家族旅行(帰宅)
「今回も和定食なんだな」
「あら?洋定食が良かった?」
「いんや。おかずは別として、朝はパンだと物足りない」
「広也とあやちゃんはそうね」
彩夏は小学生になってから教室での会話で、友達は朝にパンを食べると聞いてパンにして欲しいと言った事がある。1日目は嬉しそうに食パンを食べて登校したけど、2日目には飽きたらしく「もういいや」と言って次の日から白ごはんに戻った。漫画とかでは「アレがいいコレがいいと文句ばかり言わないで!」なんて母親が怒るコマがある日常風景の一部だろう。彩夏の場合、朝はパンにしてと言ったのはそれが最後だった。
朝食を食べ終わり少しの食休みの後、帰り支度をしていると双子が近寄ってきた。
愛美「きょうはかえるの?」
「そうだよ。旅館の人がウチの近くまで送ってくれるんだ」
朝輝「たのしかったね」
「そうだね!また旅行しようね」
「「うん!」」
去年は帰りたくないと言ってた愛美と朝輝だけど、今年はすんなり受け入れた。成長したんだなあと感動していたら。
愛美「おうちにかえれば、キューちゃんと遊べるね」
朝輝「うん!」
どうやら、キューちゃんと遊びたいだけのようだ。それでいいのか?と苦笑いしてしまう。
「こちら、頼まれていた卵と野菜です。車に積み込んでおきますね」
「ありがとうございます。金額は販売されていたのより大分安いですが、いいんですか?」
「もちろんです」
もしかしたら、仕入れ価格はこの位なのかもな。
「では、出発いたします。行きと同様、何かあればお申し付け下さい」
数名の仲居さんに見送られながら送迎バスに乗り込み自宅へと向かう。
行きで立ち寄った道の駅には寄らずに高速へ。そして、最初のサービスエリアで休憩する事になったので念の為に朝輝にトイレをさせてから売店を覗いてみる。
「何を買ったの?」
「高原牛乳の出張販売してたから買っちゃった。大瓶での販売を見ると何だか美味しそうに見えるんだよね」
「あ〜。ちょっとわかるかも。でも、瓶はどうするの?」
「普通はこの瓶を持参する事で牛乳代だけみたいだけど、残念ながらウチの近場に販売所は無いから別の目的で再利用だな」
「何だか、べタみたいにエアレーションが不要の魚とかが入っているのを想像したけど気のせいよね」
「気のせいだな。確かに広口瓶だから入れてもいいけど、観賞には不向きだよ」
「そうよね」
休憩が終わり、全員戻ってきた車内で雪華とそんな会話をしながら車は高速を順調に走行中。正月のお出かけによる渋滞はもう無いみたいなので快適だ。
雪華「今度は何を買ったの?」
「昼飯と晩飯のおかず。今日は旅行帰りだし、手抜きでいいだろ。スーパーでの買い物とかもあるしさ」
「だねー。洗濯とかなんだかんだあるもんね」
「洗濯といえば、結婚したら洗濯は雪華にお願いしていいか?干すのや畳むのは俺もやるから」
「いいけど、どうして?」
「俺と一緒の服とかを洗濯する場合、どれとどれを一緒に洗っていいのかわからんのよ。色移りとかネットに入れてとかあるじゃん」
「確かに女性物は洗濯の仕方が色々あるね」
「ウチは洗濯機が2台あるだろ?両方ドラム式じゃないから水入れとかは俺がやるけど、母さんが洗っているから知らんのよ」
「2台あると便利よね。上着と下着とか、わけて洗うのを一度に出来るもんね」
「人数が多いってのもあるな。ただ、新婚のふたり暮らしの場合だと1台で十分だろ?」
「まあね〜」
ここが高速では最後の休憩となり後は下道になる。それから数十分後、見慣れた景色のバス通りの信号を曲がれば自宅近くに到着だ!
「皆様お疲れ様でした。お忘れ物が無いようにご注意下さい。またのご利用をお待ちしております」
俺達の後、念の為に旅館の従業員の方が確認したら発車していった。
「では、私達も帰ります。雪華またな」
「雪華またね」
「うん!またね。気をつけて帰ってね」
それぞれ別れの挨拶の後、最後に雪華と言葉を交わして走り去って行く雪華の両親を見送ったら自宅へと入る。
「旅行は楽しいんだけど、何だろね帰ってきた時に感じるこの疲労感は。旅行先に到着した場合だと、この感覚は無いんだよなー」
「あはは」
「それじゃ、俺は昼飯のラーメン作りをするかな。腹減ったし」
彩夏「ラーメンが出来るまでの間、キューちゃんと遊んでもいい?」
「すぐに出来るから食べてからにしなさい。それまでお母さんのお手伝いしてて」
「はーい」
朝輝「おにいちゃん。ぼくたちは?」
「あっくんとあみちゃんはパパのお手伝いをお願いね」
「「はーい」」
「あたしはひろ君の手伝いしようか?」
「平気。ラーメン食べたらスーパーに買い物に行くから荷物整理終わらせちゃって」
「わかった」
この後もやる事があるけど、まずは腹ごしらえだよな!




