面倒臭い下処理がある貝の場合
「ひろ君さ、この手間を考えると他の人には難しいんじゃないかな?」
「確かにな。ウチは俺達と母さんが食事の支度が出来るけど、母親一人だけで処理するなら大変だから発狂するかもな」
潮干狩りの翌日の朝食後、俺はキッチンで残りの貝の処理をしていると雪華が採取するのはヤメたほうがいいかもよと言ってきた。
潮干狩りで定番のアサリと違うのは貝の中にある砂の処理がとっっっても面倒臭いのが理由。
まず、一番楽なのはサルボウガイ。普通に砂抜きが出来る貝だから海水に入れておくだけで平気。
ただ、茹でるとアサリのような白濁した汁では無く、赤味のある汁になる。これは、赤貝と同じでこの貝の特徴だから毒を出したとかでは無いので安心していい。貝特有の旨味があるのは同じだけど、何か、こう、俺にとっては食欲が出ない見た目になるんだよ。ま、個人差があって人それぞれだから、これ以上はツッコまない。美味しく食べてくれ!とだけ言っとく。
次はシオフキガイ。砂抜きは出来るんだけど、貝同士が重なるのは避けたほうが砂抜きの効率は上がるし、途中で出た砂を取り除いてあげたほうがいい等、少しの手間が必要だったりする。これを丁寧にしておけばアサリと同じく貝の中に砂は残らず調理が可能。
貝の中に砂がある場合は一旦茹でて貝の中身を取り出し、茹で汁でひとつずつ洗って砂を取り除く。貝の茹で汁は当然だけど出汁だから、砂を濾して取り除いて必ず利用しないとダメだからな!
一番厄介なのはカガミガイ。砂抜きがほぼ不可能だから、身の砂袋の部分を丁寧に取り除く必要がある。しかも、貝殻は大きいのに対して身が小さめなのもあり可食部は少ない。それなら、外見が似ていて砂抜きがほぼ不要のホンビノスを食べたほうがいいって、マジで。俺も次回の釣り倶楽部の潮干狩りではカガミガイは採らないと決めたよ。
昨日食べたマテガイは砂抜き不要となっているけど、アナジャコの泥抜きと同じく少しの間は海水に入れている。その後、ザルに上げて塩抜きしてあげれば美味しく食べられるよ。
「ところで、アナジャコの泥抜き用の海水はどうするの?」
「2リットルのぺットボトルに人工海水を入れて渡す予定。普通のお宅では食塩を使用した塩水だけど、ウチは海水だからアナジャコも貝も活発に動いてくれるからな」
「アサリの砂抜きもスムーズだもんね」
「おうよ!比重計も使ってしっかり海水を作るからな!」
「いや、まあ、そこまでやるのはひろ君だけの気もするけど」
さて、下処理している内に昼飯近くになりました。今日の昼飯は雪華が作るクリームパスタで、カガミガイの茹で汁でパスタの麺を茹でるところから始まり、具材にも俺がチマチマと砂を取り除いた貝の身が使われております!まあ、貝の身だけじゃ物足りないのがウチなので他の具材も少し入っておりますが。あ、シオフキガイの茹で汁は晩飯の味噌汁になるから。それと、サルボウガイだけは煮付けにしました!煮付けの場合は調味料で赤味のある汁も気にならないからね。
昼飯で並んだ貝料理に刺激されたのか妹弟達が潮干狩りに行きたいと言い出したから「連休のお休みになったら行くからね」と父さんが伝えると喜んでいたよ!まだ先なんだから興奮してお熱を出したらダメだぞ?
母さん「連休中は海釣り公園は混雑するかしら?」
「どうなんだろな?ちょっと検索してみるか」
昼飯を美味しく食べ終わり、テレビを見たりしながら食休みしていると母さんが連休中の海釣り公園の様子を聞いてきたから、スマホで検索する。
「これ、去年の様子みたいだけど結構いるね。こっちの動画だと、やっぱり初心者が多いみたいで隣の人とオマツリしているから行かないほうがいいかも」
「そうね」
「特に愛美と朝輝は邪魔者扱いされそうで怖いよ。まあ、相手が手出ししてきたら正当防衛の範囲内で懲らしめてから、勤めている会社に抗議の電話をするけどな!」
「ちょっと落ち着きなさい。まったく、家族や雪華ちゃんが絡むと攻撃的になるんだから」
「俺としては当然の怒りだからな」
結局、海釣り公園に行くのは中止となった。芝生広場のある場所も人が多くて休めないのも理由だ。
そして、芝生広場の動画の中にトビ(トンビ)と思われる鳥にバッグを持ち去られる映像があって笑ってしまった。俺達が釣りをした日はいなかったけど、トビがいるなら今度行く場合は注意したほうが良さそうだな。
明日の月曜にシオフキガイのフライとサルボウガイの煮付けも弁当のおかずとして学校に持って行き、釣り倶楽部の人達に試食してもらう。美味しいと感じたのなら砂抜きの手間とかを説明して採取するかどうか自分で決めてもらおうと考えている。
そういえば、明日は1年のバーべキューの日だな。俺達彼女に飢えている組に動きはあるのだろうか?




