保育体験
「この保育園は俺にとってはホームなんだけどなあ?」
今日は保育体験日。いつも通り登校してHR後に講堂で乳幼児の説明を外部の方から話しを聞いたり人形で抱き方のレクチャーを受けたら、いよいよ受け入れ先の保育園へと向かう。俺達のクラスでは事前の検便等の細菌検査結果で例のアイツらが陽性反応だった為に学校で補講となっている。何が検出されたのか気になるぜ!
受け入れ先の保育園は学年全体の人数的に当然だけど1か所では無いし、クラス内でも別れている。俺と雪華に割り当てられた保育園は、愛美と朝輝がいる保育園だったから九條先生に「別の園のほうがいいのでは?」と確認したら「平気ですよ」との答えだった。
俺達の同行責任者は担任の九條先生で、蔵持先生は別の保育園に行く人達に同行している。
「あれ?おにいちゃん?おむかえのじかんなの?まってて!」
園内に入れば当然、顔見知りの先生ばかりだから俺を見つけると笑いをこらえていた。そんな中で保育体験の注意事項を園長から聞いていると朝輝がやってきて、俺を見つけるなり園庭へと走りはじめてしまう。どうやら愛美が園庭にいるっぽいな。
「待てあっくん!お迎えの時間じゃないよ!」
俺が園児を抱き上げたもんだから雪華以外がザワついてしまったけど園長が「教室に戻してきてあげて」何て言うから皆が混乱してしまった。そんな中、俺は朝輝を脇に抱えて教室へと向かうのだった。
「さっきの子、知り合いなのか?」
「俺の弟だよ。年の差兄弟なんだ」
この園に割り振られたのは同じクラス以外にも別のクラスの人達もいるから、質問して来たのは別クラスの男子。他の人達も興味ありますって顔だな。
「では、お兄ちゃんはここね」
「先生。学校から体験で来てるんだから、お兄ちゃんはヤメときましょうよ」
「えー」
えー、じゃありません!クスクスと笑われてるんですよ俺は!
「ここは生後半年までの赤ちゃんのお部屋です。今日はお母さん立ち合いの元、抱っことかを体験してもらいます。赤ちゃんは首がすわってますが気をつけて下さいね」
当然だけど、赤ちゃんの抱き方なんて知らない人のほうが多いから講堂で人形相手にやった抱き方のおさらいから始まったけど、おっかなびっくりだからお母さんも不安そう。
「お兄ちゃんは見ていて安心するわ」
「まかせて下さいよ!」
皆が敬遠している泣いている赤ちゃんを担当させてもらい、よしよしと言いながら体を揺らしてあげれば泣きやんだ。これにはお母さんもビックリしていたよ。
それと、他の人達が抱っこしてる赤ちゃんが「あーあー」とか言ってるのをどう反応すればいいのか戸惑っているのを面白がってしまったよ。
「あ〜〜ん」
抱っこ体験をしていれば当然、ミルクのお時間やオムツ交換の赤ちゃんもいるわけで、俺達は別の年齢の相手に移るのだった。
朝輝「おにいちゃんといっしょのごはん」
愛美「えへへ。おにいちゃ〜ん」
今日は昼飯も保育園で一緒に食べることになっている。ただし、3歳児以上だけどな。食事するのにお世話が必要な年齢は今日の体験ではやらないみたいだ。
で、食事は教室だと狭いのもあって特別にお遊戯場も開放されているから、そこで食べようとしたら愛美と朝輝が甘えてきたので一緒に食べることにした。午前の体験では別々だった雪華も一緒だ。
食事が終われば今度はお昼寝の寝かしつけ体験があり、その後はお昼寝しない年齢の子達と一緒に遊んであげたりと時間は過ぎていき高校に戻る時間となった。愛美と朝輝にも「学校に戻るからお迎えにママが来るからね」と伝えて別れる。
「結局雪華とは昼飯の時しか一緒じゃなかったけど、どうだった?」
「正直疲れた。愛美ちゃんと朝輝くんが素直で聞き分けのいい子達なんだなって思ったよ」
「だろ?自慢の妹弟だぜ」
「ただ、大変だけど可愛いなとも思った」
「ま、家ではもっと大変だろうけどな。乳児なら夜泣きだってあるし、ミルクの時間やオムツ交換だってあるし」
「凪咲さんが子育ては体力勝負って言ってた意味が分かるわ」
高校に戻ってきた俺達は講堂に再び集まり、今日の体験を振り返る。今回はレポート提出は無いけれど、夏休みの職場体験での保育体験は3日間あり、レポート提出もあるとの事だった。
最後に保育園や幼稚園の先生に興味を持ってくれると嬉しいみたいな事を外部の人は言ってたけど、1日だけなのに皆疲れた顔をしているからどうなる事やら。
学校側としても、赤ちゃんのお世話は大変なんだから安易に考えるなよ?と間接的に伝えられたのでは無いだろうか?
実は今日の保育体験は内宮班はバラバラで俺と同じだったのは雪華以外だと笹嶋さんと下津木さんだった。講堂から教室に戻っても話題は保育体験の事なんだけど、笹嶋さんと下津木さんが「今日はムネのお触りばかりだった」と言えば、舞原さんは共感するように「ウンウン」と頷き、名前は伏せるが他の女子は「ウッ」とダメージを受けている光景があった。
俺は厳さんと昌史と話しをして聞いてないフリをしていたんだけど、帰宅後に雪華が「むー」とほっぺを膨らませて俺のほっぺを軽くつねってきた。解せぬ。




