」
「ああ。でも、長生きしたから悲しまないでくれよ?」
「うん。寂しい気持ちはあるけどね。今年の夏休みに採集するの?」
「高1の時に採集した再会と同居記念のカゴカキダイがいるけど、採集したい?」
「うん。結婚後もだけど、カゴカキダイは常に飼育していたいな。思い出が強い魚だから」
「了解だ!」
「あたしも話しが変わるけど、今年も桃農園でモモチョッキリを探すの?」
「正直言うとさ、ヤマトタマムシのほうがやっぱ魅力は上だから今回限りでいいかなと思っている。桃瀬さんが探索許可くれたら持ち帰るけど」
「なるほどね。だから全部出品して売ったんだね」
「そういうこと」
甲虫類は菌糸瓶の中で育成中の日本のクワガタ類がサナギになっているから収入が増えそうだぜ!日本のカブトムシはまだ終齢幼虫だし、サナギになるのはまだ先。外国産は羽化時期はバラバラだから、常に成虫はいる状態となっている。
朝輝「ひろうものなし!」
父さん「よっ!あっくん、カッコいいぞ!」
飼育部屋の作業を終えて雪華と一緒にリビングに行くと朝輝が厚紙で折られた兜を頭に被り、オモチャの刀で決めポーズをしていた。ただ、セリフが隠密同心だけど。ま、兜を被った時代劇となると戦国時代が多いから仕方無いか。
愛美「あ、おにいちゃん!あみはうえさまのおにわばんやくのほうがいいよー」
「はいはい。じゃあ、お兄ちゃんが上様役やるから頼むな」
「うん!」
彩夏「おにいちゃんがやるなら、あやかもやるー」
「じゃあ、雪華は火消しの娘な」
「なんで、そんな役になるのよ!」
「他だと、恨みを晴らして欲しい娘役だな」
「色々と混ざってるわよ?」
「それじゃ、やるぞー」
「ひろ君の家族って全員、時代劇が好きだよね」
「だな。俺は殺陣のシーンが特に好きだからさ」
「そうだね。南町奉行は捕物だけど北町奉行はお白洲の前に殺陣のシーンがあるもんね」
「だな。ただ、出陣シーンはトランペットのあの曲が最高だけどな」
「それは、うん、何となくわかる」
妹弟達との時代劇ごっこも終わり、俺と雪華はダイニングテーブルでお菓子を食べながら寛いでいる。
母さん「広也。明日のお節句なんだけど両家の両親がウチに来るみたいだけど、どうする?」
「来るのって昼ご飯を一緒に食べるから昼前だよね?」
「ええ」
「その頃には俺と雪華は潮干狩りに向かっているから平気だよ」
「そっか、明日は高校のお友達と潮干狩りだったわね」
「おう!昨日行った有料の潮干狩り場じゃないけどな」
「わかったわ。でも、お寿司の予定だから残念ね」
「俺のことは気にしないで特上寿司でも奢ってもらいなよ」
「ふふ。そうね。残しておこうか?」
「俺の食欲だと刺身のほうがいいから、商店街の大将に頼んでマグロの大トロと中トロを後日食べるよ」
「わかったわ。あみちゃんとあっくんが食べられる白身魚はどうしようかしら?」
「俺が釣りで狙ってくるよ」
「それだと暫くの間は魚になるから、一緒に大将に頼みましょ」
「了解だ!それなら金目鯛も頼もうぜ?」
「いいわね!正直、お寿司より豪華になりそうね」
「ま、それはそれ、これはこれってことで」
昼飯の後片付けを母さんと一緒にやっていると明日の予定を聞かれたけど、釣り倶楽部の潮干狩りに行くから問題無しってね。
彩夏も午後から友達と遊びには行かずにウチにいたから、晩飯まで両親を混じえてボードゲームで盛り上がって過ごしたのだった。




