春休みの釣り倶楽部 その2
「今回はイカ釣りにいよいよ挑んでもらいます。釣り方はルアー釣りだけど、こいつの名称はエギと言います。針もお馴染みの釣り針とは違う形状なのも特徴で、イカ釣りに特化したものになります」
春休み2回目の釣り倶楽部はイカ釣り。アオリイカが接岸し始めているらしいから狙ってみましょうかね。
「実は今からの時期に釣れるイカは2種類いて、まずはアオリイカ。これは去年俺が釣った実物を見ているけど、それとは別にコウイカも釣れます。コウイカはスミイカとも呼ばれて、大量のスミを噴射してくるので注意が必要です。コウイカが好きな人は海底を意識してエギを動かしてみましょう。では、始めていくぞ!」
「「「「「おー!」」」」」
笹嶋「内宮君は釣らないの?」
「俺は完全にみんなのサポートだな。仮にヒットした場合、慣れてないから大変だと思うしね」
「そうなんだ、何だかゴメンね」
「謝る必要は無いよ」
イカといえば夜行性なんだけど、昼間も活動している個体はいる。もちろん、夜間のほうが釣果はいいけど我々学生には無理なもんでね。仕方無いのさ。
「烏野さんはもっと竿を立てるように大きくしゃくろうか」
「はい」
「親イカは頭が良くてさ、偽物の判別をするようになるんだよ。だから、弱ったエビを演出するのと同時に少しでも警戒心を持たせないようにする必要があるんだ」
「わかりました」
「普通のルアー釣りより疲れると思うから適度に休憩してね。明日になったら筋肉痛は困るからさ」
「はい」
鳳来「イカ釣りって想像以上に難しいのね」
「夏から秋の子イカの場合は警戒心が少ないけど、今の時期の親イカは不信感があればエギを放す選択をするからね」
「なるほどね」
リールのロックをハズしてわざと糸を出したりする駆け引きをする場合もあるからな。釣り番組でも磯場の魚種で同じようなやり取りをする映像が流れるけど、我々が防波堤で釣るサイズはやり取りする必要の無いサイズばかりだから一方的にリールを巻くだけで良かったからね。
「春休みの釣りは今日で終わりだね」
鳳来「そうね。週末や少し先の話題になるけど、内宮が大丈夫なら夏休みも釣りに来たいからお願いね」
「はいよ。でも、もう3年かあ。進学クラスじゃないから、そこそこ学校行事もあるよね」
「そうね。始業式の日に全体な流れは言われるだろうけど、その前にクラス替えでザワつくでしょうね」
「内宮班が一足先に同じクラスなのは知ることが出来たけど、クラス外にも友人がいる鳳来さんは楽しみなんじゃない?」
「友人として強固な関係なのは内宮班のみんなだから優先するわよ。ただ、やっぱり色々と面倒臭い人がいるのも事実なのよねぇ」
「それって女子?」
「男子もいるけど女子のほうが多いわね」
「マジかよ。もう卒業になるんだから大人しくしてくれよ」
「学校外では特に問題行動しないのが、また厄介なのよ」
休憩中の鳳来さんと会話してたら、クラス替えの影響でクラスの雰囲気がかなり変わりそうな話しの内容になってしまった。さて、どうなることやら。
「う〜ん。明槻さんのアタリは何か変だな。エギから普通のルアーに変更して、同じ場所に投入してみて?」
「え?あ、うん」
竿先の挙動がエギを咥えてもスッポ抜けるような動きだから普通のルアーに変更してもらい数投後。
「! 何かキタよ!」
「よし!焦らず慎重にね」
「うん」
リールを巻き続けて少ししたら銀色の魚体が海面に現れたので玉網に入れて持ち上げる。
「なるほどサゴシか。多分エギを咥えてたのはコイツだな」
雪華「魚ならエギの針では無理だね」
「だな。良かったな明槻さん」
明槻「あははー」
笹嶋「サゴシはまだいるかな?」
「どうだろ?小魚を求めて来ただけの可能性もあるから小規模な群れかもね。笹嶋さんもやってみる?」
笹嶋「やってみる」
「わかった。ただ、終わりにする時間になるから数投だけね」
「うん」
結果として、残念ながら笹嶋さんは釣れませんでした。アタリも無かったみたいだから単独行動中の個体だったのかもしれないな。
「何回かイカを渡した事があるから大丈夫だと思うけど、もし刺身とかの生食する場合は魚と同様にアニサキスに注意してね」
笹嶋「それはとても大事」
鳳来「結局、コウイカだっけ?それは釣れなかったわね」
「単にいなかった可能性もあるから。でも、俺以外はアオリが釣れて良かったよ」
烏野「内宮君のサポートが無ければ無理だったのでありがたかったです」
「ま、雪華と俺は一緒の食卓だから気にしないで」
アオリイカは各家庭に一杯釣れた。産卵期の大型個体では無かったけど食べごたえは十分だし文句の無い釣果だ。
今回の経験でイカ釣りに慣れてくれれば、下旬に向けて釣りの幅が広がるからな。フッフッフ。




