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「ねえ、ふたばあ。こんなところでなにしてんのお?」

 すぐ目のまえまでやってきたミツオが、にこにこ顔で甘ったるく聞いてくる。

 おまえこそ、こんなところでなにしてんだよ。

 心のなかでつっこむと、聞かれてないのにミツオが答えた。

「おれねえ。おれはケンカあ」

 バカか、こいつは。

 いや、バカだ。

 こんなやつとかかわっていると、完全にバカがうつってしまう。

 あたしが無視して帰ろうとしていると、ミツオのはるかうしろから男の人の声がきこえた。

「あいつだよ、あいつ」

 向かいあうミツオの肩ごしに声のする方をのぞきこむ。

 先ほどの三人組のうちのふたりが、どうやら近くにいた仲間を呼んだらしい。ミツオがじゃまで濃紺の制服以外はっきりとは見えないけれど、援軍をつれてこちらに向かってくる。

「えー。それでは、うちらはこれで」

 シホがていねいにミツオにいう。

 あたしもさっさとシホと一緒にその場を去ろうとミツオに対して背を向ける。

 足をあげて一歩を踏み出そうとした。

 そのとき。

「おい。てめーか」

 聞き覚えのある男の声が耳に飛びこみ、あたしはあわてて振り向いた。

 ぎゃっ。

 あたしはおどろきのあまり、心のなかで悲鳴をあげた。

 ヤンキーが呼んだ援軍は、あたしのよく知る人物だった。

 それは昨日、別れたばかりの男。

 モトカレ・ヒトシだ。

 もう二度と会わないと決めた男が、ヤンキーの援軍として、ミツオのうしろでこちらを向いて立っている。

「ああん?」

 ふきげんきわまりない声を出したミツオが振り向くまえに、ヒトシはあたしとシホの存在に気がついた。夕日が似あうさらさらヘアーのさわやか男は、いろいろとばつが悪そうな顔をする。

 あたしだって昨日の今日で、再会なんてばつが悪い。しかもこんな、わけのわからないタイミングでの再会なのだ。

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