笹嶋さんと鳳来さんとの釣り
「笹嶋さんと鳳来さんの要望でブダイとコブダイ狙いで来ています。前回、釣り倶楽部で狙ったように確実に釣れるかは不明ですが楽しんでやりましょう」
「「「おー!」」」
「防波堤での注意事項はいつも通りなので、各自気を付けるようにして下さい」
「「「はい」」」
今日は俺と雪華、それと笹嶋さんと鳳来さんと釣りに来ている。烏野さんと明槻さんはバイトなので次回になるけど、場合によっては別の魚種を狙うことになるかもな。
鳳来「海藻って当たり前だけど、この辺にも生えているのよね?」
「そうだね。食卓でも馴染みのある種類もあるよ。それらの採取は密漁になるけどな」
鳳来「うちが不思議なのは、どうして釣り餌の海藻に食い付くんだろうと思ってさ。普段使っている青イソメやエビは理解出来るけど」
「この時期に海藻を主食に切り替える魚種って意外と多いんだよ。今回狙っているブダイも夏場は甲殻類のエビやカニとかを食べる肉食性だからな」
笹嶋「へー」
「で、俺達に好きな野菜があるようにブダイも好みの海藻があるんだよ。それを餌にしているからじゃないかな?海藻を食べるライバルも多いしさ」
鳳来「なるほどね」
笹嶋「夏場に狙わないのはナゼなの?」
「夏場のブダイってメジナと同じで磯臭いんだよ。だから、食べるのに適さないから狙わない。この夏場のブダイを食べた人はマズイって印象になる位なんだ」
「「へー」」
雪華「ひろ君、解説中ごめーん。玉網おねがーい」
「! おうよ」
雪華がまずはブダイを釣り上げる。
体色が赤っぽい個体だからメスだな。ハーレムでの行動を考えると小規模の群れがいる可能性があるぞ!俺も一旦ブダイ狙いに切り替えよう。
「マジかよ。このサイズはリリースしたいのに針を丸のみしてるから持ち帰るしか無いか」
鳳来「これもコブダイなの?」
「うん。夏場に釣れるキュウセンとかに似てるだろ?これ位だとべラ科の魚と感じるよな」
笹嶋「うん。似てるね」
鳳来「味はどうなの?」
「淡白過ぎて美味しくないかも。煮付けで食べるのがいいかもな」
鳳来「なるほどね」
雪華「ひろ君、クロダイが釣れたよ!」
「おお!玉網は必要無かったのか?」
「それが、引きが弱いからそのまま上げちゃった」
「ふむ。特に病気で弱っている感じでは無いからリリースの必要は無さそうだな。水温が低いからかな」
良型のクロダイだから確実に上げるなら玉網の出番なんだけど、おとなしかったみたいで普通に釣り上げていた。飼育では脅威の白点病とかの様子は無いし食べても問題無いだろう。
納竿して、今は帰りの電車内。
鳳来「コブダイが釣れなくて残念」
「簡単には釣れないって。それに、ブダイは全員一匹ずつ釣れたしいいじゃん」
雪華「それに美夜子ちゃんはムラソイ、佳奈ちゃんはアイナメも釣って釣果としては上出来よ?」
鳳来「ごめん。釣果を求めるのが贅沢になってたよね」
笹嶋「うん」
行きの電車内で改めて伝えておいたけどコブダイを釣るのなんて一発勝負なんだから、釣れないほうが多いんだよ!俺の釣った小さな個体が不思議だっただけで。
「それと、2月の釣りは一旦お休みするからデートやバイトのシフトを増やしていいよ」
鳳来「そうなの?」
「うん。冬場が狙い目の魚種も関東の防波堤付近では活性が低いから。ま、釣れなくてもいいなら連れていくけど」
笹嶋「考えとく」
雪華「?」
鳳来「それじゃあ、佳奈ちゃん月曜に学校でね」
笹嶋「うん。今日はありがと。バイバイ」
最寄り駅に到着した俺達は、親御さんのお迎えがある笹嶋さんとまずは別れる。その後、途中のバス停までは一緒の鳳来さんとも別れて最寄りのバス停からの帰り道で雪華から質問される。
「帰りの電車内で、2月は釣りしないって言ってたけど上旬ならまだサワラが狙えるよね?」
「そうだけど、その釣りに行く時に二人がいるかは不明だろ?それに、コブダイと同じで釣れるか釣れないかの一発勝負の部分もあるから期待させたく無いんだよ」
「あー、なるほどね」
「明槻さんとは一緒に行く可能性は高いけどな」
「あはは」
今日の釣り場ではサワラは釣れないし、回遊があれば釣れるイワシ類も専門で狙うのに不向き。防波堤で釣りをする俺達にとっては暇な2月は別な事をして楽しみましょう。
バイトの明槻さんと烏野さんの護衛は烏野さんの彼氏の真広が担当してくれているので安心だ。真広は事務所には入らないで外で待っているスタンスだけど、姉御先生に挨拶済だし明槻さんも面識があるからね。不審者の追加情報が無いから、どこか別の場所に行ったのだろうか?




