旅行1日目終了
「おいおい。奮発しすぎじゃないの?俺達も食べていいの?」
「もちろんよ」
旅館の晩飯は前回同様、豚肉の陶板焼きと野菜類の天ぷら、それに漬物に味噌汁といった感じなんだけど、前回と違うのは“ふぐ刺し”があるのだ。
彩夏「おにいちゃん、これ、カワハギ?」
「これはトラフグだよ」
「フグってダメなんじゃないの?」
「専門知識のある人が捌くから大丈夫なんだよ」
「へー」
刺身を見てカワハギかどうか聞いてくるのがウチらしいな。こんな美しく盛り付けは出来ませんけどね。
「それと、食べる時はお醤油ではなくポン酢で食べると美味しいからね」
「わかった」
「おひつのご飯、何だか多いね」
「前回足りなかったでしょ?だから多くして貰ったのよ」
「流石は母さんだ」
と、いう事でいただきます。
「やべえな。陶板焼きを待つ間にご飯を3杯おかわりしちまったぜ!」
ふぐ刺しでご飯が進むのが原因だな。ただ、お茶碗はウチで彩夏が使用しているのと同じ大きさなのでまだまだ平気。
「ぺースが早いわね」
「そういう母さんだって同じぺースじゃん」
「バレたか」
「ははは」
俺と母さんのやり取りに苦笑いの父さんなのであった。
朝輝「おにいちゃん、このはたもらっていいの?」
「仲居さんに確認したら、いいよって言ったよ」
「やったー」
愛美と朝輝は俺達とほぼ同じメニューなんだけど、陶板焼きだけは危険なので焼いてあるのを提供してある。子供用メニュー専用でフライドポテトが2本あるんだけど、そこに爪楊枝の小さな旗があって、これを朝輝が欲しがったので仲居さんに確認して貰うことにした。使い捨てなんだろうけど確認は大事だからな。
「あみのもあっくんにあげるね」
「ありがとう」
「愛美ちゃんいいの?」
「うん。えがかわいくないもん」
「そっかー。あっくんは可愛い絵だったら、お礼に愛美ちゃんにあげるんだよ」
「うん!」
「雪華、ししとう食べて」
「あれ?ダメだっけ?」
「最初に食べたのが俺にとってはハズレで辛かったんだよ」
「あー。なるほどね。でも、この程度でも痔になるの?」
「わからんけど念の為にな」
「高校在学中にあたしだけが登校して、ひろ君がどうしたのか聞かれた時に「痔の手術して入院中なのよ」なんて事になれば笑われちゃうもんね」
そう言ってケラケラと笑う雪華。仕方ねーだろ?遺伝子に組み込まれてるんだから!人体の神秘なんだよ!
そんな賑やかな食事も終わり、部屋へと戻る。おひつのご飯は両家ともに空っぽにしてきたぜ。
「今回は夜食にカップ麺の必要は無さそうだな」
「そうね。ただ、ワガママを言うならお茶碗も大きいのがいいわよね」
「丼ぶり用のにして下さいって言えば対応してくれるんじゃないの?」
「男のあんたならいいけど、わたしや雪華ちゃんは恥ずかしいわよ」
「そうよ!旅先ではレディーなんだから」
んな事言うけど、何度もおかわりしてるんだから気にする必要あんのかね?両者若干プンスコモードだから言わんけど。
「はい、あっくんバンザイしてね」
食休みも終わり、現在は入浴中。俺は朝輝と一緒で久しぶりに兄弟ふたりだけで、朝輝の身体を洗ってあげている。
「肩までちゃんと浸かるんだよ」
「おにいちゃん、バタバタしてもいーい?」
「ダメ!浴槽は泳ぐところではありません!」
「ごめんなさーい」
「母さん、近くに薬局があるか行ってくる」
「どうしたの?」
「朝輝の背中にあせもがあるんだよ。汗をかいていたのかもしれない」
「そうなの? あっくん、ちょっとおいで」
風呂から出たけど、朝輝のあせもが気になる俺は塗り薬を買いに行こうと思う。今は雪華が入浴していて、雪華の両親は宿泊部屋でお酒を飲んでいることだろう。
「あっくん。ここかゆい?」
「ううん」
「かゆみは感じないみたいだけど、お願いしてもいい?」
「おうよ。ちょっくら行ってくる」
「広也、悪いな」
「いいって事よ。父さんカギ頼むよ」
部屋を出た俺は念の為にカギをしてもらい1階に降りる。仲居さんに確認すると旅館近くに全国展開の薬局があるみたいで助かった。
「ただいま」
「ありがとね。薬あった?」
「うん。近くに薬局があったから、いつも使っているのを買ってきた」
「あっくん。お薬塗るからおいで」
買ってきた塗り薬を母さんに渡すと朝輝に塗ってあげたので、これで大丈夫だろう。今は平気でも放置するとかゆくなるからね。
雪華を部屋に送っていった俺は寝る前にもう一度風呂に入ることにした。外出して少しだけ身体が冷えたのと、今なら雪華が風呂場に突撃することは無いからな。
風呂から出て布団に入ると待ってましたとばかりに彩夏が来たので一緒に寝ることにした。明日は去年は工事中だった施設に行くから楽しみだぜ!




