潮干狩り(家族編)
「む! 父さん、この周辺は危険かもしれないから少し離れた場所でやったほうがいい!」
「どうしてだ?」
「少し窪んでいるのが点在しているだろ?もしかしたら、アカエイがいた可能性がある」
「わかった。それなら移動しよう」
今日は家族で潮干狩りに来ている。連休中で人も多いけど、大潮周期で潮が引いているから潮干狩りが出来る場所は多いから密集している息苦しさは感じない。
「よし!妹弟達の安全面を確認したから移動すっか」
「うん!」
「まずは、あそこにある岩場に行こう。去年雪華が採集してくれたハナイカは残念ながら全部オスで先日寿命を迎えたからな。今年も狙ってみようと思う」
「いるといいけど」
水深のあるエリアで網を持って何をやってんだ?といった視線をたまに感じつつも採集生物を探す。
「ひろ君いた!」
「マジかよ!もしかしたら、産卵場所が近場にあるのかもな。慎重に採集するぞ?このプラケースに網で追い込んでくれ!」
「まかせて!」
ハナイカの動きを見ながら、無事に採集に成功する。
「よし!まずは3匹確保。隙間の奥に逃げた個体がいるから反対側に行こう」
「逃げた意味が無い岩場で可哀想なイカちゃん」
こうして合計6匹確保したのだった。
「よし!無事にハナイカを確保したし、アカニシ貝を採るか。ただ、ハナイカが泳いでいた場合は優先で捕獲するぞ」
「はーい」
ハナイカ採集後、妹弟や両親のいる場所を確認するけど、特に問題は無さそうなので俺達も続行する。
「今回は長靴にして良かったね」
「最初から膝下位まで水深のある場所に行く予定だったからな」
そんな会話をしながらも網袋の中にはアカニシ貝が入っていく。
「ひろ君、スナモグリがいたから採集したよ」
「いいね!俺もオサガニのオスとメスを複数採集したぜ」
「やったね!ヤドカリはいらないんだよね?」
「うん。高1の時に雪華と採集したのが生きてるからな」
「やっぱりヤドカリは長生きでいいよね」
「だよな」
「ところで、このアカニシ貝は蔵持先生に渡すの?」
「今日のは俺達家族で食べるよ。釣り倶楽部の潮干狩りでやりたいって人に提案するからさ。入場料があるから乗り気じゃなかったら、俺と雪華でまた来ようと思う」
「なるほどね」
網袋にはアサリでは無く巻貝を入れた俺達を不思議そうに見る人達がいる中を家族の元へと向かう。
朝輝「あ、おにいちゃん!あのね、カニさんをつかまえたんだよ」
「どれどれ。おー!マメコブシガニかー。すごいな、あっくん」
「うん!かえる?」
「もちろんだ!お兄ちゃんの飼育部屋で飼ってあげるからな」
「やったー!」
愛美「あみのもおねがーい」
「あみちゃんも捕まえたのか、すごいなー」
「えへへー」
彩夏「おにいちゃん、オスかメスかわかる?」
「わかるぞ。簡単に見分けが出来るんだ。お腹のここで判別するんだけど、あっくんが捕まえたのは三角形に近いだろ?」
「うん」
「これがオスのお腹で、あやちゃんが捕まえたのは丸みがある形だろ?これはメスになるんだ」
「なるほど」
「それじゃあ、愛美ちゃんが捕まえたのはどっちかな?」
「三角形に近いからオスかな?」
「正解!わかりづらい種類もいるけど、カニのお腹の形を見れば判別出来るからね」
「わかった」
愛美と朝輝も一緒に青空教室を開催してしまったぜ!
潮干狩りも終わり、俺と雪華は超過分が無いかが終わり、両親を待っていると。
「あらお姉さん。アサリが全然採れないだなんて残念ねぇ」
「何を勘違いしているのか知りませんけど、これはサザエの代用貝になるほど美味しい貝ですよ?アサリなんかより値打ちがあります」
話しかけて来た初老のご婦人は雪華をバカにしたかったんだろうけど、値打ちのある貝と聞いて絶句してしまった。
「お兄さん。ここは海水だから、そんなの持ち帰っても飼えないぞ?あはは」
「俺は海水魚も繁殖させているべテランですよ?寿命になるまで飼育出来るので、心配ご無用です」
と、ここで両親と妹弟が来たので出入り口へと向かう。チラリと後ろを見るとどうやら夫婦だったみたいで、ふたりして俺達を睨みつけていた。何がしたかったんだよ、まったく。
出入り口を出たら、いつも通り愛美と朝輝の足を洗ってから車内に戻る。ふたり一緒だから抱っこでは無く脇に抱えて運ぶんだけど、それが楽しいみたいでキャッキャしていた。彩夏は父さんがおんぶで運んで来たけど「重くなったなぁ」とボソッと言ったのを聞いてしまった。そして、彩夏はというと「おにいちゃんがよかったなあ」とボソッと言うのであった。
車内で昼の弁当を食べた俺達は去年と同じく直売所に寄って買い物をするんだけど、連休中だからか品切れの商品が多くてガッカリだ。烏骨鶏の卵も買えなかったし。ただ、ビワだけは高めの値段だからか購入出来た。きのこ栽培キットも売られてはいたけど、変わった種類は無いので彩夏が欲しがる事は無かった。栽培している種類ばかりだもんね。
帰宅したら、まずは飼育生物達の水合わせを始めてからアサリの砂抜き。今回は去年よりシナハマグリが採れたから、一個ずつ食べられるんだよね。それと、晩飯用に車内で砂抜きしながら帰ってきたアサリがあるから、ザルで塩抜きをしておく。アカニシ貝は俺と雪華で網袋6キロ分を採ったけど、貝殻の重さがほとんどなのが悲しいところだよ。
今日の晩飯はアサリのバター炒めで明日の朝食はアサリの味噌汁。釣り倶楽部でマテガイを採るから貝料理が続くことになるなあ。シオフキガイを採るかどうか迷うぜ!




