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大好きな旦那は幼馴染と不倫中  作者: hitorigasuki


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28/40

第28話 壮大な計画

 壮大な計画であり、巻き込まれるだけの脇役なわたし。幼馴染なのに、お似合いすぎてて笑える。気づくのが遅かった。最初っから仕組まれていたんだ。


 仲良く微笑み合う、ふたり。いちばん下の男の子の顔が、どことなく夫に似ている気がして手が震える。


 もしかして……。


 夫がその男の子「莉玖りく」と呼びながら抱き上げる。微笑む女。周りでボールを蹴る息子たち。ただの幸せそうな家族やん。ここでわたしが身を引いたら、夫は自由になれるのだろうか。そうしたら、再びわたしを愛してくれるだろうか。


 手の届かない場所にいった女、それに気づいた事故で怪我をした夫はわたしを選んだ。人生を諦めて。だけど、運良くA市に戻ってきて再会。離れていたなずの心が、結びつく。ただ離れていただけの想いたち。


 だけど、最高の形で引き裂きたい。だってこの物語の主人公は間違いなくわたしなんやから。邪魔すんなよ、だれも。


 体をくっつけるふたり。わたしは走る。ふたりの間目がけて。


 まっぷたつに分かれるふたり。驚く女。わたしは夫の腕を掴む。


「ゆりさん、おはようございます」

「あ、おはようございます」


 美しい、同じ人間じゃないみたいに。夫は莉玖を抱きかかえたまま走り回る。「きゃっきゃ!」と最上級に嬉しそうな声が、うざいぐらい響く。


 ていうか、怖い。なんか他の子供も全部類斗に似ている気がする。めまいがする。ありえない世界を見せられて、どうにもできない自分がいる。


「戻ってきてたんですね」

「夫の仕事の都合で」


 ワールドツアーは無事に成功。いまや世界の「Lā」ラーになっている。チケットなんて取れない。遠い世界のバンドだった。


「来月に地元でじつはライブするんです。まだ公開になってないんですけど。もしよかったら来ませんか? 奏也や文香も来てくれます」

「まじかよ、はよう言ってえや。いつ?」

「わたしも行きたい、なあ、明斗預けて行こうや」

「やったあ、また夫に言っときますね」


 ラーのライブか。いつか行きたいって思ってたけど。


「よっしゃーじゃあ、ボール蹴るで。ほい」

「やっボール蹴るん久しぶりやわ」


 みんなでボールを蹴り合う。少し離れたベンチに座り、わたしは見守る。こんなに美しい女、楽しそうな夫を見てたらなんも言えなくなる。だけど、あかんねん、この物語の主人公はわたしで、わたしが幸せになる物語じゃないと。


 それから昼過ぎに別れる。名残惜しそうに見つめ合うふたり。


「じゃまた」

「うん、ありがとうー」

「バイバイ」

「類斗くんありがとうー」


 家に入って行く女。可愛いくて礼儀正しい子供たち。なにもかも違う。わたしがないもの全部持ってる。わたしが欲しいもの全部持ってる。


「焼きそばでいい? 俺スーパーで買ってから帰るわ」

「え、わたしも行く」

「いいよ、疲れたやろ? 明と戻っといて」


 走ってスーパーに向かう。女の家とは真逆なのに、会う約束でもしてるんじゃないかっていちいち不安になる。

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