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婚約者を交換ですか?いいですよ。ただし返品はできませんので悪しからず……  作者: ゆずこしょう
夢見がちな二人。

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29/51

束の間の休息。

早いもので、年が明けてから一か月が過ぎた。


この一か月の間でお菓子などの商品化が進み、まずはコルベール領の屋台通りで、ケーキやお菓子を露店販売してみることにした。


それがうまくいけば王都に進出、ゆくゆくは他領にも出店できればいいと思っている。


「この1週間、売れ行きは上々のようですね。」


「そうね……コルベール領ではナッツやクルミ、ドライフルーツなどを食べるのが普通だから、食べやすいのかもしれないわ。」


今回はドライフルーツの専門店として出店している。


ドライフルーツはそれぞれ好きな量を購入できるようにしており、それとは別にお菓子類などを置いているという感じだ。


紅茶に関しては色々な茶葉を置いて、それに合わせて好きなドライフルーツを入れて飲んでもらえるようにしている。


その場で飲むことも可能ではあるが、買って帰って家で食べる人が多いようだ。


以前はあまりお茶会などに参加することがなかったが、自分が作ったお菓子などを広めるためにも、自発的に色々なお茶会に参加するようにしている。


そのお陰か、数名、友人と呼べるような方たちに出会うことができた。


今までは家にこもってばかりだったから、少しずつ世界が広がってきているようで面白くもある。


お母様も私とは別のお茶会に参加してくださっており、色々な方に私の作ったお菓子などを勧めてくださっているようだ。


おかげで店先に行かなくても購入する方法がないのかなど、手紙をもらうことが増えた。


公務と言えば、最近、隣国の王太子がこちらの国に外交のために訪れていたため、オスト様の婚約者として参列した。


もしかしたらダルデンヌ公爵たちにお会いするのではないかとドキドキしていたが、来ておらずホッとした記憶が新しい。


「今日は久しぶりのお休みだし、家でゆっくり本でも読もうかしら。本を読むのも久しぶりだわ……」


「いいですね。旦那様や奥様も今日はボードリエ公爵邸に行っておりますし、ニケ様はアテナ様のところに行っております。


今日は少し気温も暖かいですし、お庭でお茶を飲みながら読書なんていかがでしょうか。」


家の中が静かだなと思っていたら、まさかお父様たちが出かけていたとは思っていなかった。


ボードリエ公爵ということはお母さまのご実家だし、きっと用事があって行っているのだろう。


オスト様も今日はお家でゆっくりすると言っていたし、庭先で読書もいいかもしれない。


家の中の書斎に向かうと、買うだけ買ってそのまま積みあがっている本たちが片隅に置いてある。


そういえば買うだけ買って、そのままになっていたような気がする……。


それだけ他の部分で充実した生活を送っているということなのだろうけど、このままにしておくのは本に申し訳ないので、急いで書棚に片付けた。


本を片付けた後、読みたい本を一冊だけ手に持ち、書斎を出て庭に向かうと、バネッサがすでに準備を整えてくれていた。


「バネッサ……準備してくれてありがとう!」


「とんでもないです。さぁ、こちらにお座りください。」


いつもより静かな庭で、小鳥のさえずりを聞きながらゆっくり紅茶を飲む。


まだ陽も高い位置にあり、本を読むにはとてもいい時間帯だ。


本を開いて、ゆっくり文字を目で追った。


***


「今日はメーティア様も休暇ではありませんか。


なかなか2人そろっての休暇なんて珍しいので、一緒に過ごすのかと思っていたのですが、よいのですか?」


確かに、一緒に城下町に行くことや、歌劇を観に行くことも考えていた。


だが、年末年始もずっと一緒にいたし、少し一人の時間を満喫するのもいいかもしれないと思った。


恐らくメルティも、今頃は本でも読んでいるのではないだろうか。


「確かに一緒にいたいところではあるが……たまにはお互い一人の時間を作るのも大事だろう。」


「確かに……メーティア様もここまでほとんどお休みなしで頑張っておりましたし、気持ち的にも休む時間が必要かもしれませんね。」


アルマンの言う通りだ。


急に婚約者が変わり、王族の婚約者となったのだ。


王妃教育をはじめ、お茶会があったり、外交があったりと大変だっただろう。


それに、この休みが終わればまた忙しい日々が始まる。


春には建国祭、王族主催の夜会もある。


それにニケオスの結婚式もあったはずだ。


さらに、アーテリアとアポロ、ダルデンヌ公爵にジュアン侯爵――このまま動かないとは思えない。


きっと何かしら動いてくるだろう。


まぁその前に、コルベール家とボードリエ家が何もしないとは言い切れないが……。


あそこの家二つを敵に回すのは、相当頭が悪いやつらか、勝てる見込みがある奴らくらいだろう。


まぁ勝てる見込みがないから、今までも誰一人逆らうことすらしてこなかったわけだが……。


「春の建国祭まで、何事もなく終わればいいな。」


「そうですね……。」


アルマンの淹れてくれた紅茶に手を伸ばしながら、久しぶりに本を読み始めた。

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