内宮班年末パーティに向けて
「今日は明日開催の内宮班年末パーティ用の魚を釣ります!ターゲットはブダイとコブダイ。では、安全面に気をつけて楽しもう」
「「「「「おー」」」」」
今日は28日で洋菓子店も年末年始の休業となったので釣り倶楽部の人達は全員参加。
「じゃあ、コブダイ狙い組はエサはこの牡蠣を使用するから」
鳳来「エサから贅沢!」
「ハゼ釣りをする河口に生息しているカラス貝でもいいんだけど、買うほうが手軽だからさ」
それに牡蠣は食い付きがバツグンだし。
鳳来「半額シールは剥がしなさいよ」
「別に隠す必要無いじゃん」
そんなやり取りをした後に仕掛けに牡蠣の付け方をレクチャーしたら、釣り開始。
「それじゃ、ブダイ釣り組の番ね。エサはこの“はばのり”だけど、付けづらい場合はワカメに変更するから」
「「はい」」
「それと、ブダイに良く似たアオブダイは毒魚だから注意が必要だけど、そこは俺が見分けるから心配は無用だから」
「ひろ君は何を釣るの?」
「まずはウツボだな」
鳳来「改めてになるけど、いろんな防波堤を知ってるのね」
「ターゲットによって生息環境が違うからね。それを把握しとかないと釣れないからね」
笹嶋「なるほど」
それと、近場にキレイなトイレがあるのも重要。男の俺なら多少汚くても我慢出来るけど、女の子の場合はイヤだろうからね。
烏野「な…に…これ、お…もい」
「烏野さん、代わるよ! 雪華、玉網を頼む」
「うん!」
釣りに慣れてきてもコブダイの強烈な引きは怖さがあるかもだから、すぐに交代する。ま、この辺の防波堤で釣れる最大サイズは40cm前後なんだけどね。
「よーし!これがコブダイだよ。検索画像にあるような頭のコブは無いけどね」
「「「おおー」」」
「記念撮影する場合は歯に気をつけてね。このサイズでも鋭いから」
烏野「本当だ」
「ひろ君、佳奈ちゃんに玉網をお願い」
「ほいほい」
ブダイ狙いの笹嶋さんもヒットしたみたいだけど割とすんなりだな、と思っていると海面に来たので玉網に入れて引き上げる。
「これも歯が鋭いから撮影する時は気をつけてね」
烏野「今日は怖いのばかりですね」
鳳来「こんなに釣れないのも珍しいわね」
「なら、メジナでも釣る?雪華もやっているよ」
明槻さんにはルアーを投げてもらっている。
「いや、ほら、今まではターゲットの魚を最低一匹は釣れてたじゃない」
「あのさ、ブダイは安価だけどコブダイは高級魚なんだよ?このサイズでも往復交通費分以上はするからね」
「え?マジ?」
「マジ」
鳳来さんは今日は釣れていない。他にも明槻さんが釣れてない。俺?俺のターゲットはウツボだったろ?ウチの分も含めて確保済さ。ブダイやコブダイが生息してるってことは当然ウツボも生息しているし、釣りの難易度も低めだからね。
明槻「待望のアタリだー」
おや?明槻さんが珍しくお叫びになったぞ。鳳来さんはコブダイ釣りを断念してメジナに切り替えて釣れてる影響で、明槻さんだけが釣れてなかったから尚更なのかもしれないな。
しばらくして、銀色の魚体が海面に見えたので玉網に入れて上げれば立派なヒラスズキだ。
明槻「これはスズキかな?」
「似てるけど違うね。これはヒラスズキでスズキとは別の魚種になるね」
明槻「そうなんだ」
「市場流通量が少ないから高級魚の部類だよ」
明槻「まさか、それでルアー釣りに変更したの?」
「その通り!いや〜明日は高級魚の鍋物になるから楽しみだな」
明槻「何か納得出来ない」
「俺は明槻さんを思って今日釣らせたんだぞ!」
烏野「どういう事ですか?」
「ヒラスズキを明槻さん宅に持ち帰った場合は今度も釣ってくるように言われる可能性があるけど、明日の鍋用になるから平気だろ?」
明槻「確かに!美味しかったら言われるよ」
「だろ?今日はメジナだけだから問題無いしね」
烏野「明日の鍋用でよかったね」
「ただ、明日はウツボの切り身を持ち帰ることになるけどな」
明槻「それはよくなーい」
烏野「あはは」
鳳来「終わってみれば、明日の鍋用の魚を確保出来て良かったわね」
「だな。あとは鍋にするか別のにするか決めてもらおう」
笹嶋「贅沢な悩みだね」
「だよな。イノシシ肉が不要に感じるぜ」
鳳来「ソレとコレとは別よ。やっぱりお肉も欲しいじゃない」
雪華「だよねー」
「お米は1升じゃ足りないと思うけど、〆のうどんで調整してもらう?それとも2台使う?」
鳳来「ご飯のおかわりの有無は女子はうちが個別に聞いとく。遠慮せず食べられるのも魅力の班だからさ」
「わかった。頼むよ」
そんな会話をしつつ、今は帰りの電車内だ。防波堤近くのトイレに女子全員で向かった時に西側の海に感謝はしておいたよ。今年の釣り納めでもあるからさ。
「それじゃあ、今日の分配はメジナのみになるけど明日の要望によっては鍋用の魚も分配する可能性があるから」
鳳来「ウツボは確定なのよね」
「うん。蔵持先生がウツボのたたきを要望してるから提供するけど、鍋の具材が多いから俺達は不要と判断しました」
烏野「捌いてくれるの申し訳ないです」
「調理室でも言った事だけど下処理を怠ると臭味で台無しになるからさ。それに中骨の部分に段差があるから普通の魚よりコツがあるんだよ。だから、気にしないで」
烏野「お言葉に甘えます」
明槻「魚の管理もゴメンね」
「ウチの冷蔵庫はデカいから、この量でも余裕だからさ。それに、明槻さん家は食べられちゃう可能性があるんだろ?それは流石にダメだからさ」
明槻「うっ。お恥ずかしい」
「「「「あはははは」」」」
鳳来「それじゃあ、明日は昼過ぎに校門前に集合ね」
笹嶋「うん。また明日ね」
最寄り駅に到着したら、まずは笹嶋さんがお迎えがあるので別れる。俺達は同じバスだけど、それぞれのバス停で別れていく。
「今日であたし達も釣り納め?」
「残念ながらね。流石に31日は家でのんべんだらりとしたいよ」
「まあね」
「それに、30日は家族旅行の準備を飼育部屋含めてやりたいしさ」
「そっか」
「釣り納めも来年の釣り初めも雪華とふたりきりじゃなくてゴメンな」
「ううん。あたしも楽しいから平気だよ」
「釣り初めはみんなとのワカサギ釣りになるけど、海釣りの釣り初めは雪華とふたりだけの予定だからさ」
「ふふっ。Kiitos」




