山野草の展示即売会
「植物の展示即売会に行くのは久しぶりだね」
「だな。釣り倶楽部が出来てからは釣りに行くのが増えたからな。ただ、雪割草に関しては自分で選びたい」
日曜の午前中から俺と雪華は出かけて、目的地は早春に開花する山野草の展示即売会。植物は通販とかを利用して購入はしているけど、雪割草は色彩変化が多様だから自分の目で確認して購入したいのだ。
「雪割草の他にも福寿草も販売してるね」
「それは似ているけど、フキタンポポだな。福寿草はこっちだ」
「あ、本当だ」
まずは一通り見て、出品されている植物を確認する。
「ひろ君、今回の予算はいかほどで?」
「数万円を予定しております」
「それだと高価な種類ばかりだと数鉢しか買えないよ?」
「今回はそうなりそうだな。俺って雪割草は千重咲きに力を入れて栽培してるだろ?今回は出品数は少ないし、ウチにあるのと似た様な色彩だから購入は見送り。ただ、交配親として面白そうなのを数点購入するけど」
「なるほどね。他の種類は?」
「節分草の変化咲きがあるからそれだけだな。この後にはエビネや春蘭の販売も控えているから無駄使いはしない」
という事で精算しましょ。雪華にも欲しいのが無いか聞いたけど、今回はお気に召すものが無いとの事で俺の分だけ。
「それじゃあ、お昼を食べに行こうか。どこに行く?ここに来たら行く定食屋さん?」
「少し遠いから十数分歩くんだけど、商業施設のレストラン街みたいなのがあるみたいなんだ。面白そうだから行ってみないか?」
「いいね!十数分なんてすぐの範囲だもんね」
展示即売会をしているビルを出て昼飯を食べに行くことに。今日は植物の話題をしながら歩いたから十数分なんて、あっという間だった。
「おお。麺類からスイーツまで幅広くあるんだな。雪華どうする?」
「う〜ん。この干物専門店が気になるけど、メニューがわからないからなあ」
「あ、それならこれをスマホで読み込むと、本日のイチ押しを含めたメニューが表示されるぜ」
「へえ、便利だね。本日のイチ押しはノドグロ(アカムツ)とキンキか。ひろ君ここにしない?そして、別々に頼んで両方食べようよ」
「了解だ!脂のノッた開きだといいな」
「ねー」
干物専門店は昼過ぎとはいえ日曜なのに、来店するとすぐに席に案内された。マニアックな店だからかな?他のラーメン屋とかは行列が出来ているのにありがたいぜ!
「ノドグロの開き定食とキンキの開き定食を両方ごはん大盛りで一つずつお願いします」
「かしこまりました。ご注文内容を確認させていただきます。ノドグロの開き定食がおひとつと、キンキの開き定食がおひとつ、両方ごはん大盛りで。以上でよろしいでしょうか?」
「はい」
「焼き時間がありますので、少々お待ち下さい。失礼いたします」
お茶とおしぼりを持ってきてくれた店員さんに注文して、あとは待つだけ。
「注文してからアレだけど、結構いい値段するよね」
「そりゃ高級魚だもん。しょうがないさ」
「それと、こういう店では珍しくアルコール類の販売はしてないんだね」
「もしかしたら、酔った人同士のトラブル対策で全店舗共通なのかもしれないな」
「なるほどね〜。 今更だけどさ、彩夏ちゃんがひと晩入院した時は心配したよね」
「本当だよ。鉄棒から落下した次の日の昼飯後に軽く吐いたって母さんから授業中に連絡が来た時には焦ったぜ!結局は食べすぎだったみたいだけど」
「彩夏ちゃんてあたし達と同じく、お腹の空き具合がわかるのにね」
「俺が彩夏のおやつ用に作ったのを、ちょこちょこつまみ食いしてたからって聞いた時には安堵と同時に呆れたけどな」
そんな会話をしていると注文した料理が運ばれてきた。
「それじゃ、俺のアカムツをどうぞ。言っとくけど半身はダメだからな?」
「あはは。あたしのキンキもどうぞ」
お互い半身の半分ほどを交換して「いただきます」と食べはじめる。
「んーっ。脂があって美味しい!ごはん大盛りじゃ足りないかも」
「注文したごはんを食べ終わったら、追加注文可能みたいだぞ?俺は注文予定だから雪華も注文するか?」
「うん!お願い」
残念ながら、ごはんのおかわりが自由のお店では無いので加算されてしまうけど美味しいから抵抗出来ない。
お金を支払ってレジ担当の人に「ごちそうさま」と伝えて店を出ると俺達が入店した時にラーメン屋に並んでいた人がまだ並んでいた。ここのラーメンってそんなに美味いの?少しだけ気になるじゃねーか!
「美味しかった〜。大正解の店だったね」
「だな。定食屋さんには申し訳無いけど、今後はあの店を利用させてもらおう」
「通常メニューもお高い部類だけど、いいの?」
「いいのいいの。デートの時くらいプチ贅沢しようぜ」
「んもう。ひろ君てば」
「ははは」
駅に向かいながら雪華とそんな会話をする。開きはもちろん、ごはんやお味噌汁、それに漬物も美味しくて最高の店だった。
その後、駅の近くで期間限定の他県のアンテナショップがあったので、その県の人気のお土産を買ってから帰路についた。
帰りの電車内で、商店街の大将にアカムツとキンキの開きを俺のポケットマネーで買おうと決めたのだった。




