家族旅行再び
「あみちゃん、あっくん、お熱測ろうね」
「「はーい」」
母さんが朝食の準備をしている中、俺は愛美と朝輝の検温をする。
「よし、平熱だね。問題無し」
「「やったー」」
「今日はあやちゃんも測ろうね」
「何で?」
「測ったら教えてあげる」
という事で彩夏にも検温を実施。
「あやちゃん、去年温泉に行ったの覚えてるよね」
「うん」
「実は、これから去年と同じ旅館に旅行に行きまーす」
「ホントに!?やったー」
「朝ご飯を食べ終わったら、母さんと一緒に旅行に持っていく荷物を準備してね」
「うん!」
今日の朝食はお雑煮。ただ、いつもの具材では無く冷蔵庫の整理目的があるからごった煮に近い印象かな?ま、腹ぺこ組にかかれば問題無いって事だな。
「旅行中に賞味期限が切れるものや開封してある食材は消費出来て良かったね」
「そうね。ただ、旅行から帰ったら買い物に行く必要があるけどね」
「ま、陳列される商品も七草粥以外は通常通りだから平気だよ。去年もそうだったしさ」
「そうね」
特売野菜があるといいんだけどなー。
彩夏「お母さん。これでいいかな?」
「どれどれ。このパンツはゴムがゆるんでいるからヤメときなさい」
彩夏「えー。お気に入りなのにー」
雪華「わかるわー。履く頻度が高いとすぐにゴムがゆるむのよね」
「あはは」
それから、母さんと雪華はパンツのゴムがゆるむ問題で盛り上がるのだった。たださあ、リビングでその話はヤメない?父さんも居心地悪そうだよ?
「やあ広也君。夏の法事以来だね」
「お久しぶりです幸司さん」
インターホンが鳴り、出てみれば雪華の両親である幸司さんと雪江さんだった。
「去年と同じ旅館だけど良かったんですか?」
「平気よ。私達も気に入った施設はリピートしているから」
「それなら良かったです」
どうせ一緒に旅館に行くんだからウチに泊まればいいのに、と思うんだけどね。
雪江さんは雪華の部屋へと一緒に行き母娘の会話中で、幸司さんはウチの駐車場へと車を移動している。ウチの車は父さんの実家の駐車場へと移動してある。
「あみちゃんとあっくんに大事なお話があります。これから旅行に行くけど、キューちゃんも一緒に行きます」
「「わーい」」
「ただし、旅館の迷惑になるとダメだから旅行中はケージの外で一緒に遊ぶのは禁止です」
「「えー」」
「キューちゃんがお空にバイバイしたらイヤでしょ?」
「「うん」」
「キューちゃんと旅行が終わっても一緒に遊びたいなら、お兄ちゃんとの約束守ってね」
「「はーい」」
俺が捕まえていてのナデナデくらいなら許可する予定だけど。
『コンニチワ』
「色々と言葉を覚えていて楽しいわね。妹ちゃん達への話を聞いてたけど、旅行先で逃げたりしない?」
「大丈夫ですよ。風切り羽を切ってあるので飛べませんから」
「そうなのね」
九官鳥は結構飛び回るんだよね。部屋自体は天井が高い部屋や吹き抜けがあるような高級住宅では無いから九官鳥を部屋で自由にした場合、壁や家具に衝突したりといった不慮の事故が考えられるので、羽の生え変わりの時期には切らせてもらっている。飛距離の短い低空飛行は可能なんだけどね。
「ひろ君、そろそろ迎えのバスが来るみたいだよ」
「おし!飼育部屋の最終確認も済んだから行くか」
「あたしの両親てばキューちゃんに夢中よ。最近、お風呂が沸いた音楽まで真似するようになったでしょ?勘違いしてて笑っちゃった」
「あれはな〜。そっくりで俺達ですら聞き分けが出来ないよ」
「旅行中もおしゃべりするのかな?」
「九官鳥にとってはコミュニケーションの一部だから、しゃべると思うぞ」
「へー」
俺達にとっては日常風景になったけど、旅館の人達は驚くかもしれないな。
戸締まりを確認したら、旅館の送迎バスとの待ち合わせ場所へと向かう。到着していたバスに危険が無いよう彩夏も含めた妹弟達は先に乗車させてから、荷物を積み込んで俺達も乗車する。
「去年に引き続いてのご利用、誠にありがとうございます。今回は九官鳥も一緒との事ですが問題無いですか?」
「はい。車内や旅館の室内を汚さない工夫はしてありますので大丈夫です」
「承知しました。では出発いたしますが、途中で何度か小休止をする予定です。ただ、トイレの要望があれば遠慮なくお伝え下さい」
母さん「わかりました」
「発車します」
運転手さんの言葉で送迎バスは発車する。到着予定時間は去年と同じ昼過ぎとなっている。
さあ、楽しい家族旅行の始まりだ!




