終業式とクリスマスイブ
鳳来「イべント盛りだくさんだった2学期も終わりね」
烏野「そうですね」
今日は終業式で昼前には下校となる。ただ、世間ではクリスマスイブという事もありバイト組は夕方位からケーキの引き渡しで忙しくなるだろう。俺も念の為に事務所にいる予定だしな。
「冬休み中はずっとバイトか」
「毎日、朝から夜まで働くなんてキツイぜ」
「「はあ〜」」
「仕方無いでしょ!文化祭で大赤字だったんだから」
「そうよ!あんた達だけが辛いんじゃないんだからね!」
「年末年始はオネエ様方の紹介で時給のいいバイトをやるんだよな」
「ああ。高校生としてはグレーゾーンらしいがな」
「グレーゾーンのバイトなんて、わたし達は何をさせられちゃうの」
「きっと、この身体が目的よ」
「イヤ〜ン。優しくして〜」
「でもよ、赤字を回収したら小遣いになるわけだろ?今度こそバイクが買えるかもしんないぜ」
「だよな! 俺には聞こえるぜ、ギャルの黄色い悲鳴が」
「ああ。選り取り見取りになるに違いない」
「「ぐへへへへへ」」
朝のHR前、俺達いつでも平常運転組が冬休みについて話し合っていた。どうやら今回は赤点を回避して補講は無いみたいだけど、毎日朝から夜までグレーゾーンなバイトがあるらしい。冬休みにも自宅課題はあるけど大丈夫なんかね?ま、俺の知ったこっちゃないけどさ。
厳さん「講堂に行くべ」
「あいよ」
終業式が終わり、HRで冬休み中の諸注意をされたら解散になる。学年末テストとは別に進学クラスを希望する生徒は冬休み明けにテストがあるらしいから大変だね。ま、進学クラスにならなくても大学進学を希望する生徒は多いみたいだけど。
帰宅して昼飯を食べたら雪華はバイトに向かい、俺は彩夏と一緒に小学校に向かう。
「ごめんね、おにいちゃん」
「平気だよ」
2学期の工作の時間を使った作品があるらしく、それを持ち帰るために俺が一緒ってわけだな。
「お兄ちゃんは職員玄関で待ってるから、上靴に履き替えておいで」
「うん!」
彩夏は昇降口へ向かい、俺は職員玄関の窓口で3年の内宮彩夏の兄で工作物を持ち帰るために来たのを伝える。
彩夏の担任の先生と挨拶を交わしていると彩夏が来たので、一緒に教室へと向かう。
「これだよ、おにいちゃん」
ランドセルロッカーの上にあったのは手回しオルゴールだった。
「この大きさなら、あやちゃんも持って帰れるよね」
「うん。でも、かえりにこわれたらイヤだから」
「確かに、細かい部品が無くなったりしたら音が出なくなるもんね」
「そうなの」
小学校から帰宅し、彩夏の部屋にオルゴールを置いたらミッション完了。彩夏は友達と遊ぶ約束があるみたいで、すぐに家から出て行ったよ。
「こんにちはー」
「ん?内宮どした?」
「ケーキの受け渡しでトラブルがあるといけないので来ました」
「まったく。心配性だな」
「でも、タウン誌に掲載されてからのお客さんは今日と明日はケーキ類の販売が無いのを知らない場合があるじゃないですか」
「まあ、一理あるか」
「それに、奏汰君と遊びたいし」
「残念だけど、まだ保育園だぞ」
「そうだったー」
雪華のバイト先の洋菓子店でまずはシュークリームを購入してから事務所に入れば姉御先生が寛いでいた。
紅茶のティーバッグを紙コップに入れて、ポットのお湯を注いでいると。
「外の様子はどうだった?」
「俺の前と後ろにお客さんはいたけど、忙しさはなかったですよ」
「そうか」
今の店内は雪華と鳳来さん、それと厳さんの恋人の義姉さんの三人で、明槻さんと烏野さんは夕方からのシフトになっている。
鳳来「店長すみません。今日受け取りの最後のお客さんが来店しましたが、どうしますか?」
「商品の残りは?」
「完売してます」
「それなら、閉めようか。閉店作業に入るように伝えてくれるかな」
「わかりました」
報告に来た鳳来さんが事務所から店内へと戻っていくのを見送り。
「トラブルが無くて良かったですね」
姉御先生「当日のケーキ販売が無いのを嘆く人はいたけどな」
「チーズケーキが目的だっただけ、でしたけどね」
雪華によると嘆いた人はタウン誌に掲載以降に来店してチーズケーキにハマった人らしく、明日の販売も無いのを知ると他のお客さんがいるのに「そんなー」と叫んだそうだ。
今年の晩飯もすき焼き。内宮班パーティ用のイノシシとは別に自宅用も購入してあるけど、少しだけお高めの牛肉となっております。晩飯後は去年同様クリスマスケーキを食べる。今年のは一部プラスチック製の飾りがあって、これは綺麗に洗ってからダイニングテーブルに置かれた。
〜就寝前のいつもの時間〜
「去年と同じサンタ衣装なの?」
「そうだけど?」
「肌触りが違うね。去年はもっとフワフワだった」
「こういう衣装って洗濯したらダメなのかな?」
「さあ?下津木さんに聞いてみれば?詳しそうじゃん」
「確かに」
「では、膝枕を堪能させていただきます」
「はーい。おいでー」
そう言って膝をポンポンする雪華。
「膝枕ってさ」
「うん?」
「肉づきによっては多分適さないよね」
「あたしのはどう?」
「弾力があって最高です」
「それって、遠回しに太ってるって言ってる?」
「何言ってんだよ、最高って言ってるだろ!」
「んもう」
去年は積極的だと思った事も、更に色々な経験をした事でドキドキ感よりもシアワセ感が上回るようになってきた。顔を雪華のおなかに埋めて雪華の甘いニオイを堪能し始めた俺は知らなかった、雪華が顔を真っ赤にしている事を。




