クリスマスの翌日
愛美「もう、おかたづけするの?」
「クリスマスは昨日でおしまい。次はお正月の準備だよ」
朝輝「そっかー」
朝食後に彩夏に頼んでクリスマスツリーに飾っていたのを乾拭きしながら仕舞ってもらっていると、登園前の愛美と朝輝が少しだけ残念そうな表情でそれを見ていた。
俺と彩夏は学校が冬休みになったけど、保育園はまだ預かってくれるのでふたりはいつも通り登園。友達とも遊べるしね。
「それじゃあ保育園に送ってくるから、あやちゃんは引き続き後片付けをお願いね」
彩夏「はーい」
彩夏の担当は飾りのみでツリー本体は俺が帰宅したら片付ける予定だ。
「「「いってきまーす」」」
「「「いってらっしゃーい」」」
母さんと雪華にも見送られて家を出発する。
保育園の先生方には学生は冬休みかあと夏休み同様、羨ましい視線を感じる。学生は学生でお勉強が大変なんですよ?俺だって学校の課題以外にも資格の勉強をしてるんですからね。そんな事を思いながら、双子の登園手続きをしていると。
「おにいさん、あたし、あっくんがすき!」
「うん。仲良くしてね」
「ちがうの!あいしてるの!」
「そっかー。あっくんはいい男だから、好きになってもらえるように頑張ってね」
「がんばるー」
同じクラスの女の子がトテトテと近づいてきて俺に朝輝が好き宣言をしてきた。俺が言えたことじゃないけど、おマセさんだね。どうやらこの子が朝輝が助けたのを切っ掛けに惚れた子みたいだな。
他の保護者の方達は微笑ましい感じで見ているけど、ショーコ先生だけは「朝輝くんはお兄さんと同じようになるのかしら」とボソッとつぶやくのだった。
「ただいまー」
「おかえりなさーい。おわってるよー」
「おっ。ありがとな、あやちゃん」
「えへへ」
保育園から帰宅すれば彩夏が出迎えてくれて、飾りの片付けが終わったのを報告してくれる。頑張ったご褒美に頭を撫でてあげたいけど、外出からの帰りなので手洗いうがいをしてからね。
ツリー本体を静電気を利用したほこり取りで細部まで掃除してから箱に仕舞う。飾りと電飾の入った箱と一緒に紐で縛ってから倉庫部屋の棚の上に置けば作業は完了。さてと、昼飯までまったりさせてもらおう。
「朝輝の彼女候補に会ってきたよ」
「あら、そうなの?」
ダイニングテーブルで母さんと一緒に寛ぎながら朝輝の彼女候補に会った話をすることに。リビングテーブルでは、雪華と彩夏が冬休みの宿題をやっている。
「母さんはどう思ってるの?」
「いいんじゃないの?あの子、将来化けるわよ」
「そうなの?垢抜けると急激に可愛くなるタイプってこと?」
「ええ。それに、早くから付き合えば性格もあっくん好みになるだろうしね」
「そうなれば、親子と兄弟揃って幼馴染と結婚することになるのか」
「気が早すぎるわよ。あやちゃんとあみちゃんはどうなるかしらね」
「ふたりに彼氏はまだ早い!父さんの前に俺がきっちり見定めてやる!」
「あんた、それシスコンを拗らせたバカ兄になるからヤメときなさい。その時が来たら妹離れしなさいよ?まったく」
「年の差があって可愛いんだから仕方無いだろ?もちろん朝輝も」
「それは理解出来るけど、ね」
◇◇◇
昼飯のミートソーススパゲティを食べ終えて、彩夏は友達と遊びに行った。もうすぐ年末年始で遊べる機会も減るだろうから、いっぱい遊べばいいよ。ただし、家族旅行があるから風邪には注意しておかないとな。
「ひろ君、何してんの?」
「キューちゃんの動画編集」
そして、俺は雪華の質問に答えたように動画編集の作業中だ。
「投稿するの?」
「うん。インコやヨウムは多いけど、九官鳥は少ないだろ?だからね」
「ひろ君の水槽と同じアカウントにするの?」
「あれとは別で、キューちゃん専用」
実は俺も飼育水槽のライブ配信をたまーにしてたりする。ただ魚が泳いでいるだけなんだけど、50人位が見てくれる時があるんだよね。店で高価に販売されている種類や珍しい種類の時は視聴者が多い時もあるんだぜ?まさか、あの値段の魚を飼育しているのが高校生だとは思っていないだろうけど。
「よし!編集完了。早速、投稿してみよう」
映像ではキューちゃんが『オハヨー』『イッテラッシャイ』としゃべっている。
「挨拶のみなんだね」
「まずはな。ターゲットは鳥好きのひとり暮らしの方達だ。キューちゃんが癒やしの動画になるといいな」
多分、AIで作製したやつじゃねーの?とコメント欄に書き込む人もいると思うから、水浴びや日向ぼっこの様子をライブ配信したりして払拭する予定だ。
この時の俺はまだ知らなかった。キューちゃんのおしゃべり動画の視聴数が増えていってることを。普段から視聴数を気にする事は無いので確認したのは翌朝になったんだけど、投稿した4本の短い動画『オハヨー』『イッテラッシャイ』『オカエリ』『オツカレサマ』が1万回以上再生されていたのだ。




