クロダイとブダイ鍋
「ひろ君、本日のご予定は?」
「午後からは彩夏のゲームの続きだな。1回目のエンディングに到達する予定だ」
「なるほどね。1回目って事は複数あるの?」
「そ。このエンディングの最中に更に謎が追加されて解明に向かう流れだな。さ、準備出来たならバイト先に行こうか」
「うん」
ダイニングに来た雪華に今日の予定を聞かれた後、バイト先の洋菓子店へ送った後はスーパーへとやって来た。
今日は昨日釣ったブダイ鍋。全員一匹ずつ釣れたけど、俺と雪華は同居しているから二匹を家族で食べられる。なので、笹嶋さんが釣り上げたのは小型の個体だったから俺のと交換してあげた。
「よし!鍋の材料はこれでいいな。メモにある食材も買い忘れは無し、と」
「なにをブツブツ言ってんだ?」
「うをっ、厳さん、何やってんだ?」
「母ちゃんに頼まれて、米を運ぶのを手伝わされてんだよ」
厳さん母「内宮君、こんにちは」
「こんにちは!米を運ぶのなら花穂さんに頼んだほうが良かったんじゃないですか?スクーターだし」
厳さん「朝から大学の友達と出かけて留守なんだよ」
「そうなのか。彼氏としては大丈夫か?」
「女子ばかりだから大丈夫だよ。それに、俺以外の男には興味無いと自負してっからな」
「おお。お母さんの前でノロケるとは、やるな厳さん」
厳さん母「この子達ってば親の前でも平気でイチャつくのよ?娘が大学を卒業したら妊娠してるんじゃないかしら?」
「お、おい母ちゃん、余計な事まで言うなよ」
「厳さん、大人の階段を上ってたんだな」
「寝ている時に襲われてなければヤってないかんな?勘違いするなよ?」
厳さん母「娘は料理が壊滅的だから、今から離乳食の作り方を覚え直す必要があるわねぇ」
「そうなんですね!厳さん、結婚式は卒業したらスグにやるのか?」
「ノーコメントだ」
おお!もしかしたら厳さんのほうが先に結婚式か入籍をする可能性があるのか?なーんて俺と厳さんのお母さんでからかっていたら「くそう!俺はお前らのオモチャじゃねえ!」と怒り出したのでこれ位で勘弁してあげよう。
「そんじゃ厳さん、明日な」
「おう!」
「お母さんも失礼します」
「はーい」
厳さん達は精算を済ませていたみたいで出入口に向かっていった。それと、喋っていたのは他のお客さんの迷惑にならない場所だからな。
「ただいまー」
「お帰りなさい。買い物ありがとね」
「いつもの納豆が安かったから買っといた」
「いいわね!」
「あとさ、外壁塗装の時みたいな足場が組まれてたけど休業しないよね?一応、店内ポスターを確認して告知は無かったけどさ」
「えーっ?金曜日には無かったわよ?もし、休業になったら週末は車を出してもらわないと」
「駐車場が無いけど、高校近くにスーパーがあるから学校帰りに買ってくるのは可能だよ。ただ、品揃えと値段が違うからね」
「もしもの時にはお願いね」
「おうよ!」
「いよいよラスボスか」
「武器は剣で固定になるみたいだから、あやちゃんが得意な槍やブーメランみたいなリーチは無いから気を付けるんだぞ?」
「うん!」
昼飯の醤油ラーメンを食べ終えた彩夏は俺と一緒にゲームの続き。母さんは愛美と朝輝を連れて実家に行っているし、父さんは洗車中。
ラスボスを倒し、スタッフロールが流れはじめた途中で画面が割れる演出があり『あの方ならば、この世界も救って下さるのでしょうか……?』との意味深な文字と共に謎の光が消えて行く演出があった。
「おにいちゃん、なにこれ?こわいよお」
「どうやら、冒険は終わって無いみたいだな。状況を確認する為に少しだけプレイしたら終わりにしようか」
「うん!」
「クロダイとブダイの鍋、美味しいね」
「だよな」
雪華のバイトが終わり、迎えに行ってから帰宅して家族と一緒に晩飯を食べる。今日は完売が早かったのもあり、全員一緒に食べることが出来ている。尚、鳳来さんは彼氏が迎えに来たので俺が送る必要は無いし、残りの三人はお休みだから送る人はいない。
「明日の弁当はクロダイのフライだから、楽しみにしといてな」
「夜ご飯を食べたばかりなのに、明日のお昼が楽しみだよ」
晩飯を食べ終わり、俺と雪華は食器の後片付け中。父さんと母さんは妹弟の面倒を見つつテレビを見ている。
「よし!コブダイの開きが完成!これを一夜干しにしてみよう」
「美味しいかな?」
「このサイズはリリースしているから初めてだからわからんな。ま、仮に美味しかったとしても今後もリリースするし大きなのを開きにする予定も無い」
「そっか」
「ま、美味しかった場合は別のべラで試してみるからさ」
「あはは。うん」
俺達は家族の輪には加わらずに雪華の部屋で動画を見ることにした。俺達が好きな登録者さんが新作ソフトのプレイ実況をするから見るためだな。ちなみに彩夏がプレイしているものではありません。




